キャンピングカーで行こう!

キャンピングカー、キャンピングトレーラーの車検で失敗しないために

「自動車が保安基準に適合すること」を「定期的に確認する」のが車検という制度です。キャンピングカーはもちろん、エンジンのついていないキャンピングトレーラーも「自動車」ですから、車検は受けねばなりません。今回はそんなキャンピングカー、キャンピングトレーラーの車検についてご説明します。よく誤解をされるのが「有効期間」です。キャンピングカーの場合「ベース車両の有効期間に準じるんでしょ?」という方が多いのですが、さにあらず。

現在のナンバーによって決まる車検の時期

キャンピングカーはベースになった車両ではなく、あくまで「現在のナンバー」によって決まります。具体的に言うと、1ナンバーや4ナンバーのワンボックスバンの有効期間は1年間(初回2年間)ですが、そのワンボックスバンをベースにしたキャンピングカーで、8ナンバーで登録されている車両ならば、有効期間は2年間(初回2年間)になります。あえて8ナンバー登録をしないタイプを買い求める人もいますが、車検のことも視野に入れて考えないと維持費が大きく変わってきますよね。

さて、車検の目的とは何でしょうか。それは「その車両が保安基準に適合しているか」の確認をすることです。検査項目としては、ワイパーやウインカーなどがキチンと作動しているか、排気ガスは既定の範囲に浄化されているか、ブレーキは効くかといった、主に安全面が中心となります。これらは、対象がキャンピングカーであろうとなかろうと大切なポイントですが、キャンピングカー登録をして8ナンバーをつけている車種には独自の検査として「構造要件を満たしているか」のチェックがあります。

車種ごとの車検有効期間
車種 有効期間
初回 2回目以降


4ナンバー 2年 1年
5ナンバー
5ナンバー
3年 2年
8ナンバー
(トレーラー含む)
2年 2年



5ナンバー 3年 2年
4ナンバー 2年 2年
8ナンバー 2年 2年

 

キャンピングカーの構造要件チェックとは

困ったことに、この「構造要件」検査が検査場や検査官によってまちまちなことがあります。
先日、私の愛車も9回目の車検を受けました。今までは、エントランスからちょっと中をのぞいただけだったのですが、今回の検査員は中にしっかり入って「乗車定員」「ベッドの状態」「コンロの位置」などをしっかりと確認されました。もちろん、違法改造などは一切していませんので、何の問題もありませんが、こんなに詳細にチェックされたのは過去9回で初めてだなあと深く印象に残りました。
なぜこんなお話をするかというと、こうした設備の中には簡単に取り外せてしまうものがあるからです。

例えば熱源。8ナンバーのキャンピングカーの場合、構造要件のひとつに「調理用の熱源があること」という規定があります。私の愛車はアメリカ製でしっかりキッチンになっているので、ガスコンロは固定されていますが、構造要件上、この熱源はカセットコンロがひとつ積んであるだけでもOKなのです。その手軽さが盲点で、うっかり「使わないから」と降ろしてしまっていると、車検では不合格となってしまいます。

給排水のタンクも同様です。やはり構造要件のひとつですが、国産の小型のキャンピングカーの場合、規定量を満たすポリタンクの場合もあります。これもうっかり外していると、不合格に。車検時にはキチンと用意をしておきましょう。

ディーラー車検か、ユーザー車検か

こうした備品類にまつわる構造要件であれば「忘れずに積んでおく」ことで対処できますが、それ以外にも詳細な要件に対してチェックが入ることもあります。ビルダーやディーラーに聞いてみても、昨今のキャンピングカー人気のおかげで台数が増えてきたため、「最近は細かな指摘を受けることが増えてきた」といいます。

例えば、居室部分側面の窓。スライド式なら良いのですが、アクリル二重窓によくある「振り出し式」の場合、振り出し幅が15cm以内と決められています。普通はこれよりも大きく開いてしまいますので、ワイヤーを追加するなどして開き幅を規制しておく必要があります。
こうした細かいことは、販売店やディーラーにお任せしてしまえば、面倒なく手配してもらえます。それがディーラー車検の大きなメリットのひとつでしょう。
ここで私がよく受ける質問が「ユーザー車検って、どうでしょう?」というものです。

確かに、車検にはお金がかかります。普段使いと兼用しているならまだしも、遊びのための所有に対しては、車検の費用も含めて「ぜいたく品」であるとのイメージを持つかもしれません。そして、それだけに、つい「ユーザー車検のほうが経済的」とか「ビルダーやディーラーに頼むと余計な整備までされるのでは……?」などと疑念を抱く方もいるようです。

ユーザー車検とディーラー車検のどちらを選ぶべきか質問された時に、私が決まって答えるのは「自分は車に詳しいという自信があって、整備をする設備と経験と時間があるならユーザー車検、ないのならディーラー車検」です。

プロによる点検の重要性

その理由を説明します。まず、車検は陸運局の業務時間(平日午前9時から午後4時まで)しか受けられません。一般の会社員では、休みを取らないとまず無理ですよね。次に、何かしらのチェック項目に引っかかったらどうするか。その場で整備しなおして再検査を受けてもいいし、持ち帰って整備して再検査、でもかまいません。同日以内であれば、1日3回までは1回分の検査費用で受けられることになっています。
この条件内で自ら整備し、再整備にも対応できそうならば、ユーザー車検が最も経済的であることは間違いありません。ただ、気を付けていただきたいことがあります。それは「車検を過信しないこと」です。

先にお話ししたとおり、車検とは「自動車が保安基準に適合している」ことを確認するものです。しかしそれは「受検したその日に適合状態にあった」ということにすぎません。例えばの話、ブレーキパッドが厚さ1ミリまで減っていても、車検は通るかもしれません。しかし、その状態で真夏のロングドライブ、アップダウンやワインディングの多い山道を長距離走行したら、決して安全な状態とは言えなくなります。車検を通ったからといって、次の車検までの間の安心・安全が保障されたわけではない、ということです。

キャンピングカー、キャンピングトレーラーの車検で失敗しないために

自分の車のブレーキパッドの状況をキチンと把握できている人は少ないのでは? 車検が通っても、長距離ドライブでも安心できる状態かどうかは別の問題だ

その点、ビルダーやキャンピングカー専門の販売店に依頼すれば、もちろん費用はかかりますが、ブレーキをはじめ、窓の振り出し幅などの細部に至るまで完璧に整備してくれます。ブレーキパッドなどの消耗品やある程度の部品交換もしてもらえます。「そんなこと言って、ぼったくられるんじゃ……」と心配な方は、まずはビルダーさんとじっくりお付き合いしてみてください。

・自分の使い方= よく使う季節はいつなのか・よく行くのは山なのか、海なのか、町なのか、夏場以外はほとんど使わないのか・通年使うのか
・使う人の人数= 家族で行くのか。1人が多いのか。ペットは同行するのか
・荷物の傾向=遊び道具として積み込むのは何か。重たいものを持ち運ぶか

キャンピングカー、キャンピングトレーラーの車検で失敗しないために

ディーラーに任せれば、法定点検はすべてやってくれる。もちろん、それだけ費用は掛かるが安心できる

こうした情報を共有して、何でも相談できる信頼関係を築くことです。
そのうえで、少しでも維持費の節約を図りたいならば、そのように相談しましょう。車のパーツにもブレーキパッドのように「命の保全」に直結するものもあれば、それほど緊急性の高くないものだってあります。
お金をかけるべき優先順位をプロに相談するつもりで、車検の機会を上手に利用してみてはいかがでしょうか。

(TOP画像:Getty Images)

PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。

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