ノジュール

<第68回>“おもてなし”で選ぶ、日本のクルーズ

<第68回>“おもてなし”で選ぶ、日本のクルーズ

近頃はテレビショッピングでも見かけるようになったクルーズの旅。「高嶺の花」と諦めていた時代はすでに過去。現在は2020年に向けて全国多くの港が国際クルーズ拠点としての整備を進め、海に囲まれた国ニッポンならではの旅の楽しみは、ますます広がりを見せています。また、クルーズとひと口に言っても、豪華客船から大型のカジュアル船、身近な観光船まで、その種類は多種多様です。ここではサービスの質の高さに定評がある、日本らしい“おもてなし”でファンをつかむ日本船3社に焦点を当てて、その楽しみ方についてご紹介していきます。

飛鳥Ⅱの玄関口「アスカプラザ」の豪華な雰囲気からクルーズの旅が始まる

飛鳥Ⅱの玄関口「アスカプラザ」の豪華な雰囲気からクルーズの旅が始まる

「飛鳥Ⅱ」は初代「飛鳥」からその名を引き継いで13年。船内の豪華さに加えて、きめ細かなもてなしと気品あふれる雰囲気は、一流ホテルを思わせるほどです。平成8年に飛鳥で始まった世界一周旅行は飛鳥Ⅱでも復活し、令和2年4月にも横浜港から103日間の長旅に出る予定になっています。寄港地は16か国、25港。この世界一周クルーズは、発売と同時にほぼ予約で埋まってしまうほどの人気を誇り、令和2年で23回目を迎えます。その他にも、アジア・オセアニア方面、ハワイ・アラスカ方面のロングクルーズの他、日本一周や日本の夏祭りを巡るクルーズなどコースは多岐にわたり、年間乗船者数は約6万5000人。クルーズ専門誌の「クルーズシップ・オブ・ザ・イヤー」では、27年連続で総合部門・日本船部門のトップに選ばれています。

12畳の広さの共有和室「遊仙」は、誰でも自由に利用できるスペース

12畳の広さの共有和室「遊仙」は、誰でも自由に利用できるスペース

日本人の乗船客が多い飛鳥Ⅱでは、フロント、客室電話は24時間体制で日本人スタッフが対応。社交ダンス、アクセサリーづくり、スポーツゲームなど各種アクティビティやツアーエスコートなどもほぼ日本人スタッフが付くので、日本語だけで過ごせるのも嬉しいところ。さらに、ひとり当たりのスペースは日本船籍の客船のなかで最大級。船内はゆったりとして落ち着きがあり、展望大浴場や車いす対応のバリアフリー客室、海が見える和室も備えています。リピーターが多く、根強いファンに愛され続けてきた飛鳥Ⅱ。日本人が寛げる贅沢なもてなしがその人気の理由のようです。

コンパクトにまとまっていて、落ち着きのある風情の「にっぽん丸」

コンパクトにまとまっていて、落ち着きのある風情の「にっぽん丸」

最大乗客数524人と、日本船籍の3客船中もっとも小さい「にっぽん丸」。乗客一人ひとりに目が行き届いたおもてなしが「居心地がよい」と評判を呼んでいます。国内クルーズが多いにっぽん丸は、全国各地の花火大会や夏祭りを観覧するクルーズが人気。船内ホールに櫓(やぐら)を組み、本格的な縁日コーナーまで用意するなど、心憎いまでのサービスがあらゆる場面で感じられるのも、伝統ある日本船ならではの特徴だと言えるでしょう。

寄港地で仕入れる新鮮な食材が生かされた料理がにっぽん丸の特徴

寄港地で仕入れる新鮮な食材が生かされた料理がにっぽん丸の特徴

にっぽん丸の行き届いたホスピタリティーは食事によく表れていて、乗客の年齢層や男女比、寄港地の気温や天候なども考慮して献立を作っているほど。「お客様の心に残る料理を召し上がっていただきたい」と語る総料理長の思いが込められた料理は、味付けもやさしく、乗客の大半を占めるシニア世代に好評です。なかでも名物は焼き立ての自家製パン。パン職人が前夜から生地をこね、夜明けとともにオーブンに入れられたパンが朝食のテーブルに届きます。クレッセント(塩パン)、食パン、デニッシュなど種類も豊富で、パンに練り込む野菜やフルーツなども寄港地で仕入れるというこだわりよう。平成30年9月には新規格「横浜/神戸クルーズにっぽん丸 パンまつり」が登場し、今年3月にはすでに2回目が開催されました。さらに、かつての南米航路時代から受け継がれたカレーは、通販が行われているほどの人気商品。まずは家庭で「食のにっぽん丸」のクルーズ気分を楽しんでみるのも一興かもしれません。

「ぱしふぃっく びいなす」のメインダイニングルーム「プリマヴェーラ」

「ぱしふぃっく びいなす」のメインダイニングルーム「プリマヴェーラ」

平成30年4月に就航20周年を迎えた「ぱしふぃっく びいなす」。日本船籍3社のなかではもっとも新しく、姉妹船「おりえんと びいなす」の後継船として平成10年に就航しました。明るく大らかな大阪の土地柄そのままに、船内の雰囲気もカジュアル。「ふれんどしっぷ」の愛称で親しまれています。「我が家のようなおもてなしで、堅苦しさがない」というのが最大の特徴と言えるでしょう。船内の飲食・イベント施設がすべて同じ「ランデブーデッキ」に置かれて、客室からの移動に欠かせないエレベーターも船体の中央に設置。こうした構造の特徴によって歩く距離が短くなり、乗客同士のコミュニケーションの機会も増えるので、フレンドリーな雰囲気は自然と高まってきます。クルーズ中に親しくなって食事も同席するようになる乗客もいるので、初めてのクルーズやひとり旅にうってつけと言えそうです。

乗客とクルーのふれあいタイム「ふれんどしっぷナイト」も人気

乗客とクルーのふれあいタイム「ふれんどしっぷナイト」も人気

また、比較的小型な船ゆえに、利尻島、礼文島、小豆島、五島列島、屋久島、小笠原諸島など、大型船が入れない小さな港にも寄港できるため、島巡りのクルーズなどでも個性を発揮。そしてこの小回りの利いた特徴は、寄港地の食文化を表す料理にも反映されていて、つねにバラエティーに富んだ料理が楽しめるようになっています。カジュアル感覚で過ごせる船ですが、ゆったりと過ごしたい人には「サロンクラス(ロイヤルスイート、スイート)」を選べば、専用のダイニングサロン「グラン・シエクル」で専属のシェフの料理を楽しむこともできるので、ひとクラス上の贅沢(ぜいたく)を満喫したいときにぜひいかがでしょうか。

その他、ノジュール6月号は「なつぞらの北海道へ」を巻頭特集にすえ、朝のテレビドラマで注目を集める十勝をはじめ、知床、阿寒、積丹……。大自然の絶景と美味を訪ねる旅のプランを、さまざまなアイデアとともにご紹介しながら、広大な北の大地を効率よく巡るモデルコースのご案内も充実させました。誌面の一部は、立ち読みページのあるホームページからもご確認いただけますので、この機会にどうぞ訪れてみてください。

■ノジュール:鉱物学の専門用語で硬くて丸い石球(団塊)のこと。球の中心にアンモナイトや三葉虫の化石などの“宝物”が入っていることがある。

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<第67回>古くて新しい、ものつくりの町「蔵前」へ

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