本田圭佑、ブロックチェーンファンド設立へ「誰もが夢を追い続けられる世界をつくる」

サッカー元日本代表の本田圭佑さんが登壇すると、一瞬のどよめきの後、万雷の拍手が送られた。

5月30日の東京ミッドタウン。マーケティングや広告、テクノロジーなどの分野で活躍するプロフェッショナルが集まるイベント「Advertising week asia 2019」の最終カンファレンスでの一幕だ。

本田さんはこの日、サッカー選手としてではなく、経営者であり投資家の本田圭佑として同イベントに招かれ、次なるビジネス活動への思いを語った。

本田圭佑さん

本田圭佑さん

本田さんは、これまで50社を超える企業に投資してきたほか、昨年には俳優ウィル・スミスさんとベンチャーファンドを設立するなど、幅広いビジネスを展開している。本田さんは、自身を突き動かしているのは「誰もが夢を追い続けられる世界をつくりたい」という思いだと語った。海外移籍後、訪れた様々な国で、経済的に恵まれない子供たちの状況を目の当たりにしたことで芽生えてきた気持ちだという。

そして今回のイベントで本田さんは、自身の思い描く社会の実現に向けた次の一手として、「ブロックチェーンファンド」の設立を目指すことを発表した。事業内容や出資先など具体的な内容は語らなかったが、ブロックチェーン(*)への強い関心を持っており、「すでに業界全体が盛り上がっているし、出遅れたら取り返しがつかない」という思いを語った。

(*)金融取引などの記録をネットワーク上で管理する技術。特定の管理者はおらず、世界中から参加する人々がインターネット上で取引の記録を共有し、検証し合うことで、記録改ざんや不正取引を防ぎ、正しい記録を蓄積する仕組み

大日方祐介さん

大日方祐介さん

壇上には、本田さんの隣に、ファンドの設立メンバーとなる大日方祐介さんが座った。大日方さんはブロックチェーンカンファレンス「NodeTokyo」や、ブロックチェーン、暗号資産領域の最新情報を発信するコミュニティー「CryptoAge」の創設者であり、業界の動向にも詳しい。

大日方さんは、本田さんのファンド設立メンバーに加わった理由について、「これほどピュアに世界に目を向けて『やるならトップを目指そう』と語る人に、これまでほとんど会ったことがなかった。ビジョンの持ち方が自分と近い」と説明。

さらに、ブロックチェーンを巡る世界の動向にも触れ、「これまでITベンチャーの世界はシリコンバレーが中心でしたが、ブロックチェーンで注目を集めているのはアジア。特に日本は、世界初のビットコインの法律を制定したほか、この1、2年でディベロッパーのコミュニティーも広がるなどして海外から大きく注目されている。これからどんどん新しい動きが出てくる領域だし、その現状に僕ら若い世代はめちゃくちゃ興奮しています」と語った。

ブロックチェーンの現状について語り合う本田さんと大日方さん

ブロックチェーンの現状について語り合う本田さんと大日方さん

この大日方さんの言葉を聞いた本田さんにもスイッチが入った。

「今そういうチャンスが広がっているのに、日本の起業家は全般的に意識が高くないように感じる。日本の人口は減る一方で、世界の人口は増加傾向にある。それを意識して動くかどうかで、1年後、5年後、10年後の成果は天と地の差だと思う。新しいチャレンジをするとき、ポイントになるのは自分のビジョンに共感してくれる、熱い志を持った仲間を集められるかどうか。結局一人じゃ何もできないですから」

満員の会場

満員の会場

二人の話を聞いた参加者からは、「なぜ日本人は海外で勝負することや、新しい挑戦に尻込みしてしまいがちなのか?」「その改善策はないのか?」などと質問が寄せられた。

本田さんは、以下のように答えた。

「これは日本の根本的な問題で、失敗に寛容ではないことが大きい。僕が実質的にサッカーの代表監督を務めるカンボジアも似たようなところがあって、彼らもものすごくミスを怖がる。でも、ミスは全然悪いことではなくて、むしろ“うまくいかなかったことがわかる”という点において大きな価値がある。だから僕は、ミスした選手に必ずガッツポーズするよう指導した。ミスを隠したり、監督の顔色をうかがったりしないように」

本田圭佑さん

本田圭佑さん

「そもそもミスは挑戦した証しです。そして成功するためには挑戦は必須です。この考え方に賛同する人が増えて、どんどん広がっていけば、日本の常識も変わっていくのではないでしょうか。かつての日本は攻める国だったと思いますが、いつしか豊かになって守る側になってしまった。『攻撃は最大の防御なり』ですよ」

カンファレンスの最後には、サッカーとブロックチェーンに関する質問も寄せられた。昨年、フランス・リーグ1のパリ・サンジェルマンが、ブロックチェーン技術提供企業とパートナーシップを組み、ファンが様々な特典を獲得できるようになる独自通貨を発行する取り組みを始めた。それを引き合いに出し、本田さんなら「サッカー×ブロックチェーン」でどんなことに取り組んでみたいか、という問いかけだ。

本田さんは「これは全く“公約”ではないですよ」と断った上で次のように語った。

「僕はサッカーファンがクラブのオーナーになれないのがずっとおかしいと思っていて。ファンはもしかしたら、『オーナーになりたい』という思いをオーナーよりも強く持っているかもしれない。ブロックチェーンでクラブがトークンを発行し、それを保有することでクラブの意思決定を投票して決めるような仕組みもできるのではないか。これはサッカーにとどまらない。ブロックチェーンにはバスケやラグビーなど、従来のスポーツクラブの経営スタイルを変えられる可能性があると思います」

(取材・&M編集部 撮影・森カズシゲ)

本田圭佑さん

本田圭佑さん

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