On the New York City! ~現代美術家の目線から見たニューヨーク~

現代美術家が選ぶニューヨーク・チェルシーで見るべき14のギャラリー

現代美術家・伊藤知宏さんにニューヨーク(以下、NY)の街の魅力をレポートしてもらう連載「On the New York City! 」。今回は伊藤さんのアーティスト仲間から「取り上げて欲しい」とリクエストがもっとも多かったという、チェルシー地区にあるギャラリーについて。注目のギャラリーを現代美術家の視点で選んでいただきました。

世界で一番有名なギャラリー街

僕が滞在しているブッシュウィック❶から、チェルシー地区❹まで行くには地下鉄を2本乗る必要がある。はじめは地下鉄のLトレインに乗って30分程でマンハッタンに移動し、8番街駅で乗り換えて、地下鉄のACEトレインで1駅北上し23ストリート駅で降りてからさらに西に10分ほど歩く。❷はダンボ地区。❸はハイラインの最南端

僕が滞在しているブッシュウィック❶から、チェルシー地区❹に行くには地下鉄を2本乗る必要がある。地下鉄Lトレインで30分ほど揺られてマンハッタンに移動し、8番街駅で乗り換え、地下鉄ACEトレインでひと駅北上。23ストリート駅で降りて、さらに西に10分ほど歩くと到着する。❷はダンボ地区。❸はハイラインの最南端

NYのチェルシーには、四半世紀近く前から世界最大級のギャラリー街(ギャラリーが集まった街)がある。

場所はマンハッタンの19~27丁目の東側。ハイラインとハドソン川にはさまれたエリアだ。

2011年からNYでギャラリー関連の仕事にたずさわるキュレーターの藤井孝行さんと一緒にチェルシ-のギャラリーを巡ることにした。

藤井さんは慶応義塾大学卒業後、ファッション、美術業界で働き、2011年にNYへ。NYのプラット・インスティチュートでアート・マネージメントの修士号を取得後、そのまま現地のギャラリーで勤務している

藤井さんは慶応義塾大学卒業後、ファッション、美術業界で働き、2011年にNYへ。NYのプラット・インスティチュートでアート・マネジメントの修士号を取得後、そのまま現地のギャラリーで勤務している

そもそもギャラリーって何?

ギャラリー紹介に移る前に、そもそもの話をしておきたい。ギャラリーとは美術作品を展示するスペースのことだ。一般論として美術館との違いを説明すると、美術館は入場料を取るが作品の販売は行わず、ギャラリーは入場料を取らないが作品を販売する、ということがまず挙げられる。

また、ギャラリーはアーティストと契約を結び、その人物の作品を独占的に展示することもしている。

ギャラリーとアーティストが契約することについて、美術業界では、「アーティストにギャラリーが付く」「ギャラリーがアーティストを取り扱う」などと表現する。ギャラリーが付くことはアーティストにとっては自身のブランディングになるし、ギャラリー側としてもアーティストの飛躍に乗じて自館の知名度や価値を高めることを狙っている。

美術館とギャラリーの違いは他にもある。美術館や博物館(特に欧米)の展示物は、その後に美術の歴史に刻まれることが多いが、ギャラリーの展示物は、その手前のある種できたてほやほやの美術作品が多いといえる。

さらに言うと、ギャラリーの構造として一般的な四角く白い部屋には、「常識」という意味があり、中立で無味無臭というイメージも併せ持っている。

チェルシ-で注目 14のギャラリー

NYには、チェルシーをはじめ、マンハッタンの南東に位置するローワー・イースト・サイドやその北西側にあるソーホー地区、MoMAの北側の57丁目の区画、メトロポリタン美術館の東にあるアッパー・イースト・サイド、ブルックリンのウィリアムズ・バーグ、ブッシュウィック、ダンボ地区などにギャラリーがあり、さらにこれらの地区以外にも点在している。

チェルシーのギャラリー街は、90年代ごろにソーホー地区の地価が高騰し、そこにあったギャラリーが、倉庫が多く落ち着いた雰囲気のあるチェルシー地区に移って現在の形になった。

藤井さんいわく、チェルシーにはゆうに200以上のギャラリーがあるという。今回は僕の独断と偏見で14カ所を取り上げる。少し数は多いが、世界的に有名で現代美術を語る上で重要なギャラリーばかりだ。

