キャンピングカーで行こう!

絶対必要? それとも不要? キャンピングカーの「トイレ」を解説

産か輸入かを問わず、ますますバリエーションが豊富になってきたキャンピングカー。その設備の中でも、最もユーザーの意見が分かれるのがトイレでしょう。「トイレがなきゃキャンピングカーじゃない!」という人もいれば、「車の中にトイレなんて冗談じゃない!」という人も。今回は「必要? 不要? キャンピングカーのトイレ」をテーマに考えます。

必要派と不要派、それぞれの主張

さて、私自身は「必要派」です。
「コンビニや道の駅があるから大丈夫!」という意見もありますが、急にトイレに行きたくなることもあります。悪天候や寒い夜にトイレを探すのは面倒ですし、体調のいい時ばかりではありません。古いアパートでも、「風呂なし」はあっても「トイレなし」はほとんど聞かないですよね。

絶対必要? それとも不要? キャンピングカーの「トイレ」を解説

キャンピングカーのトイレ。輸入車の場合、トイレはほぼ「標準装備」。逆に、国産車では装備されていないことが多い。「装備していても使わない」という人が多いからだろうか

必要派・不要派の意見を整理してみると、次のようになります。

【必要派】
1.いつでも行ける安心感
渋滞中でも困らない(運転手を除く)。急に行きたくなったり、近くに借りられるトイレがない場合など、車にトイレがあると安心する。
2.シニアや幼児連れの旅には不可欠
・トイレが近い、排泄のコントロールがうまくいかない……。小さなお子さんやシニアを連れて旅する人にとっては、あると心強い。

【不要派】
1.スペースがない
・軽キャンピングカーやコンパクトサイズのバンコンなど、車両のサイズが小さい場合、トイレにスペースを取られるのは厳しい。
2.臭いが気になる
・車内という狭い空間でトイレをしたくない。臭いが気になるし、家族であってもドアのすぐ外側に人がいるのは落ち着かない。
3.後始末がいや
・トイレタンクの処理が面倒だし、汚物を扱いたくない。

どちらの意見にも、うなずけるものがあります。
それでは、キャンピングカーのトイレ事情がどうなっているのか、詳しく解説していきましょう。

基本は洋式、トイレの種類はさまざま

キャンピングカーのトイレは当然すべて「洋式」ですが、いくつかの方式に分かれます。主なものは、次の3種類です。

・ブラックタンク式
・カセット式
・ポータブル式

どの方式でも共通しているのは、「排泄物をタンクに溜めておいて、所定の場所で処理する」という点です。「排泄物を持ち歩くのはちょっと……」と思うかもしれませんが、いまは21世紀。令和の時代です。汚水タンクは、臭気も水気も漏れることがないようにできています。本体にシャッターが取り付けられているからです。そして、どのタイプも基本は「水洗式」です。では、3種類のトイレのどこが違うのか整理してみましょう。

■ブラックタンク式
タンクが車両に据え付けられている方式で、大抵のアメリカ製キャンピングカーやキャンピングトレーラーで採用されています。たまったものを処理するには、車体の排出口と、駐車場などに設置された汚水ますを専用のホースでつなぎます。その状態でレバーを引っ張ると、タンクからホースを通じて汚水ますに流すことができます。

キャンピングカーでは、トイレのほかにキッチンの流しなどからも生活排水が出ます。ブラックタンク式では、それぞれを一時的にためておくタンクは別ですが、車外に流す排出口は共通。まずトイレタンクの中身が流れ、次にキッチンなどの生活排水が出される仕組みになっているので、ホースがある程度すすがれる効果があります。この順番は、実によく考えられていますよね。大型車であれば、タンクも大きいので(数十リットルや100リットル以上のものも)、長期旅行に対応できるのが魅力です。

【メリット】
汚物を見ることなく、楽に処理できる。

【デメリット】
自宅や駐車場に汚水ますがないと、処理に困る場合がある。

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ブラックタンク式の処理の様子。車の排出口から汚水ますにホースをつなぎ、レバーでバルブを開けるだけでOK

■カセット式
ヨーロッパ製のキャンピングカーやキャンピングトレーラーはほぼ、この方式です。日本製のキャブコンなどでもよく使われています。便座などトイレ本体は車両に固定されていますが、汚物タンクは取り外しができます。処理する際は、自分でタンクを外してトイレや汚水ますまで運びます。タンクは取り外した瞬間、自動的にふたが閉まるようになっていて、中身が漏れないようになっています。ただ、タンク容量は20リットル前後で、長期旅行や家族連れでの連泊には少し心配です。

【メリット】
独立したトイレルームで、換気扇などもついている場合が多い。

【デメリット】
自分でタンクを取り外し、トイレに流す処理が必要(薬剤を入れておくことで分解が促進され、臭いは軽減できる)。

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カセット式の場合。タンクを車両から取り出すと、その瞬間にタンクの開口部のシャッターが自動で閉まり、扱いやすい

■ポータブル式
カセット式とほぼ同じ仕組みですが、便座などのトイレ本体とタンクの一体型で、車両に固定されていません。ポータブルというだけあって、持ち運びが自由です。車両に「マルチルーム」と呼ばれる収納などに使える小部屋がある場合、そこにポータブルトイレを置けば、トイレルームの完成です。処理の方法はカセット式と同じ。タンク容量は10リットル程度で常用するには不足気味ですが、緊急用やお子さん用として考えれば十分でしょう。

【メリット】
・トイレごと持ち運びができる。
・マルチルームをトイレにしたり、収納にしたり、その時々の事情に合わせて選択できるので、スペースが有効活用できる。

【デメリット】
・カセット式と同様に、自分でトイレに流す必要がある。
・容量が小さい。

さて、これら3種類が主流と言いましたが、実はいま注目されている方式がもう一つあります。それが「パック式」です。

■パック式
見た目は普通のポータブルトイレですが、専用の特殊フィルムでできた袋に、排泄物を一回ずつシールするタイプです。水洗ではなく、用を足すごとに袋に密閉します。水分は別途「ポリマー剤」を入れることで、ゼリー状に凝縮されます。密閉した袋を可燃ゴミとして出せば、処理はおしまいです。

【メリット】
・しっかりと密封されているので、処理が簡単。
・必要に応じて積んだり降ろしたりできる。

【デメリット】
・袋を密閉させるために電気(100V)が必要。
・専用の袋やポリマー剤など、消耗品がやや高価。

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AC100V電源が必要だが、密閉され「可燃ごみ」として処理できるので簡単だ

災害対策にもなるポータブルトイレ

いずれの方式でも、たまった汚物の処理は自宅で行うのが基本です。ですが、処理できる場所(ダンプステーション)があるキャンプ場やRVパークもありますし、パック式なら可燃ゴミとして出すことができます。
もちろん、それでもなお「処理を考えたら絶対いや」「トイレ休憩を計画に織り込んで旅するから不要」という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、日本は災害大国。防災対策として、ポータブルトイレを準備しておくだけでも、いざというとき安心なのではないでしょうか。

(TOP画像:Getty Images)

PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。

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