キャンピングカーで行こう!

いすゞ「びーかむ」がモデルチェンジ 出力UPのエンジンと新機能に期待

キャブコンのベース車として人気が高い、いすゞの「びーかむ」がモデルチェンジしました。
いすゞ・びーかむはトヨタ・カムロードと同様、キャンピングカー専用車両の商品名。カムロードが「ダイナ」をベースに作られているように、びーかむは「エルフ」が元になっています。今回の仕様変更は、エルフのモデルチェンジに伴うものです。

(TOP画像は新型びーかむの元になる新型「エルフ」。外見は現行モデルとほとんど変わらない)

何が、どう変更になるのかを解説しましょう。

エンジンや各種装置が変更に

今回のモデルチェンジの最大のポイントは何といっても、エンジンの変更です。今年9月1日から適用される「ポストポスト新長期排ガス規制(PPNLT)」に適合するエンジンが搭載されるのです。
新型エンジン(=4JZ1型)は、3000ccディーゼルターボ。最高出力は110kw(150PS)と、旧エンジンの81kw(110PS)から大幅にパワーアップします。クリーンな排気でありながら軽快な走りが期待できそうです。

びーかむは、エンジン以外にも、今年11月に義務化される安全装置の装備にも対応しています。具体的に解説しましょう。

衝突被害軽減ブレーキ
ダッシュボードに設置されたステレオカメラで前方の障害物を監視。万一、衝突の危険がある場合、まず、警報音による警告が出されます。それでもドライバーがブレーキを踏まなければ、自動的にブレーキがかかるシステムです。

車線逸脱警報装置
衝突被害軽減ブレーキと同じカメラはセンターラインも監視しています。居眠りや前方不注意など、何らかの理由で不用意に車線を逸脱しそうになった場合にも警報が作動します。

車両安定性制御装置
車体各所に取り付けられたセンサーが急激な車両の姿勢変化を検知すると、各輪のブレーキを個別に制御したりエンジン出力を制限するなどして、横滑りや横転等を防ぐように働く装置です。

エンジン不調を事前に予測するシステム
エンジンの不調が予測されそうな場合、警告灯がつくよりも早く、まずスマホのアプリに通知。ボタン一つでメーカーに連絡でき、すぐに対処できる情報システムです。

 

いすゞ「びーかむ」がモデルチェンジ 出力UPのエンジンと新機能に期待

ステレオカメラを使った衝突被害軽減ブレーキのイメージ図。他にも誤発進防止など安全機能が搭載される

 

モデルチェンジのキャンピングカーへの影響は?

パワフルなエンジンに各種安全装置の搭載。いいことずくめの今回のモデルチェンジですが、ベース車両が変わるとなれば、ビルダーは大変です。
「トラックに居室を載せているだけなんだから、大して影響ないんじゃない?」という声を聞くことがありますが、「びーかむ」に限らず、ことはそう簡単ではありません。

荷物を運ぶだけの荷台やアルミバンならば、四角い「箱」が載っているだけともいえますが、キャブ(運転席まわりのボディー)と居室部分が接続されているキャブコンの場合、キャブの形状が変われば、そこにつながる居室部分の形状も変えなければなりません。床下にエアコン室外機や収納庫などがある場合、ベース車両が変わればこうしたものの設置位置や形状、サイズも変更を余儀なくされます。

ではビルダー各社はどうするか。その時々でケース・バイ・ケースですが、まずは自動車メーカーからモデルチェンジの情報や古いモデルの出荷停止の連絡があります。ただし情報が来るだけで即実車が来るわけではないので、実車が手に入り次第、詳細に採寸し、対応を考えます。そうして、新型車に合わせた居室の生産に乗り出す、というわけです。モデルチェンジを経て、居室内が狭くならざるを得ないこともありますし、その逆もあるというわけです。

いすゞ「びーかむ」がモデルチェンジ 出力UPのエンジンと新機能に期待

新型に搭載予定の「排ガス浄化システム用尿素タンク」。モデルチェンジに伴って、このような新たな設備が増えるため、ボディーの再設計が必要なのだ

カムロードはどうなる? 新「びーかむ」のモデルはいつ登場する?

さて、上の説明で「法律に対応した」と書きました。当然、「カムロードは対応しなくていいのか?」という疑問を持たれることでしょう。

9月1日適用のPPNLTも、11月の各種装置の装着義務化も、どちらも車両総重量3.5t以上の車両が対象ですので、カムロードは対象になりません。とはいえ、最新のクリーンディーゼルエンジンや衝突予防安全システムなどは、ぜひとも欲しい装備。こればかりは自動車メーカーの方針次第なのが残念なところです。現在、国産キャブコンのベース車両はカムロードが主流ですから、メーカーが対応を検討してくれることを願うのみです。

そして気になるのは、新型「びーかむ」採用のキャンピングカーがどうなるのか? いつデビューするのか? ということ。現時点で「びーかむ」を採用しているのは、日本特種ボディー社(以下NTB)だけです。逆にNTBは「びーかむ」以外を採用していないので、全製品のモデルチェンジが必要になってしまった、ということです。

現在同社では新型車両に合わせて、急ピッチで開発を進めているとのこと。パワフルかつ安全装備搭載の新型車両ですから、走行面の期待は大。あとはどんな魅力的な居室が用意されるのか、楽しみに待ちたいと思います。

(画像提供:いすゞ自動車)

※いすゞ・エルフをベースにしているバンテック社のジル・クルーズ520は生産中止、残念ながらいまのところ新型開発の予定はないそうです。

PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。

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