小川フミオのモーターカー

驚異的な性能と丸っこいスタイリングが魅力のレーシングカー アルファロメオ「ジュリエッタSZ」

伊のアルファロメオは戦後、70年代までに魅力的なスポーティーモデルを数多く作った。なかでもレースでの成績とスタイリング、ともに高いレベルにあった1959年の「ジュリエッタSZ」は忘れられない。

(TOP写真:ちょっとブレているけれど雰囲気のある初期のSZの走行シーン)

警察車両などを手がけるいっぽうレーシングカーも、と多方面にわたるクルマづくりをしていたアルファロメオが、レースでさらなる勝利をめざして開発したモデルだ。

当時は公道レースなどでも大活躍した

当時は公道レースなどでも大活躍した

風の抵抗を減らす目的で丸みをもたせた車体は、カロッツェリア・ザガートに依頼したものだ。ザガートでは、アルミニウムでボディーを作ったうえ、合成樹脂のサイドウィンドーを採用するなど徹底的に軽量化をはかった。

はたして、車重は700キロ台におさまった。エンジンは1.3リッターにすぎなかったが、高度なチューンナップにより100馬力。おかげで、サーキットやラリーで十分な競争力を持ったのである。

60年に空力性向上のためのマイナーチェンジを受けた後期型

60年に空力性向上のためのマイナーチェンジを受けた後期型

60年にはさらに空力を追究して、ボディーを伸ばすとともに、丸かったリア部分を直線的に裁ち落とした、いわゆるコーダトロンカと呼ばれる設計を採用。はたして最高速は時速200キロ超えと驚異的な性能を誇った。

後期型SZの特徴は空力のために裁ち落とされたテールの形状

後期型SZの特徴は空力のために裁ち落とされたテールの形状

ベースになったのは、ジュリエッタ・シリーズである。54年に「スプリント」というクーペが登場し、セダンやスパイダーが続いた。SZ(スプリントザガート)に先立つ58年には、ベルトーネが美しいボディーを手がけた「SS(スプリントスペチャーレ)」が登場している。

ロメオに対してジュリエッタというネーミングのロマンチックな響きに加え、どんどん高性能化しレースでの勝利を重ねるアルファロメオの姿は、60年代のクルマ好きには大いなる憧れである。私のなかでは英国のロータスと双璧をなしていた。

ヒストリックカーラリーで走行のSZはオーバークール防止のため冷気が入りすぎないようにテープを貼っている

ヒストリックカーラリーで走行のSZはオーバークール防止のため冷気が入りすぎないようにテープを貼っている

このあと63年にアルファロメオは、SZの後継として、鋼管フレームに1.6リッターエンジン搭載の「ジュリアTZ」を発表する。ただしこちらはより本格的なレースモデルだ。性能を追究してかたち作られたボディーに機能美はあるけれど、普遍的な審美性という点で最初のSZにかなわない。

オシリの丸っこいSZは、クルマの魅力とはなにかを知り抜いたひとたちがこの世に送り出した希少な存在という気がする。

700キロ台の車体に100馬力という当時としては驚異的なパワーの1.3リッターDOHCエンジン搭載

700キロ台の車体に100馬力という当時としては驚異的なパワーの1.3リッターDOHCエンジン搭載

写真=FCA提供

PROFILE

小川フミオ

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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