私の一枚

大人になるほど沖縄への思いが強まる玉城ティナと、大切な「ひいおばあちゃん」

私のひいおばあちゃんです。90代半ばですけど、すごく元気。いつもフラットにピュアに私を応援してくれる、とても大切な存在です。私が出演した映画やドラマのDVDが届くのを、いつも楽しみに待ってくれています。

プライベートで沖縄に帰るのは年に1~2回ですけど、その時も実家よりひいおばあちゃんの家に行くことのほうが多いですね。親は東京に来ようと思えばいつでも来られる年齢ですけど、ひいおばあちゃんはもう飛行機に乗れないので、いつも私から会いに行きます。

ひいおばあちゃんから聞く沖縄戦の体験

高校入学のタイミングで沖縄を離れた後、東京でいろいろな人と触れあっていくうちに、自分が沖縄生まれであることを意識する機会が増えてきました。そして、大人になるほど、その思いは強くなってきているように感じます。

例えば、ひいおばあちゃんから戦争の話を聞いたりすることも、その思いに影響しているのかもしれません。私の家族はもう何度も戦争の話を聞いているみたいですけど、私はあまり聞かないうちに東京に来てしまったので、今になってものすごく関心が湧いてきて、いろいろ教えてもらっています。

地上戦のことなど、本当に壮絶な、心が痛む話ばかりで、もう二度とそんなことが起こらないでほしいと思います。その話の中でも、ふとした日常、例えば当時ひいおばあちゃんは妊娠していて逃げるのに苦労したこととかを、経験した人だからこそ少しユーモアを交えて話してくれるんです。そういう話こそ、聞くと内側からこみ上げるものを感じます。今はもう戦争の歴史を語れる人が少なくなってきているので、これからもっともっと話を聞いてみたいです。

子供の頃から強かった表現への欲求

最近は東京にも仕事にもずいぶん慣れてきて、慣れ過ぎないことも一つの課題だなと思うようになってきました。その中で、「もし高校に入るタイミングで東京に出てきていなかったとしたら、いったい何をしていたんだろう」と考える時があります。

東京で過ごす15歳からの道と沖縄で過ごす15歳からの道はまったく違うものだろうし、性格も物事の感じ方も当時と今では違うから、こうだろうと言い切ることはできないけれど、私はなぜか小さい時から「表現したい」という気持ちが強い子供でした。

だから、仮にそのまま沖縄にいて普通に就職したとしても、いずれどこかでそれが膨らんで破裂して、何かしら表現をするような世界に進んでいたかもしれないですね。

玉城ティナ

『ViVi』専属モデルを経て俳優の道へフィールドを広げる玉城ティナさん

会うたびにパワーを与えてくれる蜷川実花監督

その意味で、今回出演する映画『ダイナー』の監督である蜷川実花さんのような強い表現力を持つ方との出会いは、やはり東京ならではですね。蜷川さんは、常に新しい企画やアイデアを動かしていて、しかもそれがいくつも同時進行している、本当にパワフルな方です。私はデビューしてすぐの頃から写真を撮っていただくなど、お世話になっていますが、会う度にパワーをもらっています。

今回も、『ダイナー』の世界で蜷川さんと濃いお付き合いができたことは、私にとって大きな財産になりました。出会いから6~7年が経ち、モデルからお芝居に仕事がシフトしている今の私に声をかけて下さったということは、蜷川さんも何かしら私にプラスの変化を感じてくれたんじゃないかなと思って、うれしくなりました。

私自身、お芝居における自分の変化は感じています。以前はもっと自分というものを持っているべきだと思っていたけれど、今は、相手役の方の発している空気をどれだけ受け止めるかということを強く考えるようになりました。自分の演技を磨くことはもちろんですが、相手の役者さんとの関わり方も、これからもっと大切にしていきたいです。

映画『ダイナー』

映画『ダイナー』では、藤原竜也さんが演じる「ボンベロ」がシェフを務める殺し屋専用食堂で働くウェイトレスを演じる

「自分は何をやりたいのか」に嘘をつかずに

『ダイナー』は私以外の登場人物全員が殺し屋という設定の映画です。文字だけ読むと怖いイメージですけど、実際にはハラハラドキドキをたくさん楽しめる映画になっています。私が演じたカナコの視線で、映画の世界に迷い込んだような気持ちで見ていただけたらうれしいです。

もちろん、ひいおばあちゃんもDVDで見てくれると思います。怖い場面があるとか、そういうことよりも、「ティナってこんなこともできるんだね」みたいな感じで、画面に出てくる私を純粋に楽しんでくれると思います。

これからも、ひいおばあちゃんにどんどん新しい私を見てもらいたいですし、私も、経験したことがない役にどんどん挑戦していきたい。「自分が何を思うのか、何をやりたいのか」に噓(うそ)をつかずにやっていきたいです。

そして、私の強みを見つけ、それを私自身が理解しながら、「女優です、モデルです、タレントです」ではなく「玉城ティナです」と言えるように、20代のこれからの時間の中で変化していきたいと思っています。

     ◇

たましろ・てぃな 1997年、沖縄県生まれ。2012年、講談社主催「ミスiD(アイドル)2013」でグランプリを獲得し、同社発行のファッション雑誌『ViVi』の専属モデルに。2014年にTVドラマデビュー、2015年に映画デビューし、2018年には『わたしに××しなさい!』で映画初主演。ヒロインのオオバカナコを演じる映画『ダイナー』は7月5日(金)より全国公開。秋には人気アニメの映画化となる『地獄少女』での主演も決定している。

■映画『ダイナー』オフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/diner-movie/

PROFILE

髙橋晃浩

福島県郡山市生まれ。ライター/グラフィックデザイナー。ライターとして有名無名問わず1,000人超にインタビューし雑誌、新聞、WEBメディア等に寄稿。CDライナーノーツ執筆は200枚以上。グラフィックデザイナーとしてはCDジャケット、ロゴ、企業パンフなどを手がける。マデニヤル株式会社代表取締役。

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