水代百貨店

長く付き合いたいインテリア製品はここで買え! 「Shigeki Fujishiro」が生みだす“経年進化”

物や情報があふれる時代だからこそ、頼りになるのはその道の目利き――。グッドモーニングス代表・水代優さんが日常生活の質を高めるトピックを紹介する新連載「水代百貨店」が始まります。

昨年5月、丸の内仲通り沿いにオープンしたパブリックカフェ「Marunouchi Happ. Stand&Gallery」のフードやインテリア、選書、イベントをプロデュースするなど、全国各地から面白いモノを集め、カフェやサード・プレイスを“編集”する水代さん。

以前&Mで、静岡の人気コーヒー・ロースター「IFNi ROASTING & Co.」を紹介してくれたこともありました。

そんな水代さんが新連載の初回に取り上げるのは、プロダクトデザイナー藤城成貴さんが手がける「Shigeki Fujishiro」のインテリア製品。

使うごとに魅力が増すので長く付き合える――それが最大の魅力だとか。

▼今回のオススメアイテム▼

「knot」(Shigeki Fujishiro)

「Shigeki Fujishiro」のインテリアバッグ「knot」

針金は一切使用せず、ロープの結び目のみで仕上げられているインテリア用のバッグ。キッチンで食材をストックしたり、リビングでマガジンラックにしたりするなど幅広く活用できる。

Lサイズ:27,000円(税別) *Sサイズは品切れ

水代さんと一緒に「Shigeki  Fujishiro」のアトリエを訪ね、デザイナーの藤城成貴さんにもお話を聞きました。

アルバイト生活から一転 ビッグネームとのコラボ

「すごい! このメンツにシゲさん(藤城さん)も!」。水代さんが動画を見ながら感嘆の声を上げた。画面に映るのは銀座エルメスのショーウインドウ。障害物に見立てたエルメスの商品の間を球が転がっていく。藤城さんの作品「GAME」だ。

銀座エルメスのショーウインドウの展示を手がけるのは、nendoやライゾマティクスといった国内外のトップクリエーター。Shigeki Fujishiroもそこに名を連ねる。そんな大きな実績がありながら、藤城さんに浮かれた様子は全くない。「なんせ浮き沈みの激しい世界ですから……」。

藤城さんはIDEE(イデー)で特注家具のデザイナーとして7年のキャリアを積み、2005年に独立した。トップデザイナーから一転、独立後に待っていたのはアルバイト生活。家具のオーダーメイドの仕事は想像以上に少なかった。

待っているだけでは仕事は増えない。オリジナル製品を作って売っていかなければ……。バイトで食いつなぎながら、小規模なインテリア用品の製作を始めた。「Shigeki Fujishiro」の始まりだ。

インテリアアクセサリー(小規模家具や雑貨、小物類)は大型家具と違って、既にモノがあふれる空間に取り込まれることが多い。だからこそ目指したのは、どんな空間にもなじむアイテム。デザインのポリシーは「調和」に決めた。

小学生の道具箱などに用いられるパスコ(古紙やバージンパルプが主原料の繊維ボード)を使ったスツール「エッフェル」

小学生の道具箱などに用いられるパスコ(古紙やバージンパルプが主原料の繊維ボード)を使ったスツール「エッフェル」

 Shigeki  Fujishiroの初期アイテム「knot」。素材は陸上自衛隊で使われるロープと同じもの。職人による手仕事で美しく自立するよう結ばれている

Shigeki  Fujishiroの初期アイテム「knot」。素材は陸上自衛隊で使われるロープと同じもの。職人による手仕事で美しく自立するよう結ばれている

「knot」の開発にあたっては、専門書を読み自らロープの結び方を習得した

「knot」の開発にあたっては、専門書を読み自らロープの結び方を習得した

藤城さんはオリジナル製品づくりにシフトした後、インテリアショップやファッションブランドなどに営業を重ねた。業界の人間なら尻込みしそうな超有名ブランドにも積極的に――。

「すぐに150個ほしい」。日本を代表するファッションブランドが多機能インテリアバッグ「knot」に反応した。突如舞い降りたビッグチャンス。急いで工場に問い合わせたが、その返事は「半年かかる」。特殊な構造の「knot」は職人が手仕事で仕上げており、1日二つの生産が限界。チャンスはあっさり逃げていった。

再びビッグネームから声がかかったのは、その数年後。連絡主はアディダスだった。

「10年ほど前、僕がアトリエを構える複合施設『IID 世田谷ものづくり学校』でスタンスミス(アディダスのスニーカー)の新作発表会が行われました。そのとき、この施設で活動するクリエーターたちも新作を使ったコラボ作品を発表することになり、僕はスタンスミスにゴム製のひもを用いた刺繡(ししゅう)を施しました。それから数年後、そのデザインで商品化したいとアディダスから連絡があったんです」

藤城成貴さん

藤城成貴さん

かねてアディダスのファンだったという藤城さんは、打ち合わせの場で思いの丈を存分に伝えた。その結果、スタンスミスに加え、ロッド・レーバー(同)をベースにしたオリジナルシューズ「プレッツ」(PREZ)も手がけることになった。

