今日からランナー

洗濯にビール、カラオケまで ランニングと相性抜群の銭湯

「ランナーズ銭湯」をご存じだろうか。仕事帰りのランニングにランニングステーション(ランステ)を利用する人は多いと思うが、銭湯版のランステのことである。都内を中心にかなりの数の銭湯がランステサービスを提供している。銭湯の脱衣場でウェアに着替え、荷物を預けてランニングに出かけ、走った後に入浴できるシステムだ。私も年間を通じてお世話になりっぱなしだ。

このサービスがうれしいのは、まず料金が安いこと。基本的に銭湯の入浴料のみで使える。東京都なら大人460円だ。一般のランステは700円〜1000円だからかなりお得といえるだろう。そして、なんといっても最大の魅力は汗をかいた後に大きな湯船にひたれるということだ。これからの暑い季節はもちろん、冬場の練習ではとくにおすすめしたい。至福の時間が過ごせる。一般の銭湯でも天然温泉が湧出(ゆうしゅつ)しているところもある!

さらに、もともと地元の人の日常の入浴のための施設なので、たいていどこも夜遅くまでやっている(逆に朝はやっていない)。会社帰りに使うのに便利だ。コインランドリーを併設しているところが多く、ウェアを洗濯することもできる(浴室で洗うのは厳禁!)。風呂上がりに生ビールが飲めたり、休憩場でカラオケを歌えたりするところまである。

有料だが「手ぶらセット」といってタオルなどの入浴用品を貸してくれる施設もある。最近はほとんどの銭湯でボディーソープを備えているが、ときどきないところもあるので要注意だ(私はカバンのなかに常に小さなボディーソープを携行している)。

別料金でサウナに入れるところもある。料金を払わなくてもサウナ用の水風呂は誰でもつかれるから、ハードな追い込み練習後のアイシング(酷使した筋肉を冷やすこと)にも利用できる。こう考えるとランナーズ銭湯はいいことずくめだ。気がかりがひとつあるとすれば、ランナー専用でないので地元のお客さんに遠慮が必要ということくらいか? しかし、むしろ積極的に地元の人と交流するようにすればいい。つまり利用しない手はないのである。

ランナーズ銭湯 どうやって探す?

ランナーズ銭湯の探し方は、都内なら東京都浴場組合のサイトで「銭湯マップ」→「リストから検索」→「荷物一時預かり」で表示される銭湯はたいていランステサービスをやっていると考えていい。105の施設が出てきた。念のため行く前に電話で問い合わせるといいだろう。ちなみに、私の行きつけでランステサービスをやっているのに「荷物一時預かり」がタグ付けされていないところもあった。

「神奈川・銭湯・ランニング」でググると、2015年にやっていた「銭湯ランナー応援スタンプラリー」のサイトが出てきた。ここには66の施設が登録されている。しかも、銭湯ごとに5km、10km、15kmのモデルコースのマップまでついている。超便利だ。ただし、近年どこもお風呂屋さんの廃業があいついでいるため、古い情報は必ず確認が必要だ。都内でも鶴の湯(千駄ヶ谷)、若葉湯(四谷)といった有名どころがなくなっている。皇居ランナーにおなじみだった神田アクアハウス江戸遊(神田淡路町)も閉店したが、跡地に別施設のRAKU SPA 1010 神田が今年3月にオープンしてランステサービスを提供している。

さいたま市のHPには「銭湯ランニングステーション加盟店」として市内11の施設が紹介されていた。その他の地方の人は、ネットで検索したり各都道府県にある浴場組合に聞いたりするといいだろう。ただし、繰り返しになるが行く前に必ず電話で問い合わせること。臨時休業なんてこともあるからだ。

初めての人のためにランナーズ銭湯の基本的な利用手順を書いておこう。

(1)クツをげた箱に入れて番台(受付)で入浴料を払う。
(2)その際に「ランニング利用です」と伝える(ここが重要)。
(3)脱衣場でウェアに着替えて、荷物をロッカーに入れる。
(4)出かける前にロッカーのカギを番台に預ける。
(5)預ける際にロッカー番号をメモしておこう。
(6)さあ、ランニングに出発だ!
(7)戻ったら番台でロッカー番号を伝えてカギを受け取る。
(8)ウェアを脱いで大浴場にレッツゴー!

汗を流してサッパリしたら、そのまま帰って寝るのもよし、ビールを求めて夜の街に繰り出すもよし。私の場合、後者が多いのは言うまでもない(笑)。

都内でオススメのランナーズ銭湯

では、最後に私が練習などで利用している都内のランナーズ銭湯を紹介しよう。各施設の住所や地図は前出の東京都浴場組合のサイトで確認してほしい。

●バン・ドゥーシュ(麴町)電話03-3263-4944

古くからランステサービスを提供している人気の銭湯だ。東京メトロ半蔵門駅1番出口の目の前にあり、東京のランナーの聖地、皇居にもっとも近い。皇居は言わずとしれた約5キロをノンストップで走れる周回コースで高低差が約30mある。バン・ドゥーシュのある半蔵門はそのいちばん高いところにある。

銭湯「バン・ドゥーシュ」の外観

●塩湯(四谷)電話03-3351-9179

四ツ谷駅から、しんみち通りを通って徒歩3分のところにある(つまり、帰りの飲み屋には困らない)銭湯で、知る人ぞ知る“激熱”のお湯だ。最寄りのコースは赤坂離宮の迎賓館前からスタートして赤坂離宮、東宮御所の外周を回る。1周約3.3kmなので3周すると約10kmになる。ダウン&アップが2カ所あって、本気で走るとかなりいい練習になる。途中、権太原の交差点から神宮外苑へ向かうコースどりもできる。

銭湯「塩湯」の外観

南青山 清水湯(南青山)電話03-3401-4404 

東京メトロ表参道駅から徒歩2分の立地だ。場所柄か老舗のお風呂屋さんを想像していくと見つけにくいかもしれない瀟洒(しょうしゃ)なつくりで、疲労回復を助ける高濃度炭酸泉などが自慢だ。神宮外苑まで約1.5kmと距離があるが、ウォーミングアップにはちょうどいい。コースは往年の瀬古利彦さんが練習していたことで知られる約1.3kmの周回コースで路面に100mごとの距離表示がある。全体にほぼフラットだ。

銭湯「清水湯」の外観

●八幡湯(富ヶ谷)電話03-3468-0337
代々木公園での練習にぴったりなのが小田急線代々木八幡駅前にある八幡湯だ。公園西門まで200m弱の好立地である。公園内は大回り、小回りとさまざまな距離のコースどりができる。本格的に練習したい人には無料で利用できる織田フィールドというトラックもある。ただし、個人開放日と時間は要問い合わせだ。 洗濯にビール、カラオケまで ランニングと相性抜群の銭湯

(トップ写真:kuppa_rock / Getty Images)

PROFILE

山口一臣

1961年東京生まれ。ゴルフダイジェスト社を経て89年に朝日新聞社入社。週刊誌歴3誌27年。2005年11月から11年3月まで『週刊朝日』編集長。この間、テレビやラジオのコメンテーターなども務める。16年11月30日に朝日新聞社を退社。株式会社POWER NEWSを設立し、代表取締役。2010年のJALホノルルマラソン以来、フルマラソン20回完走! 自己ベストは3時間41分19秒(ネット)。

アキレス「瞬足」の生みの親が作った大人用ランニングシューズ 驚異の衝撃吸収力と耐久性

トップへ戻る

もし金栗四三がいなかったら……? 「いだてん」主役が残した偉業

RECOMMENDおすすめの記事