(1)ザ・キッチン(The Kitchen) 

-世界的前衛アーティストたちの原点-

1971年にアーティスト集団が設立した芸術の総合施設。ダンス、音楽、パフォーマンス、演劇、ビデオ、映画、アートや文学イベントなど、新進アーティストや著名アーティストによる革新的、前衛的な作品を発表するほか、アーティストの講演なども行う。また、スペース開設当時から現在まで、世界的に有名になったアーティストらのキャリアをスタートするのを助けた。2階がギャラリースペース。1階がシアタースペースだ。

この施設はシアターも兼ね備えているため、入り口は他のギャラリーに比べてやや個性的だ

この施設はシアターも兼ね備えているため、入り口は他のギャラリーに比べてやや個性的だ

写真上:ギャラリースペースでのレックス・ブラウンの個展風景/Lex Brown: Animal Static was presented at The Kitchen in January—February 2019. Photo: Kyle Knodell. Courtesy of the artist and The Kitchen. 写真下:シアターでのマリア・ハサウェイのパフォーマンス写真/Maria Hassabi: STAGED? was presented at The Kitchen in October 2016. Photo: Thomas Poravas. Courtesy of the artist and The Kitchen.

写真上:ギャラリースペースでのレックス・ブラウンの個展風景/Lex Brown: Animal Static was presented at The Kitchen in January—February 2019. Photo: Kyle Knodell. Courtesy of the artist and The Kitchen.
写真下:シアターでのマリア・ハサウェイのパフォーマンス写真/Maria Hassabi: STAGED? was presented at The Kitchen in October 2016. Photo: Thomas Poravas. Courtesy of the artist and The Kitchen.

(2)デイビッド・ズワーナー(David Zwirner)

-挑戦的な作品を続々発表-

90年代にデイビッド・ズワーナーによりソーホー地区の狭いスペースで始まったこのギャラリーは、今ではNYに3カ所(チェルシーには2カ所)、さらにロンドンや香港にも施設を構え、その規模はいずれも小さな美術館に匹敵するほどの大きさを誇る。開廊当時から挑戦的な作品を発表し続けている。

デイビッド・ズワーナーの入り口。上の写真は19ストリート(以下st)のギャラリー、下の写真は20stのギャラリー

デイビッド・ズワーナーの入り口。上の写真は19ストリート(以下st)のギャラリー、下の写真は20stのギャラリー

写真上:19ストリートのギャラリーで行われた詩人のジェイムズ・アーサー・ボールドウィン(アメリカの小説家、著作家、劇作家、詩人、随筆家および公民権運動家)の肖像展/Installation view, God Made My Face: A Collective Portrait of James Baldwin, David Zwirner, New York, 2019 Courtesy David Zwirner  写真下:20ストリートのMoMAでも大規模な回顧展が行われた、チャールズ・ホワイトの個展/Installation view, Charles White: Monumental Practice, David Zwirner, New York, 2019 Courtesy David Zwirner

写真上:19stのギャラリーで行われた詩人のジェイムズ・アーサー・ボールドウィン(アメリカの小説家、著作家、劇作家、詩人、随筆家および公民権運動家)の肖像展/Installation view, God Made My Face: A Collective Portrait of James Baldwin, David Zwirner, New York, 2019
Courtesy David Zwirner
写真下:20stのMoMAでも大規模な回顧展が行われた、チャールズ・ホワイトの個展/Installation view, Charles White: Monumental Practice, David Zwirner, New York, 2019
Courtesy David Zwirner

(3)チャンバー・ファインアート(Chamber fine Art)

-現代中国美術の専門ギャラリー-

NYと北京にある現代中国美術を専門とするギャラリー。2000年にクリストファー・W・マオ(Christophe W. Mao)によって設立された。現代美術の世界で急速に頭角を現してきた中国の作品を紹介している。

この施設のほか、NY郊外に現代美術家アイ・ウェイウェイがデザインした収蔵庫兼展示施設「アート・ファーム」がある。

 
写真上:チャンバー・ファインアートの入り口  写真下:同ギャラリーの展示スペース。中国人ピクシー・リャオによる「オープン・キモノ」展。ギャラリストのダニエル・チェンさんに「なぜ彼女はキモノを作品にしたのですか?」と聞くと、「彼女の夫は日本人で、彼女は着物を通して現在の気持ちを表現している」との答えだった/ Pixy Liao (b. 1979): Open Kimono  Courtesy Chambers Fine Art