サンプル品にアディダス担当者も驚く

いざ制作を始めると予期せぬ壁にぶち当たった。「好きなものほど、ファンとしての自分とデザイナーとしての自分の距離感が難しくなる。デザインしすぎると、自分の好きなアディダスから遠ざかってしまいますから」(藤城さん)。

検討の末、スタンスミスはフォルムに手を加えず、サイドのベンチレーションホール(通気穴)にのみゴム製のカラーひもで彩りを加えた。着脱の繰り返しによってゴムひもが緩まぬよう、職人が手作業で加減しながら刺繡を施した。

一方プレッツは、つま先にボリュームをもたせて中心を細くするという、シャープなスタイルを追求した。何事も形にしてから考えを深めるのが藤城流。「絵や3Dのビジュアルでは理解できた気がしない」と紙粘土で型を取って木と革で精緻(せいち)なサンプルを作り上げた。「ここまでやる人はまずいない」。アディダスの担当者も驚くこだわりで、このコラボは藤城さんの名刺代わりになった。

藤城さんが手がけたアディダスとのコラボスニーカー。プレッツ(左)とスタンスミス(右)

藤城さんが手がけたアディダスとのコラボスニーカー。プレッツ(左)とスタンスミス(右)

スタンスミスはサイドのベンチレーションホール(通気穴)に様々なゴム製のひもを用いた刺繡を施している

スタンスミスはサイドのベンチレーションホール(通気穴)に様々なゴム製のひもを用いた刺繡を施している

つま先の部分にはこだわった。紙粘土を入れて型を取り、理想の形を研究した

つま先の部分にはこだわった。紙粘土を入れて型を取り、理想の形を研究した

Shigeki Fujishiroは“経年進化”する

藤城さんは著名ブランドとのコラボを重ねながら、オリジナルアイテムの制作にも力を入れ、様々なインテリアアクセサリーをリリースした。

「Shigeki  Fujishiroのアイテムは、使っていくうちに表情がどんどん変わっていきます。それは“経年進化”と言ってもいい。ユーザーとアイテムとの関係が深まって、生活になくてはならないものになっていく」(水代さん)

展示会に毎シーズン訪れるという水代優さんは、かれこれ10年以上その製品を愛用している。

実は買った当初、長い付き合いになるとは思わないものもあった。けれども、いつの間にか部屋になじみ、傷や色あせも心地良い暮らしの記憶に見えてくる。“いい年の取り方”をするアイテムばかりだと思い知った。

Shigeki Fujishiro製品の中で水代さんの一番のお気に入りは「knot」

Shigeki Fujishiro製品の中で水代さんの一番のお気に入りは「knot」

自宅では赤を愛用している(提供:水代優さん)

自宅では赤を愛用している(提供:水代優さん)

“経年進化”するアイテムを生み出す秘訣(ひけつ)はどこにあるのだろうか。「強いて言えば」と前置きをしながら、藤城さんは言葉をつなぐ。

「僕は良い具合に朽ちていく素材が好きなんです。木、革、紙……誰もが見慣れた素材で新しい見せ方を提案したい」

「knot」のロープは小学校の玉入れのかごと似た素材。「エッフェル」の素材は、小学生の道具箱などに用いられるパスコ(古紙やバージンパルプが主原料の繊維ボード)。記憶の片隅に残る懐かしい手触りが気持ちを落ち着かせる。だからこそ長く付き合えるのだろう。

「大型家電などは買った瞬間が喜びのピークだったりしますよね。けれども家の中に置くものは毎日一緒に過ごすのだから、使いながらどんどん愛情が増していくものに囲まれていたいと僕は思う。Shigeki  Fujishiroはそれを体現している」(水代さん)

水代さんは、社員の引っ越し祝いはいつもShigeki  Fujishiroのアイテムを贈っているという。どんな空間にも調和することを身をもって知ったからだ。

「Shigeki  Fujishiroは長く付き合えるインテリア製品を求める人に今一番すすめたいブランドです」(水代さん)

(構成・&M編集部 下元陽 撮影・野呂美帆)

長く付き合いたいインテリア製品はここで買え! 「Shigeki Fujishiro」が生みだす“経年進化”

information

Shigeki  Fujishiro

プロダクトデザイナー藤城成貴による家具、インテリアアクセサリーを中心としたライフスタイルブランド。欧州での評価も高く、エルメス、カンペール、アディダスなど世界的ブランドとのコラボレーションも行う。

オンラインショップ

https://sfdesign.thebase.in/

PROFILE

水代 優

1978年生まれ。愛媛県出身。2002年より株式会社イデーにてカフェやライフスタイルショップの新規出店を数多く手掛ける。2012年にgood mornings株式会社を設立。東京・丸の内や神田、日本橋浜町を始め、全国各地で「場づくり」を行い、地域の課題解決や付加価値を高めるプロジェクトを数多く仕掛ける。

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