朝日新聞ファッションニュース

アートとコラボ、洗練の形 20年春夏、パリ・メンズコレクション

6月に開催された2020年春夏のパリ・メンズコレクションでは、多くの有力ブランドがアーティストとの協業を発表した。芸術を着想源として、新たなスタイルを提案する――。そんな試みが男性モードの現在地といえる。

蜷川実花作品も

最も現代的なコラボレーションを披露したのはディオール(TOP画像)だ。昨年春夏からデザインを担当するキム・ジョーンズはシーズンごとに芸術家と協業しており、ショー会場にも作品を設置。今回の相手は現代世界を考古学的に捉えるダニエル・アーシャムで、メゾンが得意とするテーラードを前面に出しつつ、アーシャムが手がけた時計や鍵のモチーフを柄や小物に使った。

ヴァレンティノ

ヴァレンティノ

ヴァレンティノは、ロックバンド、イエスのジャケットを数多く手がけるイラストレーター、ロジャー・ディーンをこのシーズンのパートナーに選んだ。広報担当は「想像上の風景に、鮮やかな色をのせた」としている。

ドリス・ヴァン・ノッテン

ドリス・ヴァン・ノッテン

3月に来日したドリス・ヴァン・ノッテンは、写真家の蜷川実花とアートディレクターのYOSHIROTTEN(ヨシロットン)、ともに東京を拠点とする2人が手がけた作品のプリントで、装いにインパクトを与えた。

オフ・ホワイト

オフ・ホワイト

注目のアフリカ系米国人、ヴァージル・アブローのオフ・ホワイトはミュージシャンらに支持されるイラストレーター、フューチュラ2000の作品を服にあしらった。

前世紀にはスキャパレリがダリやコクトーら、世界的に著名な作家の作品を直接的に使ったが、近年のモード界ではデザイナーたちが、通好みのクリエーターの作品を着想源に、より洗練された手法で服作りに落とし込んでいる。

目立つパステル

明るいパステルカラーが、パリ・メンズに参加しているブランドで目立ってきた。流れを牽引(けんいん)するのは老舗ブランドだ。

エルメス

エルメス

エルメスはスカーフをアクセントにした中間色の装いを提案。シルクづかいのうまさにはトレンドを問わない上品さがあるが、ゆとりあるシルエットには今っぽさも感じる。このメゾンで30年以上にわたってメンズを担当するヴェロニク・ニシャニアンの巧みな服づくりだ。

ルイ・ヴィトン

ルイ・ヴィトン

暖色系と寒色系の中間色を合わせたルックを見せたのはルイ・ヴィトン。テーラードを基本に、ストリートの要素を感じさせるボリュームのあるボトムスが印象的だった。

ロエベ

ロエベ

このシーズンのロエベを象徴するアイテムは高級スエードを使ったプルオーバー。なかでもパステルピンクの存在感が際立った。

こうした色合いの男性服が、市場で受け入れられるかに注目したい。あるセレクトショップのバイヤーは「世界的に増えてきたパステルだが、日本のメンズ服では、まだ完全に受け入れられたとは言えない。来年の夏は多くの人に挑戦してほしい」

テーラード回帰

もう一つの大きなトレンドは、新たな形でのテーラード回帰だ。スポーツテイストがモード界で完全に市民権を得た現在、クラシカルを独自に解釈した装いは映える。

ダンヒル

ダンヒル

伝統的なスーツを得意とするダンヒルは冒頭でビッグシルエットのジャケットにショートパンツを披露。日本のアーティスト小林健太の作品をプリントしたセットアップにも変革の意気込みが伝わる。デザイナーのマーク・ウェストンは「クラシシズムの破壊がテーマ。優雅さとつつましさの壁を払いたかった」。

セリーヌ

セリーヌ

セリーヌが最初に見せたのはスーツ。老舗メゾンを渡り歩いた人気デザイナー、エディ・スリマンが継続的に発表している彼独特の細身のシルエットだ。

コムデギャルソン

コムデギャルソン

ジェンダーレスなセットアップを構成の中心に据えたのがコムデギャルソン。12月に上演されるウィーン国立歌劇場の150周年記念公演オペラ「オルランド」で舞台衣装を手がけることから、同作をテーマにした。原作者のバージニア・ウルフは女性解放を訴えた英作家。デザイナーの川久保玲は「彼女の生き方はコムデギャルソンの精神と一致する」と語った。(後藤洋平)

〈写真は大原広和氏とRunway-Photographie撮影〉

サステイナブル、鮮烈 20年春夏ミラノ・メンズコレクション/ピッティ・ウオモ

トップへ戻る

黒で攻める、創作の新境地 20年春夏、パリ・メンズコレクションの日本勢

RECOMMENDおすすめの記事