マッキー牧元 うまいはエロい

<83>エビフライ好きにはたまらない店「Ab・de・F」 食欲があおられ、鼻息が荒くなり、上気する……

エビがこちらを見て、「さあどうだ」と、誘ってくる。衣に包まれた立派な体軀(たいく)を、誇らしげに見せびらかす。街で見かけるエビフライの1.5倍はあろう。エビフライ好きには、たまらぬ光景である。

北品川に開店した「Ab・de・F(エビデフ)」は、エビフライを主役に据えた店である。シータイガー(一部で「皇帝エビ」とも呼ばれる)から始まり、車エビ、伊勢エビ、オマールエビをフライにして、提供する。そしてこのエビは、ランチの「特選エビフライセット」(1180円)の、エビである。

弾力に富むエビフライの断面

弾力に富むエビフライの断面

嚙(か)めば、サクッと軽快な衣に歯が当たって音が立つ。その時、プリップリッと、歯に当たったエビが弾ける。甘い香りが湯気となって、鼻をくすぐる。白き身から、ほのかに甘い滋味が流れてくる。

そして頭には、ミソがみっちりと詰まっていた。「うふふ」。思わず笑いたくなる瞬間である。

エビ用に作ったというソースや、品のあるタルタルをつけてもいいが、まずは素のままで食べて、次に塩、そして好みのソースと食べていくのがいいだろう。

ご飯もみそ汁も上等で、エビの甘みを受け止める。サクッ、プリッ。サクッ、プリッ。衣の凜々(りり)しさと、品のある身の対比がいい。そこには何か踏み込んではいけないような、色気があって、食べているうちに高揚してくる自分がいる。

ここで食べてから、エビフライ熱が高まって、夜に人を誘い、再び訪れた。夜はまた壮大なエビフライ勢ぞろいである。

オマールエビは、濃い甘みを舌に滴らせ、皇帝エビは優しい甘みがはじけ飛ぶ。なにしろどのエビフライも、出てきた瞬間に、歓声をあげたくなる姿を見せつけるのがいい。もうそれだけで、食欲があおられ、鼻息が荒くなり、上気してしまう。やはりエビフライは、フライ界の女王である。

甘エビの頭をたっぷり使用した極上のスープに、特製の麺を合わた海老そば

甘エビの頭をたっぷり使用した極上のスープに、特製の麺を合わた海老そば

「Ab・de・F」

<83>エビフライ好きにはたまらない店「Ab・de・F」 食欲があおられ、鼻息が荒くなり、上気する……

新規開店したエビフライを主役にした飲食店。ランチは「特選海老フライセット」(1180円)、「徳カツセット」100g(1200円)、「有カツセット」150g(1500円)など。

夜はエビフライのコースが、6000円、とんかつのコースが4500円。アラカルトで、「ビッグリトルジョン」(3400円)、「ピタゴラス」(4800円)、「ロビン」(1800円)のほか、要予約となる「国産天然大車海老」「伊勢海老」もある。前菜の「海老の和風グラタン」や、締めの甘エビのだしをたっぷりと使った「特製 海老そば」も素晴らしい

【店舗情報】
東京都品川区北品川1-22-15
京浜急行線「北品川」駅より徒歩2分
03-6712-0837 / 0120-900115(フリーダイヤル)
11:30~14:00 / 17:30~22:00(L.O 20:45) 
定休日:水曜 
公式サイト:https://www.abdef-prawn.tokyo/

―――

<バックナンバーはこちら

PROFILE

マッキー牧元

1955年東京生まれ。立教大学卒。年間幅広く、全国および世界中で600食近くを食べ歩き、数多くの雑誌、ウェブに連載、テレビ、ラジオに出演。日々食の向こう側にいる職人と生産者を見据える。著書に『東京・食のお作法』(文藝春秋)『間違いだらけの鍋奉行』(講談社)。市民講座も多数。鍋奉行協会顧問でもある。

<82>札幌で必ず食べたいスープカレー 危険なうまさの「ソウルストア」と「カリーヤ!コング」

トップへ戻る

暑い日に無性に食べたくなるタイ料理 幸福な辛さを味わえる「ソムタムダー東京」(代々木)

RECOMMENDおすすめの記事