小川フミオのモーターカー

高い信頼性とオーナーの満足度 スバルが米消費者情報誌で得た高評価を考える

少し前のことになるが、改めて話題にしたい出来事があった。スバルが米国の月刊誌『コンシューマー・レポート(Consumer Reports)』の「Best+Worst」というクルマ特集号でベストブランドに選ばれたのだ。公正中立を旨とし、エアコンからファストフードにいたるまで消費者のための徹底評価を行うことで知られる同誌がべた褒めというのは、大したニュースだと思う。

高い信頼性とオーナーの満足度 スバルが米消費者情報誌で得た高評価を考える

スバル・アセントが表紙を飾った米『コンシューマー・レポート(Consumer Reports)』誌のクルマ特集号(宅配版)

2019年4月にニューヨークの自動車ショーで、スバルは新型「アウトバック」のお披露目を大々的に行った。その際、私がスバルの開発陣を取材中に、先方の口から同誌の評価について何度も「とてもうれしい」という言葉を聞いた。

それはそうだろう。私も『コンシューマー・レポート』誌の何たるかは知っているつもりだ。日本の『暮しの手帖』は、同誌を参考にして商品テストを始めたとも言われている。ちなみに『コンシューマー・レポート』は1936年創刊、『暮しの手帖』は48年創刊だ。

2誌に違いがあるとしたら、『コンシューマー・レポート』誌はクルマも手がけ、その評価を購買のよすがにする消費者が多いということだ。同誌ではテスト車両を一般消費者を装って購入し、徹底的に項目ごとのチェックを行い、さらにユーザーからのオピニオンを加味するようである。

かつて1965年に米国の弁護士ラルフ・ネーダーが「Unsafe At Any Speed(いかなる速度でも危険)」という本を著し、米国車のなかには横転の危険性をはらむモデルもあると指摘したことがある。私はそのことを思い出した。米国の消費者(運動)はいまでも活発なことがうらやましい。

同誌によるスバルの評価はおおむね下記のようなものだ。

「BMW(総合7位)やポルシェ(同3位)はロードテストの結果はより高かったものの、スバルの明らかな信頼性やオーナー満足度がトップへと導いた」

2019年3月に発行されたクルマ特集号の宅配版では、総合評価で96ポイントを獲得したスバルのミドルクラスのSUV「アセント」が表紙となっていた(市販版の表紙は88ポイントでラグジュアリーSUVのトップとなったBMW X5)。

まるで取材の筋書きが出来ていたかのようだが、ニューヨークで私はちょうどこのアセントをドライブする機会があった。3列シートのSUVで、2.4リッターの水平対向4気筒エンジンにシンメトリカルAWDとスバルが呼ぶ四輪駆動システムが組み合わされている。

トルクがたっぷりあって、運転しやすい。同時にステアリングは正確で、かつ切り込んだときに車体の反応が速い。考えていた以上にスポーティだったのは、SUVにも他とは一線を画すキャラクターを盛り込むスバルの独自性ととらえられて、好ましいモデルだ。

米国にスバルが進出したのが1968年で、それ以来、東海岸やミッドウェストなど降雪のある地域を中心に確固たる販売ネットワークを築いてきた。アセントは人気の裏付けになるようなドライブフィールを持つモデルだった。19もカップホルダーがあるのも米国でウケる理由のひとつだろう(車体のサイズが大きくて日本市場への導入は考えられていないらしい)。

私はスバルを米国で買おうとしている人に、『コンシューマー・レポート』誌の評価について意見を聞いてみたくなった。アセント試乗の手配をしてくれたスバルの担当者に無理筋のお願いをしてみたところ、試乗の途中で、ペンシルベニア州のアレンタウン(ビリー・ジョエルの歌のタイトルだ!)にあるディーラーを訪ねることができた。

「ショッカ・スバル(Ciocca Subaru)」という名のディーラーは、新車から認定中古車まで扱っていて、さらに大きなサービス(整備)工場からカーウォッシュまで備えていた。清潔なショールームに入ると、案の定というか、訪問客と商談するためのテーブルに同誌が置かれていた。

高い信頼性とオーナーの満足度 スバルが米消費者情報誌で得た高評価を考える

ペンシルベニア州アレンタウンのスバルにあるディーラーにも同誌のクルマ特集号が置かれていた

娘さんのためのクルマを探しに来ていた女性に、同誌の評価について知っているか聞いてみると、「ここに来る前に『コンシューマー・レポート』誌を読んでました。スバルはもともと好きなブランドでしたが、今回の評価で迷いがなくなりました」と答えてくれた。ディーラーのグレッグ・R・チョッカCEOは「同様のことを言うお客は多いですよ」と教えてくれた。

私も米国を訪れると同誌のクルマ特集号を入手するようにしていて、日本でも同様の評価誌を出せないものかと考えていた時期がある。実現できなかった最大の課題は、ほぼすべての市販車をテストするだけの資金の工面方法だった。

今回の『コンシューマー・レポート』誌の編集部にコンタクトをとろうと思ったが、評価に関する質問はいっさいお断りという姿勢のようだ。鉄のカーテンである。そこが信頼性につながるのだろう。いずれにしても、今回のベストの評価は賞賛に値するものだし、スバル車を日頃評価している身としては、なんとなくうれしかった。

高い信頼性とオーナーの満足度 スバルが米消費者情報誌で得た高評価を考える

スバル・アセントは3列のシートを備えている(写真提供=スバル)

(文/写真・小川フミオ)

PROFILE

小川フミオ

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

軽自動車という制約の中で性能をとことん追求したスズキ・アルトワークス

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