キャンピングカーで行こう!

フィアット・デュカトベースの国産キャンピングカー、ついに受注開始

ーロッパ製キャンピングカーのベース車両としてトップシェアを誇る、イタリア・フィアット社のデュカト。そのデュカトをベースに日本のビルダーが架装した車両がいよいよ登場か!?という話題は、以前この連載でもお伝えしました。プロトタイプの発表後、実車の販売はいつから?と待っていたところ……。ついに、今夏のショーにて受注開始となりました! 今回は、その話題をお伝えします。

いよいよ製品化されたV670

先日開催された東京キャンピングカーショー2019の中で、ひときわ注目を集めていたのが、バンテック社のキャブコン「V670」でした。以前にもお伝えした、フィアット・デュカトベースのキャブコンです。このV670が最初にお目見えしたのは2018年2月のジャパンキャンピングカーショー。その時点では「あくまでプロトタイプ」で、1年以内には正式な製品版を……。とアナウンスされていたのですが、あれから約1年半。ようやく、正式な製品として発表、発売されました。

まずはその概要をお伝えしましょう。キャブコンでありながら、バンクベッドを持たないロープロファイルスタイル。全長6.7m、全幅2.25m、全高2.75mというサイズは、デュカトベースの車両としては標準的です。居室は、運転席・助手席を回転させてつくるダイネットにリア常設ベッドというレイアウトで、プロトタイプから変更はありません。

フィアット・デュカトベースの国産キャンピングカー、ついに受注開始

本革張のリビング。ダイネット脇の大型テレビも標準装備でしかも収納式というゴージャスさ!

外観上、ぱっと見すぐわかる特徴は、リアに備わった大型収納庫です。これもヨーロッパ製によくある装備ですが、このV670は扉に一工夫が。通常のちょうつがいだと、大きな扉を開くためには、手前にそれだけのスペースが必要になります。そこでV670はリンク式の開閉機構を採用。20cmほどのスペースがあればドアが全開できるのです。ただし、このリンクが大きめなので、せっかくの大型収納庫ですが開口部はかなり狭くなってしまうという欠点も。さらなる改良・検討が期待されます。

細部にまで気配りされた高級車

内部のクオリティーに定評のあるバンテック社ですが、V670の内装はこれまで以上にラグジュアリーに。ダイネットは本革仕様。ベッドマットにも大手寝具メーカーのものを採用するなど、細部に至るまで高級感あふれる仕上げとなっています。家電製品も、大型テレビ、電子レンジ、家庭用エアコンなど、生活インフラが充実。これら家電製品を支えるサブバッテリーはトリプルなので容量も万全です。

フィアット・デュカトベースの国産キャンピングカー、ついに受注開始

リア常設ベッドのマットは有名寝具メーカーとのコラボ。家庭用エアコンも標準装備だ

家庭用エアコンといえば、外観を見ても室外機が見当たりません。なんとV670では居室の床下に寝かせた状態で装備されていました。その取り付け位置は最低地上高に影響しないよう慎重に選ばれており、ホイールベースの間でもあるので重量配分的にも有利です。照明やルーフファンのコントロールはタッチパネルで行う最新型。ヨーロッパ車では見慣れた装備ですが、表記が全て日本語で用意されているところも、わかりやすくて好感が持てました。

気になるお値段は? 納車はいつ?

気になるのが価格ですが、V670は定価が1400万円(税別)。ラインで大量生産されるヨーロッパ車とは生産規模も違いますので、どうしてもこの価格になります。ドイツ・デスレフ社の「サンライト」やスロベニア・アドリア社の「サンリビング」(いずれもディフュージョンブランド)など、ヨーロッパから廉価グレードの日本参入が相次ぐデュカトベースのキャブコンの中では、やや高価な部類に入ります。

ですが、ご紹介したような家庭用エアコンや大型テレビ、電子レンジ、トリプルサブバッテリー、日本語表記の集中コントロールパネルなど、日本での使用に合わせた装備の数々を考えると(ヨーロッパ車では、これらはほぼ、オプションとなる)、十分に輸入車両と戦える金額設定だと思います。いわば、欧州車の走りや大きさに、きめ細かく丁寧に仕上げられた国産車体(居室部分)のいいとこどり。今契約すると、納車はほぼ1年後だそうです。

フィアット・デュカトベースの国産キャンピングカー、ついに受注開始

照明やルーフベントなどのコントロールは集中タッチパネルで。日本語表記でわかりやすいのも◎

これまでにもドイツ・メルセデスベンツや韓国・ヒュンダイ、米国トヨタなどからの輸入シャシーに日本のビルダーが架装した例はありましたが、ベース車の輸入が止まるなどの外的要因で販売が滞ってきました。今回のデュカトもフィアットジャパンによる正規輸入ではなく、バンテック社自らがシャシーを輸入しての展開となっています。メンテナンスなどについては現時点では明らかにされていませんが、納車までに1年ほどかかりますので、その間に確実な対策を策定するとのことです。

いかがでしたか? 満を持してのフィアットベース車デビュー。少し気になる点があるとすれば、近いうちに車両スペックの変更がありそうだということでしょう。フィアット社が、排ガス規制「ユーロ6」に適合した新エンジンや9速オートマチックトランスミッションなど、パワートレーンを中心にデュカトに大きな変更を加える予定があるとアナウンスしています。その結果、価格に影響があることも予想されますが、現時点でバンテック社では、変更後についての情報はないとのこと。続報を待ちたいところです。

高い走行性能で評価の高いフィアット・デュカトに、ハイクオリティーで知られる日本ビルダーの架装、そして国内の使用実態に合わせた装備。国産キャンピングカーもハイクラスのラインナップがますます充実してきました。今回のV670も、今後さらに期待の持てるモデルだと感じました。

(TOP画像:バンテック社提供)

VANTECH株式会社
埼玉県所沢市日比田95-1
Tel: 04-2936-6528
http://www.vantech.jp/

PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。

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