写真上:チャンバー・ファインアートの入り口
写真下:同ギャラリーの展示スペース。中国のピクシー・リャオによる「オープン・キモノ」展。ギャラリストのダニエル・チェンさんに、彼女はなぜ着物を作品にしたのか聞くと、「彼女の夫は日本人で、彼女は着物を通して現在の気持ちを表現している」との答えだった/ Pixy Liao (b. 1979): Open Kimono Courtesy Chambers Fine Art

(4)ディア・ファンデーション(Dia foundation)

-NY郊外の超巨大ギャラリーの分館-

このエリアで唯一有料のギャラリー。1974年にNYで設立。NY、アメリカ西部、ドイツを象徴する美術作品の常設展、企画展などを行う広大なギャラリーを運営し、教育プログラムにも力を入れている。

※このスペースは現在リノベーションで閉まっている。2020年の秋にリニューアル予定。同じ運営者がマンハッタンの北に構える超巨大なギャラリー「Dia Beacon」は通常どおり運営している。

ディア・ファンデーションの入り口(写真上、下ともに19stにスペースが隣り合っている)

ディア・ファンデーションの入り口(写真上、下ともに19stにスペースが隣り合っている)

 
写真上:ブィンキー・パレーモの展示風景 Blinky Palermo, To the People of New York City, 1976. Installation view, Dia:Chelsea, 545 West 22nd Street, New York, 2018. © Artists Rights Society (ARS), New York/VG Bild-Kunst, Bonn. Photo: Bill Jacobson Studio, New York, courtesy Dia Art Foundation, New York 写真下:ナンシー・フォルトの個展風景 Nancy Holt, installation view, Dia:Chelsea, 541 West 22nd Street, New York, 2018. © Holt/Smithson Foundation/Licensed by VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York. Photo: Bill Jacobson Studio, New York, courtesy Dia Art Foundation, New York

写真上:ブィンキー・パレーモの展示風景/Blinky Palermo, To the People of New York City, 1976. Installation view, Dia:Chelsea, 545 West 22nd Street, New York, 2018. © Artists Rights Society (ARS), New York/VG Bild-Kunst, Bonn. Photo: Bill Jacobson Studio, New York, courtesy Dia Art Foundation, New York
写真下:ナンシー・フォルトの個展風景/Nancy Holt, installation view, Dia:Chelsea, 541 West 22nd Street, New York, 2018. © Holt/Smithson Foundation/Licensed by VAGA at Artists Rights Society (ARS), New York. Photo: Bill Jacobson Studio, New York, courtesy Dia Art Foundation, New York

(5)リッソン・ギャラリー(Lisson Gallery)

-アイ・ウェイウェイ、宮島達男らが所属-

1967年にイギリスで始まったこのギャラリーはNY、ロンドン、上海にもスペースを持っている。開廊当初はミニマルでコンセプチュアルなアーティストを中心に取り扱ってきたが、最近では中国のアイ・ウェイウェイ、イギリスのアニッシュ・カプーア、日本の宮島達男などのアーティストらも取り扱い作家として名を連ねている。

リッソン・ギャラリーの入り口 写真上:10番街沿いのギャラリー 写真下:24stのギャラリー

リッソン・ギャラリーの入り口
写真上:10番街沿いのギャラリー
写真下:24stのギャラリー

写真上:宮島達男さんの個展の様子(10番街)/Installation image Tatsuo Miyajima: Innumerable Life / Buddha Lisson Gallery (11 January – 16 February 2019) © Tatsuo Miyajima; Courtesy Lisson Gallery 写真下:ナンシー・フォルトの個展の様子(24stのギャラリー)/ Installation image Stanley Whitney: In the Color Lisson Gallery (3 November – 21 December 2018) © Stanley Whitney; Courtesy Lisson Gallery

写真上:宮島達男さんの個展の様子(10番街)/Installation image Tatsuo Miyajima: Innumerable Life / Buddha Lisson Gallery (11 January – 16 February 2019) © Tatsuo Miyajima; Courtesy Lisson Gallery
写真下:ナンシー・フォルトの個展の様子(24stのギャラリー)/
Installation image Stanley Whitney: In the Color Lisson Gallery (3 November – 21 December 2018) © Stanley Whitney; Courtesy Lisson Gallery

