今日からランナー

自分の走りを客観的に分析 スマートフットウェア「オルフェトラック」の実力

これはヤバイ。私のようなマニアックなオタクおやじランナーが、どハマりしそうなシューズが“発売”された。次世代フットウェアを研究しているベンチャー企業、株式会社no new folk studio(東京都渋谷区)が開発したスマートフットウェアORPHE (オルフェ)シリーズのランニング版「ORPHE TRACK(オルフェトラック)」だ。

いったいどういうシロモノかというと、ランニングシューズの中(ソール部)に足の細かな動きをリアルタイムに感知するセンサーモジュールが埋め込まれている。対応するアプリがあって、このシューズを履いて走ると、まず足のどの部分から着地しているか(ヒールからか、つま先からか)がわかる。さらにプロネーションと呼ばれる左右の足の傾きや接地時間、ストライドの長さと高さ、ピッチ、それにペース、走行距離、走ったコースなどが記録されるというものだ。

これまで、ランニングフォームのチェック・分析といえば、前々回に紹介したアシックススポーツ工学研究所にあるような大がかりな設備が必要だと思われていた。アマチュアの場合、せいぜいスマホで動画を撮って見るくらいだ。それが、ほんの小さな装置によって高度なフォーム分析ができるというのだ。実際にやってみたが、かな〜り面白かった。

冒頭で“発売”されたと書いたが、正確にはいまはまだ開発中(オープンベータテスト中)で、入手できるのはベータ版と呼ばれるモデルだ。これを多くのランナーに実際に使ってもらい、データ蓄積、フィードバックを受け、アップデートした「バージョン2.0」が2019年12月に正式発売される予定だ。つまり、いまベータ版を購入すれば誰でもこの未来シューズの開発に参加できるというわけだ。それだけ考えても、ワクワクしてくる。

現在、東京・麴町にあるランニングステーション「JOGLIS」で試し履きもできる。ここでは適宜、コーチやトレーナーを交えた体験イベントも行われている。そのイベントに参加した。

データを常時記録しアプリで分析

まずはシューズとのご対面だ。見た目は何の変哲もない、よくあるランニングシューズという風情である。もっと機械チックなのかと思ったら、そんなことはなかった。インソールの下に約3cm四方のセンサーが収納されているだけで、表からはわからない。

オルフェトラックの画像。見た目は普通のランニングシューズ。履き心地も悪くない

見た目は普通のランニングシューズだ。履き心地も悪くない

ソール部にLEDが内蔵されていて、接地によって光りだす

ソール部にLEDが内蔵されていて、接地によって光りだす

サイズは24.0cm、26.0cm、27.0cm、28.0cmの4種類しかないが、普段は26.5cmを履くことが多い私は27.0cmでピッタリだった。そのサイズで重さは約325gというから、これも練習用シューズとしては標準的と言っていいだろう。ちなみにセンサー自体の重さは片方約30gだ。

足を入れた感じもごくごく普通だ。違和感はない。軽く走ってみる。インソールの下にあるセンサーもまったく気にならなかった。早く皇居ランに出たくなる。

アプリはいまのところiOS版のみ用意されている。つまり、iPhoneがないとダメだ。JOGLISには貸し出し用のiPhoneも準備されていた。私は自分のiPhoneにあらかじめアプリをダウンロードしておいた。

まずはBluetoothで左右シューズのセンサーとアプリをつなぐ。接続が完了すると、ソールの脇の部分の電飾が光り、ブルブルとバイブレーションが起きる。シューズが「準備完了!」と返事をしているようで、なんだかカワイイ。

接続後、コースに向かって歩き始める。アプリをのぞくと、すでに計測が始まっていた。いま足裏のどの部分が接地しているかがリアルタイムでわかる。

さらに左右の足の傾き加減までわかる。これはすごい!  オルフェトラックを履いて走れば、こうしたデータが常時記録され、アプリ上で分析できるようになっているのだ。

専用アプリにはリアルタイムで足の状態が無線で送られてくる

専用アプリにはリアルタイムで足の状態が無線で送られてくる

グラフと地図が連動していて、どの場所でのデータかもわかるようになっている

グラフと地図が連動していて、どの場所でのデータかもわかるようになっている

 グラフの青線とオレンジ線が離れているのは、左右のバランスが悪い証拠だ

グラフの青線とオレンジ線が離れているのは、左右のバランスが悪い証拠だ

皇居のお堀端に出て走り出す。すると、ソールに仕込まれた電飾が時おりピカピカ光り始めた。これは走行時の着地ポイントによって色が変わるという。フォアフット(前足部)からミッドフット(中足部)着地ができていると青く光り、ヒールから着地しているとオレンジになる。フォアフット走法を体得しようとしている人にとっては絶対に有用だし、ナイトランナーにとっては単純に楽しい。

LEDが光る。ナイトランナーにはたまらない仕掛けだ

LEDが光る。ナイトランナーにはたまらない仕掛けだ

約2km走ったところでいったんアプリを止めてデータを見てみた。四つの窓があって、左上にスタート時刻、走行距離、平均ペース、地図上に走ったコースが表される。右上は左右の足の着地の傾向が平均値で出ている。

私の場合、ヒール着地になっていた。左下はストライドの長さと高さ、右下には足の傾き角度がそれぞれ表示されている。スクロールすると、それぞれのデータが経過時間ごとのグラフで表現されている。グラフ部分には、上記データに加えてピッチ(足を繰り出す回数)や接地時間、着地衝撃力などもわかるようになっている。

半蔵門から約2km走ったときのデータがこれ

半蔵門から約2km走ったときのデータがこれ

2万9800円で2足のシューズが手に入る!?

計測できるデータはランナーからのフィードバックによってさらに増えていく予定だという。これは、たまらん。欲しい〜!  走る前に値段を聞いたら2万9800円だという。かなり高い。楽しい未来シューズではあるが、レースで使うにはちょっと違う。アシックスの新機能シューズ、メタライドが2万7000円、ナイキの新厚底、ズームX ヴェイパーフライ NEXT%が2万7500円と高価格人気シューズよりさらに高い。悩む〜!   しかし、実際にアプリを起動させて走ってみたら、走る前の悩みが「絶対欲しい」に変わっていた(笑)。

ちなみに、ベータ版購入者は「バージョン2.0」が完成したら無償でもらえるという。つまり、2万9800円で2足のシューズが手に入るわけだ。そう考えたら安いかも!

いずれにせよ、計測したデータをどう分析してランニングフォームの改善にどう活用するかといったことはまだこれからだと思う。だが、自分の走りを客観的に知ることができるだけでも面白い。実際に使って、いろいろなことがわかってきたらまた報告したいと思う。

(トップ画像:株式会社no new folk studio、他は筆者提供)

PROFILE

山口一臣

1961年東京生まれ。ゴルフダイジェスト社を経て89年に朝日新聞社入社。週刊誌歴3誌27年。2005年11月から11年3月まで『週刊朝日』編集長。この間、テレビやラジオのコメンテーターなども務める。16年11月30日に朝日新聞社を退社。株式会社POWER NEWSを設立し、代表取締役。2010年のJALホノルルマラソン以来、フルマラソン20回完走! 自己ベストは3時間41分19秒(ネット)。

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