小川フミオのモーターカー

“素材感”がカッコ良かったダイハツ「ネイキッド」

クルマには、流麗でなくても、「カッコいい」と呼びたくなるものがある。1999年に発売された「ダイハツ・ネイキッド」がまさにそれ。機能美というほどではないが、機能をうまくスタイリングに取り込んでいるのが特徴だ。

(TOP画像:58馬力仕様と64馬力仕様があり駆動方式も前輪駆動と4輪駆動が用意されていた)

ネイキッドは、659cc3気筒エンジンを搭載した軽自動車だ。ユーザーオプションが豊富で、好みの仕様に仕立てられる「素材感」がセリングポイントだった。車名は、「ありのままの」「飾りのない」という英語の意味合いから“手を加えたくなる様な無地の素材”の意を込めてネーミングされた、とダイハツのwebサイトに書かれている。フェアリングをとっぱらった高性能モーターサイクルが“ネイキッド”と呼ばれたことにもちなんでいた、と記憶している。

3395ミリの全長に対して全高は1550ミリとトールボーイだ

3395ミリの全長に対して全高は1550ミリとトールボーイだ

ネイキッドが魅力的なのは、むきだしだからではなく(実際二輪車のようにフレームむきだしではないし)、デザイナーが細部にいたるまで注意ぶかく目くばりした、徹底した造形へのこだわりゆえだろう。

思い出すのは、2001年に無印良品が企画して日産自動車と組んで開発した「MujiCar1000」だ。無印良品だからどんなシンプルな美を盛り込むのかと期待していたら、なんのことはない、たんなるマーチのバリエーションだった。ネイキッドのほうがよっぽどMujiCarだと思ったものだ。

ダイハツはデザインに凝ったクルマを手がけても、コストを考えすぎるのか、細部では力を抜きすぎる感じがあったように思う。しかし、ネイキッドではビスが丸見えのボディーパネルや、三分割のバンパーや、外に出ているドアヒンジまで、細部を作り込んでいる。ダッシュボードのデザインも立方体を並べたようでしゃれていた。

ダイハツ・ネイキッドの内容

空気吹き出し口が四角の中に収まっていてなかなかいいデザイン

90度ちかく開くドアもネイキッドのセリングポイントのひとつだ。ドアヒンジはそう簡単に開発できない。実用面でしっかり機能が追究されていたのは、ダイハツならでは。軽自動車づくりに長い経験を持つ同社の面目躍如だろう。

1999年は、じつは私的に自動車の当たり年だと思っている。ピープルムーバーとして汎用性の高いトヨタ・ファンカーゴに加えて、トヨタMR-S、日産スカイラインGT-R(R34)、ホンダS2000といったスポーツカーも発売されている。自動車界にいきおいがあった年にネイキッドは登場したのだ。

いまも路上で出合うと、いいなあと思ってしまう。実際の生産終了は2004年だが、ずっと作り続けてくれてもよかったのではないだろうか。

(写真=ダイハツ提供)

【性能表】

車名 ダイハツ・ネイキッドターボ
全長×全幅×全高 3395×1475×1550mm
エンジン形式 659cc直列3気筒DOHC+ターボチャージャー
最高出力 47kW(68ps)@6400rpm
最大トルク 107Nm@3600rpm
メーカー公表燃費 19.4km/l(10・15モード)
価格 91.9万円〜(当時)

PROFILE

小川フミオ

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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