或る旅と写真

バリ島の人たちの活気と魅力 暮らすように旅したウブド

今回はインドネシアのバリ島に旅した時のお話と写真を。

バリ島といえば、きれいな海で過ごす場所として有名なイメージだと思う(実際にクタビーチは美しい)。
海側はリゾートとしてデパートや観光客向けのレストランやショッピングデパートが立ち並び、日本の喧騒(けんそう)を忘れて数日過ごすにはとても魅力的であろうと思う。

インドネシアのバリ島のビーチ

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だが、写真家としては何か物足りなさを感じてしまう。
日本でもよく見かける飲食店があるだけで、何だか“旅感”が損なわれると感じるのかもしれない。
写真家とはわがままなものである。

そこで、初めから行くと決めていたウブドという山側へと移動することにした。

現地ガイドのジュリに、「もっと観光地より普段の生活が垣間見える場所ってある?」と聞く。
もちろん日本語である。相変わらず日本語以外話せない。
技術が進化して外国語をしゃべれなくても、外国の人達と日常会話ができる日を待つばかりである。

ジュリは日本語が堪能で、日本から来た観光客を専門にしているガイドさんだ。
ウブド育ちのジュリにはプライドがある。

インドネシアのウブト

「あんまり海側には行かないよ、チャラチャラした人が多いね。ウブドには自然がたくさんあるし、みんな優しい心の人が多いんだよ。ただ、村の人みんな知り合いだから、たまに嫉妬? ちょっとめんどくさいね」

ジュリの村では、7人乗りの車を持ってるだけですごいことである(もちろんボロボロの軽トラはあちこちで見る)。まして日本語が堪能で、毎日のように観光客相手に車を走らせているので、インドネシアの物価を考えると、ジュリの収入は良い方なんだと思う。ただ、海側の人がチャラチャラしているのは偏見だと思う(笑)。きっと昔気質なのだろう。

普段の日常を見てみたいというリクエストに、ジュリは「じゃあ、朝市に行く? その時間は地元の人しか買い物に来ないから面白いかも。朝の5時にバイクで迎えに行くね」と言ってくれた。

きっかり朝の5時に原付きバイクで来たジュリと二人乗りで夜明けを走り抜ける。普段日本で生活している時は、まだまだ夢の中の時間であるが、ウブドでは、市場に着いた瞬間にカメラを片手に一人で駆け出す自分がいた。

インドネシアのバリ島

ウブドの朝は早い。昼になる前に、観光客を相手にした土産物屋が立ち並ぶ。あっちこっちで笑い声や、値切り合っているのだろう声が響き渡り、活気があってよい。

バイクや車が飛ぶように走り回っている国である。交通量がものすごいのと、原付きバイクに4人乗りした家族が、何事もないように走る姿に、写真を撮る者として興奮を隠しきれない。今の日本にはない情景と活気に、胸の鼓動が速まり、いつも以上にシャッターをきる。

インドネシアは、女性がとても働き者というイメージがある。朝の市場も女性がたくさん働いて商売をしていた。旅の醍醐味(だいごみ)の一つに、観光地ではないリアルな地元の日常を見ることがある。刺激をもらい、感性を磨く。

ウブドのホテル

ホテルも安くて良かった。宿泊したホテルのオーナーは、日本の女性とバリ島に住む現地の人との夫婦である。宿泊代は1泊4000円。アンティーク調の家具が並び、お風呂も雰囲気がありすぎる。素晴らしい。日本人女性は数年前に結婚と同時に移住を決めたようだ。ウブドと夫に魅了されたのであろう。

日本からバリ島に移住する人も多いと聞く。確かに物価も安いし人柄もすこぶる良い。衛生的にはまだまだだけど、慣れればほんとに楽しく住める場所だと思う。

ウブドには魅力が詰まっている。そこを訪れた人はみんなウブドが好きになる。

インドネシア・ウブド

最後の日にジュリが自宅に案内してくれた。村の友人が結婚するので祝い事の準備があるらしく、みんなジュリの家に集合して祭りの準備をするようだ。

ご飯は素手で食べる。同じ釜の飯をいただく。子供達も大人達も無邪気に笑ってる。なんだかそれを見ている自分もどこか懐かしい気分になり幸せになるのである。

あ、そうそう。観光地としてここはぜひ行っていただきたい場所がある。絶景の中で見るケチャックダンスだ。圧巻である。ぜひ。

絶景の中で見るケチャックダンス

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PROFILE

高橋伸哉

人物、風景、日常スナップなど、フィルムからデジタルまでマルチに撮影するフォトグラファー。国内外を旅して作品を発表している。企業案件や広告撮影、技術本の書籍(共同執筆)、ワークショップなども多数。インスタグラムの総フォロワー数は35万人を超える。(@t.1972@s.1972

大西洋に沈む最高の夕陽とジブリ作品のような街並み 写欲をくすぐるポルトガルの旅

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