口福のランチ

カウンターで味わうすしランチ コスパが高い穴場「しぶ谷 やました」(東京・渋谷)

渋谷の文化村通り沿いの雑居ビルの6階、行き交う人であふれる街の喧騒(けんそう)とは無縁の落ち着いた雰囲気のすし屋「しぶ谷 やました」がある。エレベーターを降り、目の前の白地の暖簾(のれん)をくぐって引き戸を開ければ、白木のカウンターの向こうから店主、山下仁さんが笑顔で迎えてくれる。

ランチは、1600円、2500円、3500円の3種類。なかでもにぎり、巻物、みそ汁にデザートまで付く1600円のランチはコストパフォーマンスの高さに驚く。この日は、メバチマグロ、カレイ、カツオ、ヤリイカ、シマエビ、イワシ、玉子のにぎりに、白魚、カニ、イクラの軍艦、オクラの巻物、それにシジミのみそ汁、最後はカボスのデザートだった。季節によって白身やひかりもの、イカの種類などは変わるが基本的にはこのスタイルだ。

1600円とはとても思えないにぎりずしのラインアップ

1600円とはとても思えないにぎりずしのラインアップ

まずは白身を。身の締まったカレイはほのかに甘い。赤身のメバチマグロも文句なくうまい。旬のカツオはショウガとネギで。さらに、とろりと濃厚なシマエビに、鮮度がよく脂ののったイワシも絶品。

濃厚な味わいのシマエビと脂ののったイワシのコンビ

濃厚な味わいのシマエビと脂ののったイワシのコンビ

ネタが海苔(のり)からあふれそうな3種類の軍艦はどれも豪華版。イクラがプチプチと口の中で弾け、うまみが口いっぱいに広がっていく。シャリは米の甘みを感じさせる優しい酢加減。

2500円のランチを選ぶとカニの代わりにウニの軍艦になる

2500円のランチを選ぶとカニの代わりにウニの軍艦になる

シジミのみそ汁がまたうまい。ひと息ついたころに、さっぱりとしたカボスのデザートが登場。

味もさることながら、客のペースに合わせて、2、3貫ずつ握ってくれるカウンターすしがこの価格で食べられるとは信じがたい。渋谷近辺にも高級なすし店はいくらでもあり、上を見ればきりがないが、気軽にこのクオリティーのすしが食べられるのはありがたい。

山下さんは、20年間、銀座寿司清で経験を積んだ後、2009年12月に満を持して自分の店をオープンした。ネタは毎朝自ら市場に出向いて仕入れる。最近は電話で注文をすれば、だいたい間違いのないクオリティーのものが届く時代。でも、商売は人間関係が何よりも大事。「顔と顔を突き合わせて、やり取りする中で信頼関係が生まれます。上物を回してくれたり、お買い得なものを提供してくれたりとうれしい“得”もあります」という。

信じがたい価格について聞いてみると。「毎日のランチだとこの辺りの値段が妥当でしょう。けっして安くはないお金を払ってわざわざ食べに来てくれるのだから、おいしかった、また来たいと思ってもらえないと店をやる意味はありませんから」と山下さん。「オーナーでもあり、料理人でもあるので、すべての責任は自分にある。苦労もあるが、喜びも自分に返って来るわけだから、やりがいがあります」と語る。

渋谷駅周辺だけで数千軒はある食べ物屋の中でも、「しぶ谷 やました」は穴場中の穴場。気軽に食べられるカウンターすしをぜひ味わってみて。

文化通り沿いの雑居ビルの6階にある、カウンターとテーブル1卓の小さなすし屋

文化通り沿いの雑居ビルの6階にある、カウンターとテーブル1卓の小さなすし屋

しぶ谷 やました
東京都渋谷区道玄坂2-29-18 清水ビル6F
03-3462-9233
http://shibuyayamashita.jp/

PROFILE

森野真代

ライター&エディター。徳島県出身。外資系ジュエリーブランドのPRを10年以上経験した後にフリーエディターに。雑誌やWebを中心に、旅、食、ファッションなどをテーマに執筆中。無類の食べもの好きでもあり、おいしい店を探し当てる超(?)能力に恵まれている。自分の納得した店だけを紹介すべく、「実食主義」を貫く。酒好きが高じて「唎酒師(ききさけし)」を取得したが、おいしいワインの探索にも余念がない。

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