一眼気分

パノラマの比率で切り取ったハワイのマジックアワー

最近のカメラではほとんどの機種でアスペクト比(画面の縦横比)を選択設定できるのだが、皆さんはどうしているのだろうか? 自分は長い間35mmフィルムというフォーマットで撮影をしてきたので、3:2の比率が自然と身についているが、人によって異なるかもしれない。

自分が一番心地よいアスペクト比にこだわることも大切だが、時には全く異なる比率の画面に挑戦してみるのも面白いかもしれない。

ハワイ・ワイキキ界隈

そこで使ってみたのがシグマの「SIGMA dp Quattro」というマニアックなカメラだ。14mm(35mm換算で21mm)という超ワイドレンズを搭載。焦点距離は固定で、レンズも交換できない…… ズームレンズが全盛の時代にあえて生み出された。

外見もかなり個性的だが、そのこだわりが「レンズ一本勝負!」の好きな僕の心をつかんだ。スナップシューティングに面白いかもと入手したのだが、仕事絡みになるとなかなか持ち出す機会がなくて、我が家の防湿庫に収まってから3年近く過ぎた。

ハワイの夕日

そんな時、久しぶりにカメラを持っていかなくてもいい出張の機会があったので、これはチャンスとばかりにこれ「dp 0」1台だけ持って機上の人となった。

最初にこのカメラを手にした時に気に入った点に、選択できるフレーミングの種類の多さがあった。1:1から21:9までの6種類から選べるのだが、35mmフォーマットのアスペクト比である3:2に慣れている僕には、その他のアスペクト比が新鮮で、その中でも特に16:9と21:9が面白く感じた。そこで、今回は通称パノラマサイズとも呼ばれる16:9を試してみた。いまでは慣れて、自然に感じるようになってきた比率だ。

ハワイ・ワイキキのビーチ

そもそもの画角の由来については省くが、ファインダーで見る(dp 0の場合は背面の液晶モニター)この画角は相当刺激的で、今まで僕が培ってきたフレームワークとは確実に異なるもので、新鮮な感覚で撮影する楽しみがあった。

撮影地はハワイのワイキキ界隈。今まで仕事絡みで何度も訪れているが、今回はわずか数日の滞在。撮影ではない仕事の打ち合わせもあったので、大好きなマジックアワーには2回しか挑めなかったが、それでもやはり素晴らしい時間だった。

ハワイの夕景

通常の撮影時は、何本もの交換レンズや何台ものカメラを使うが、レンズもボディーも1台だけで撮ることも時には楽しく、いい経験になる。何よりもカメラでは距離をどうしようもないので、自分がひたすら動いてベストなポジションを探す。学生時代、お金がなくて交換レンズを買えなかったころ、標準レンズ1本で広角や望遠に見えるように自分の位置やアングルを変えて撮っていたことを思い出した。

ハワイの夕景

もちろん交換レンズはインパクトも効果もある。でも写真の原点とも言える創意工夫や、フレーミングの経験値を上げるには1本のレンズで色々な撮影をしてみることも大切かもしれない。そしてその積み重ねが、撮影者の引き出しの多さにつながるのだ。

パノラマの比率で切り取ったハワイのマジックアワー

パノラマの比率で切り取ったハワイのマジックアワー

(撮影はいずれもSIGMA dp0 Quattro)

PROFILE

宮田正和

東京浅草生まれ。1984年のロサンゼルス・オリンピックをはじめ、NBAバスケットボール、各種世界選手権、テニスのグランドスラム大会、ゴルフの全英オープンなどスポーツを中心に世界を舞台に撮影を続ける。1987年、ブラジルF1グランプリを撮影。マシンの持つ美しさ、人間模様にひかれ、1988年よりフランスのパリ、ニースに4年間ベースを移し、以来F1グランプリ、オートバイの世界選手権、ルマン24時間耐久レースなどモータースポーツをメインテーマとして活動を続ける。AIPS(国際スポーツ記者協会会員)A.J.P.S(日本スポーツプレス協会会員)F.O.P.A(Formula One Photographers Association会員)

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