(6)スリー・オー・スリー・ギャラリー(303 Gallery)

-世界的建築組織が手がけた建物の中に-

1984年に所有者兼ディレクターのリサ・スペルマンによって303パークアベニュー・サウスに設立。ギャラリーは86年にイーストビレッジ、89年にソーホー、96年にチェルシーに移転し、チェルシー内で数回移転した後、現在は、建築家ノーマン・フォスターが率いる建築組織「フォスター+パートナーズ」によって設計された建物内の1階にある。

写真上:スリー・オー・スリー・ギャラリーの入り口。 写真下:ギャラリースペース Installation view: Tala Madani, Corner Projections, 303 Gallery, New York, 2018. © 303 Gallery, New York.

写真上:スリー・オー・スリー・ギャラリーの入り口
写真下:ギャラリースペース/Installation view: Tala Madani, Corner Projections, 303 Gallery, New York, 2018. © 303 Gallery, New York.

(7)グラッドストーンギャラリー(Gladstone Gallery)

-ビョーク&マシュー・バーニーの映像プロジェクトも手がける-

90年代初頭にバーバラ・グラッドストーンによってソーホーで始まったギャラリー。96年にチェルシーへ。現在はNYとブリュッセルにギャラリーを持つ。ミュージシャンのビョークと彼女の元夫マシュー・バーニーの映像プロジェクト、拘束のドローイング9(Drawing Restraint 9)などの映像プロダクションも手がける僕の一番お気に入りのギャラリーでもある。

グラッドストーンギャラリーの入り口 写真上:21stのギャラリー 写真下:24stのギャラリー

グラッドストーンギャラリーの入り口
写真上:21stのギャラリー
写真下:24stのギャラリー

写真上:ウゴ・ロンディノンの個展風景(21stのギャラリー)/Installation view, Ugo Rondinone  the sun, 2018 Gilded bronze 193 x 211 x 21 inches (490.2 x 535.9 x 53.3 cm) Copyright Ugo Rondinone Courtesy the artist and Gladstone Gallery, New York and Brussels Photo by David Regen 写真下:キース・ヘリングの個展(24stのギャラリー)/Installation view, Keith Haring, at Gladstone Gallery, 2018 Courtesy of The Keith Haring Foundation and Gladstone Gallery, New York and Brussels Photography by David Regen

写真上:ウゴ・ロンディノンの個展風景(21stのギャラリー)/Installation view, Ugo Rondinone  the sun, 2018 Gilded bronze 193 x 211 x 21 inches (490.2 x 535.9 x 53.3 cm) Copyright Ugo Rondinone Courtesy the artist and Gladstone Gallery, New York and Brussels Photo by David Regen
写真下:キース・ヘリングの個展(24stのギャラリー)/Installation view, Keith Haring, at Gladstone Gallery, 2018 Courtesy of The Keith Haring Foundation and Gladstone Gallery, New York and Brussels Photography by David Regen

(8)ガゴシアン・ギャラリー(Gagosian Gallery)

-ピカソ、ウォーホル、村上隆らの個展も-

オーナーのラリー・ガゴシアンは1980年、ロサンゼルスに初のギャラリーをオープン。5年後にNYでもギャラリーを開設。89年から96年まで、彼は有名なアート・ディーラーであるレオ・キャステリ(Leo Castelli)と共に、ソーホーのスペースで戦後の著名アーティストの展覧会を行った。現在は欧米と香港に16の展示スペースを持つ。

近年、パブロ・ピカソやアンディ・ウォーホル、草間彌生や村上隆、ゲオルグ・バゼリッツらの個展もガゴシアン・ギャラリーで開催されている。2012年以来、彼らのギャラリーや芸術、芸術家に関する雑誌が年に4回出版されている。

ゴシアン・ギャラリーの入り口(写真は24stのみ)

ガゴシアン・ギャラリーの入り口(写真は24stのみ)

写真上:メアリー・ウェザーフォードの個展風景(24stのギャラリー)/MARY WEATHERFORD I’ve Seen Gray Whales Go By, 2018, Installation View Artwork © Mary Weatherford. Photo: Fredrik Nilsen Studio. Courtesy Gagosian. 写真下:リチャード・プリンスの個展(21stのギャラリー)/ Richard Prince High Times November 1–December 19, 2018 Gagosian, 522 West 21st Street, New York, NY

