小川フミオのモーターカー

根強い人気のフォルクスワーゲン・ゴルフ 上質な2代目

フォルクスワーゲン・ゴルフは1974年に初代が発表され、現在では7代目になっている。その中で最も好きなゴルフは?と聞かれたら、私は初代と答えるけれど、今回紹介する2代目の人気もかなり高い。

(TOPの写真:下端がグリルからはみ出した丸いヘッドランプというフロントグリルの意匠は初代と同様だ)

全長3985mm、全幅1665mm、ホイールベース2475mmで、今の基準からするとコンパクト

全長3985mm、全幅1665mm、ホイールベース2475mmで、今の基準からするとコンパクト

1983年に2代目が登場したとき、初代をたんに丸くして大きくしただけではないかと思ったものだ。グリルから下端がはみだすように配置された丸い2灯のヘッドランプと、太いリアクォーターピラーの意匠などが初代からの継承だったせいもある。

テールランプの意匠は初代から大きく変わっているが、太いリアクォーターピラーはこのあともゴルフの特徴として継承されていく

テールランプの意匠は初代から大きく変わっているが、太いリアクォーターピラーはこのあともゴルフの特徴として継承されていく

メカニズムも同様だ。エンジン横置きの前輪駆動のハッチバックというコンセプトを引き継いでいた。自動車ファンとしては、初代のように、革新的なアイデアで驚かせてもらいたかったというのが本音であった。ただしこれは無理筋。エンジン横置き+前輪駆動というレイアウトは、初代ゴルフのあと世界基準となるほど完成したものだったからだ。

2代目で改善したことは多い。ホイールベースを75mmも延ばして居住性をよくし、前後のトレッド(車輪の幅)を拡大して操縦安定性を向上させた。インテリアもシートの作りをはじめ、全体の仕上げが上質になっている。

スイッチ類をすべてひとつのクラスターに集約したデザインは斬新だったが同時にコスト面で効率がよかったはず

スイッチ類をすべてひとつのクラスターに集約したデザインは斬新だったが同時にコスト面で効率がよかったはず

スタイリングも当時はちょっと落胆したが、いまの眼でみると、車輪と車体のバランスがよくとれているし、ボディー面には張りがあって力強い。初代ゴルフは機能主義的な実用車だったが、2代目は質感が上がっている。

クラスレスというのがゴルフに用いられた評価だ。4mを切る全長のハッチバックでも、安いからでなく、“好きだから選ぶ”というひとが富裕な層にも多かったせいである。

スポーティーな走りを追究したGTI(84年)も追加された

スポーティーな走りを追究したGTI(84年)も追加された

ドイツなどでは社用車制度があり、会社が通勤用のクルマを与えてくれる。その際、社内のポジションに応じて選べるクルマが変わってくるため、それが社会的なステータスの象徴になっている。しかし、ゴルフはそんなランク付けを超越するようなクルマだった。

スタイリングはフォルクスワーゲン社内のデザインセンター作

スタイリングはフォルクスワーゲン社内のデザインセンター作

2代目だけは「ゴルフⅡ」と呼ばれた。「Ⅱ」には“新しい”という以上のフォルクスワーゲンの意欲が込められているようだった。なにしろ、91年まで製造が続くなかで、16バルブエンジンのパワフルな「GTI 16V」、スーパーチャージャー装着の「GTI G60」、四輪駆動の「ゴルフ・シンクロ」それに「ゴルフ・カントリー」といったモデルが次々と開発されたのだ。

4本スポークのステアリングホイールに、ゴルフボール形状のシフトノブ、そしてスポーツシートを備えているのはGTI

4本スポークのステアリングホイールに、ゴルフボール形状のシフトノブ、そしてスポーツシートを備えているのはGTI

フォルクスワーゲンはホームページでこのクルマを歴史的なモデルとして紹介。市場に出たのと同じ時期に、マイケル・ジャクソンがミリオンセラー「スリラー」を発表し、アップルは初の量産型マウス(四角かった)を売り出したことを記している。エポックメイキングという点で共通項があるということだろうか。よくわかる気がする。

(写真=Volkswagen AG提供)

PROFILE

小川フミオ

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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