写真上:メアリー・ウェザーフォードの個展風景(24stのギャラリー)/MARY WEATHERFORD I’ve Seen Gray Whales Go By, 2018, Installation View Artwork © Mary Weatherford. Photo: Fredrik Nilsen Studio. Courtesy Gagosian.
写真下:リチャード・プリンスの個展(21stのギャラリー)/
Richard Prince High Times November 1–December 19, 2018 Gagosian, 522 West 21st Street, New York, NY

(9)ティナ・キム・ギャラリー(Tina Kim Gallery)

-韓国出身アーティストを中心に取り扱う-

2001年にNYで設立された、チェルシーにあるギャラリー。韓国出身のアーティストを中心に、国際的に活躍する現代芸術家を取り扱う。世界最大規模のアートフェア(ギャラリーの見本市)としてスイスやマイアミ、香港で開かれる「アートバーゼル」にも出展するなど、精力的に活動している

写真上:ティナ・キム・ギャラリーの入り口 写真下:ギムホングソック(Gimhongsok)「ダスト ダウト」展風景

写真上:ティナ・キム・ギャラリーの入り口
写真下:ギムホングソック(Gimhongsok)「ダスト ダウト」展風景

(10)ハウザー・アンド・ワース(Hauser & Wirth)

-農業、飲食……アートの枠を超えた活動を展開-

1992年にスイスのチューリヒに設立。本の出版、講義やインタラクティブセミナー、革新的なワークショップなどにも力を入れている。他にも、スコットランドで農業経営を行ったり、アメリカではレストランやバーを経営したりするなど、アートの枠を超えた活動を展開している。個人的には一連の活動は富裕層に向けたものではないかと感じている。

ハウザー・アンド・ウアイアースはギャラリースペースと本屋などのスペースが併設されている 写真上:ギャラリースペース  写真下:本屋とバー、レストランスペースの入り口

ハウザー・アンド・ワースはギャラリースペースと本屋などが入るスペースが併設されている
写真上:ギャラリースペース
写真下:本屋とバー、レストランスペースの入り口

写真上:ギャラリースペースでのローナ・シンプソンの「ダークニング」展風景/© Hauser & Wirth   写真下:本屋とバー、レストランスペースの入り口。建物内では双方が繋がっている/© Hauser & Wirth  Hauser & Wirth Publishers Bookshop, Hauser & Wirth New York, 22nd Street  Photo: Timothy Schenck

写真上:ギャラリースペースでのローナ・シンプソンの「ダークニング」展風景/© Hauser & Wirth  
写真下:本屋とバー、レストランスペースの入り口。建物内では双方が繋がっている/© Hauser & Wirth  Hauser & Wirth Publishers Bookshop, Hauser & Wirth New York, 22nd Street  Photo: Timothy Schenck

(11)メトロ・ピクチャーズ(Metro Pictures)

-所属作家の作品が世界的美術館にいくつも展示-

1980年にNYで設立。世界最大級のミュージアム「メトロポリタン美術館」で2009年に行われた展覧会「ザ・ピクチャーズ・ジェネレーション展」にはメトロ・ピクチャーズ所属作家の作品が多く含まれていた。それは彼らがアメリカの現代美術の発展に貢献したことを意味する。

数回の移転を繰り返し、2016年に建築事務所「チェルシー1100アーキテクツ」による新しいデザインでギャラリーを一新。現在に至る。

写真上:メトロ・ピクチャーズの入り口 写真下:同ギャラりーのロバート・ロンゴの個展風景。吊るされた球は40000万発のマシンガンの弾丸が放射線状に作られたもの。戦争を批判する作品。  Robert Longo Death Star 2018, 2018 approximately 40,000 inert bullets (brass, copper, lead) welded to the frame; steel I-beams; steel chain 254 1/2 x 254 1/2 x 144 inches (overall) 646.4 x 646.4 x 365.8 cm 77 inches (sphere diameter), 195.6 cm Installation view, Metro Pictures, New York, 2019.

写真上:メトロ・ピクチャーズの入り口
写真下:同ギャラリーのロバート・ロンゴの個展風景。吊るされた球は4万発のマシンガンの弾丸が放射線状に作られたもの。戦争を批判する作品/ Robert Longo Death Star 2018, 2018 approximately 40,000 inert bullets (brass, copper, lead) welded to the frame; steel I-beams; steel chain 254 1/2 x 254 1/2 x 144 inches (overall) 646.4 x 646.4 x 365.8 cm 77 inches (sphere diameter), 195.6 cm Installation view, Metro Pictures, New York, 2019.

(12)マシュー・マークス・ギャラリー(Mashew Marks Gallery)

-世代の異なる欧米27人のアーティストが所属-

1991年に設立。世代の異なるヨーロッパとアメリカの27人のアーティストの作品を取り扱う。ギャラリーでは絵画、彫刻、写真、映画、版画など、あらゆるメディアの作品で、毎年13~15の展示があり、その多くを書籍として出版している。

2012年、マシュー・マークス・ギャラリーはロサンゼルスにも施設をオープンした。今回チェルシーを案内していただいたキュレーターの藤井さんのお気に入りのギャラリーでもある。

写真上:マシュー・マークス・ギャラリーの入り口(24ストリートの写真のみ) 写真下:ギャラリー・スペースでのデイビッド・ワイズの個展風景(24ストリートの写真のみ)/© The Estate of David Weiss, Courtesy Matthew Marks Gallery1

写真上:マシュー・マークス・ギャラリーの入り口(24stの写真のみ)
写真下:ギャラリー・スペースでのデイビッド・ワイズの個展風景(24stの写真のみ)/© The Estate of David Weiss, Courtesy Matthew Marks Gallery1

(13)ペース・ギャラリー(Pace Gallery)

-世界10カ所にギャラリーを所有-

1960年にアン・グリムシャーによってボストンに設立。63年にマンハッタンに移り、93年から2010年にかけては古いマスターペインティング(評価が定着している著名アーティストの作品)を専門としていた。 現在ではアンの息子マーク・グリムシャーがペース・ギャラリーの社長兼最高経営責任者。世界中に10カ所のギャラリーを所有している。

現代美術家が選ぶニューヨーク・チェルシーで見るべき14のギャラリー

ペース・ギャラリーの入り口(21stの写真のみ)

写真上:21stで行われていてたジェイアールさんの新作展(写真はサンフランシスコでの同ギャラリーでの作品)JR The Chronicles of San Francisco, Ballerina, Work in progress, USA, 2018 laser cut cardboard, ink jet print, printed duraclear, plexiglass, steel frame framed, 120 cm × 200 cm × 7 cm © JR 2018 写真下:韓国人で日本にも関わりの深いアーティスト、リー・ウーファンさんの新作展(25stのギャラリーの展示風景より)/Installation view of Lee Ufan  510 West 25th Street, New York, NY  September 14 – October 13, 2018  Photographed by Mark Waldhauser/© 2018 Artists Rights Society (ARS), New York / ADAGP, Paris, courtesy Pace Gallery

写真上:21stで行われていてたジェイアールさんの新作展(写真はサンフランシスコでの同ギャラリーでの作品/JR The Chronicles of San Francisco, Ballerina, Work in progress, USA, 2018 laser cut cardboard, ink jet print, printed duraclear, plexiglass, steel frame framed, 120 cm × 200 cm × 7 cm © JR 2018
写真下:韓国人で日本にも関わりの深いアーティスト、リー・ウーファンさんの新作展(25stのギャラリーの展示風景より)/Installation view of Lee Ufan  510 West 25th Street, New York, NY  September 14 – October 13, 2018  Photographed by Mark Waldhauser/© 2018 Artists Rights Society (ARS), New York / ADAGP, Paris, courtesy Pace Gallery

(14)マリアンヌ・ボエスキー・ギャラリー(Marriane Boesky Gallery)

-現代美術作品を発表する国際的アーティストをサポート-

1996年の創業以来、マリアンヌ・ボエスキー・ギャラリーの使命は、あらゆるメディアの現代的な国際的アーティストの作品を発表し、サポートすること。ギャラリーは2016年にスペースを拡大。17年にコロラド州アスペンにギャラリー「ボエスキー・ウエスト」もオープン。現在、NY(2カ所)とアスペンに計三つのギャラリーを構え、世代と背景の異なる30人のアーティストの作品を取り扱っている。

マリアンヌ・ボエスキー・ギャラリーの入り口。チェルシーでは中央の建物とそれに付随したハイライン下のスペースの2カ所のスペースを運営する

マリアンヌ・ボエスキー・ギャラリーの入り口。チェルシーでは中央の建物とそれに付随したハイライン下のスペースの2カ所のスペースを運営する

彫刻家のフランク・ステラ(83歳)の新作展を二つのスペースで行っていた。現在も現役のスター・アーティストの1人。"Courtesy of the artist and Marianne Boesky Gallery, New York and Aspen. © 2019 Frank Stella / Artists Rights Society (ARS). Photo Credit: Object Studies."

彫刻家のフランク・ステラ(83歳)の新作展を二つのスペースで行っていた。現在も現役のスター・アーティストの一人/”Courtesy of the artist and Marianne Boesky Gallery, New York and Aspen. © 2019 Frank Stella / Artists Rights Society (ARS). Photo Credit: Object Studies.”

ちなみに1977年ソーホーに設立され、画家で映画監督のジュリアン・シュナーベルやジャン=ミシェル・バスキアなどを取り扱っていたギャラリー「メアリー・ブーン・ギャラリー(Mary Boone Gallery)」は今春クローズした。知名度の高いギャラリーだけに、なぜこのラインアップに含まれていないのか、と疑問に思う人もいるかもしれないと思ったので、付記しておく。

ギャラリーを見ていくなかで僕が思ったのは、この国の美術業界には独自の歴史や文脈があり、それは日本やヨーロッパとは違うものだ。つまりいくらアメリカで成功したからと言って、それが他の国で通用するとは限らないということだ。

現代美術家が選ぶニューヨーク・チェルシーで見るべき14のギャラリー

23stの駅からチェルシーのギャラリー街へ最短で向かうために通るこの道。ハイラインから見た少し古いタイプの高級マンション群が、大きな夢やお金が動くギャラリー街とは無縁そうな面持ちで立ち並ぶ。アーティストらがNYのアート界への挑戦や敗北の気持ちをかかえながら通るのが、この少し冷たい印象のある高級住宅街の通りである。

ここを通ると若き日にもがいた記憶がよみがえる。だが、藤井さんと2人で作品やアーティスト、キュレーターについて、酒のさかなをつまむように話しながら帰ると、思いのほか楽しい気分になった。NYに来たら、こんな1日があってもいい――。当時1人で通っていたときより、足どりはどこか軽く感じられた。

7月開催予定の個展に向けて製作中の伊藤のNYにあるアトリエ風景。地元のアーティストの濱野怜子さんのアトリエの一部をサブレット(間借り)している。物価の上昇により、スタジオ代もかなり値上がりしており、サブレットはこちらのアーティストではよくある光景。昔ながらのロフト(倉庫)を改造したスタジオで数本のパルテノン神殿のようなの柱のある天井の高い作り(約5メートル)になっている

7月開催予定の個展に向けて作品を製作中の、伊藤のアトリエ。地元のアーティスト濱野怜子さんのアトリエの一部をサブレット(間借り)している。物価の上昇により、スタジオ代もかなり値上がりしており、サブレットはこちらのアーティストではよくある光景。昔ながらのロフト(倉庫)を改造したスタジオで数本のパルテノン神殿のような柱のある天井の高い造り(約5メートル)になっている

PROFILE

伊藤知宏

1980年生まれ。東京・阿佐ケ谷育ちの現代美術家。日本政府から助成金を得てニューヨークへ渡米。武蔵野美術大学卒。東京や欧米を中心に活動。ポルトガル (欧州文化首都招待〈2012〉、CAAA招待〈2012-18毎年〉)、セルビア共和国(NPO日本・ユーゴアートプロジェクト招待〈12、14〉)、キプロス共和国(Home for Cooperation招待〈17〉)他。ギャラリー、美術館、路地や畑などでも作品展を行う。近年は野菜や花、音や“そこにあるものをえがく”と題してその場所にあるものをモチーフに絵を描く。谷川俊太郎・賢作氏らとコラボレーションも行う。ホルベインスカラシップ受賞。文化庁新進芸術家海外研修制度研修員(2018-19)および日米芸術家交換計画日本側派遣芸術家。

衰退からの復興 ポルトガル・ギマランイスに見る文化・芸術の光

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希少なグラフィックアートがずらり NYの「パンク」展覧会

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