キャンピングカーで行こう!

ミシュランのキャンピングカー専用タイヤ「アジリス・キャンピング」を体感する

シュランタイヤが今年2月に発表し、注目を集めたキャンピングカー専用タイヤ「アジリス・キャンピング」。じわじわと人気が高まり、愛車に装着する人も増えてきました。基本スペックや特性については以前お伝えしましたが、実際に乗り心地や走行性能がどう変わるのかについては、私自身も体感したことがありませんでした。そこで今回は、アジリス・キャンピングが使える車両をお持ちのオーナーさん3人にご協力いただき、その違いを検証してみました。

キャンピングカー専用タイヤの基本性能とは

アジリス・キャンピングの人気ぶりについて、日本ミシュランタイヤ・マーケティング部の成瀬朋伸さんは「当初予定していた3倍以上の売れ行きで、一部では入手しづらいとのお叱りも受けました」と話します。ただ、「輸入量を増やしたので、もう大丈夫だと思います」とのことです。

まずはじめに、アジリス・キャンピングの基本性能についておさらいしましょう。そもそもキャンピングカーは、フル積載の商業用トラックに匹敵する重さがある一方、トラックのように毎日は稼働しません。それどころか長期間、動かないこともあります。こうしたキャンピングカーの特性を加味して、次のような設計になっています。

■しっかりした骨格

タイヤの骨格であるスチールベルトやビードを強化。高荷重をしっかり受け止めることで、ふらつきなどを抑えています。

■トレッド(接地面)はグリップ重視/サイドウォール(側面)は柔らかく

接地面を硬くすることでグリップを向上しました。ただし、そのままではゴツゴツとした乗り心地になってしまうので、サイドウォールを柔らかくすることで対応しています。

■ただしトレッドは薄い

前項で「トレッドを硬くした」と説明しましたが、実はトレッドはむしろ薄く、ゴムの量は少なめです。ゴムを減らすことで、長期間動かなくても変形しにくくなっているのです。「ゴムが薄いと寿命が短くなるのでは?」と心配になりますが、元々ヨーロッパ基準で考えられたタイヤなので問題はないとのこと。

以上がおおまかな特徴(同社のライトトラック用タイヤ「アジリス」と比較して)です。

ミシュランのキャンピングカー専用タイヤ「アジリス・キャンピング」を体感する

体験会場になった、大型トラックも手掛ける販売店で交換作業。キャブコンが小さく見える

どう違う? 実際に「履いて」みた!

さて、このように特徴を並べてみたものの、それが走りにどう影響するのかは使ってみないとわかりませんよね。タイヤは本来、靴を買うように「試し履き」できる商品ではないのですが、今回はキャブコンのオーナーさんたちにご協力いただき、特別に実現しました。

用意されたのは「215/70R15CP 109Q」というサイズ。指定空気圧前輪475kPa、後輪550kPa、荷重能力は1030kgです。ホイールも用意する関係で、今回はトヨタ・カムロードベースの車両で体験会を開催しました。実際、国産キャブコンで最も多いのがカムロードですから、多くの方の参考になると思います。ご参加いただいた3台はたまたま、すべてバンテック社の車両となりましたが、意図して選んだわけではありません。

「試し履き」して走ったコースは一般道で、交通量は多いものの流れは良いルートです。大型車が多く路面が荒れているところや、アンダーパスになっている場所などバラエティーに富んでいます。体験した3人は、どう感じたのでしょうか。

ミシュランのキャンピングカー専用タイヤ「アジリス・キャンピング」を体感する

ホイールにセットされたタイヤを装着。カムロード用のアルミホイールが用意された

◆坪山朋弘さん 愛車=ジル・480スキップ

普段装着しているのはスタッドレスタイヤ。「毎日乗る訳じゃないので、通年スタッドレスでもいいんじゃないかと思ったんですが、雨天時などはビックリするくらい止まらなくて……。ちゃんと夏タイヤにしようと思っていたところでした」。

早速タイヤを交換してテスト走行。「ウチの車は軽いので、空気圧550kPaなんて入れたら跳ねてどうしようもないかと思ったんですが、全然平気ですね。今履いているスタッドレスより乗り心地もいい。直進性も申し分ないし、車線変更したときの収まりもいいし。これなら言うことないですね」。

◆内山藤男さん 愛車=コルド・ランディ

ミシュランのライトトラック用タイヤ「アジリス」を装着している内山さん。「少しでも空気圧を下げれば乗り心地がよくなるので、215/70R15にしました。アジリス・キャンピングだと空気圧が高くなりますよね。そこが心配です」と話していましたが……。

実際に履き替えてみて、いかがでしょう? 「心配したような乗り心地の悪さ(空気圧高めで跳ねるなど)はまったくありませんでした。空気圧が高いのに、乗り心地はこちら(アジリス・キャンピング)のほうが良いくらい。これで長期駐車による変形対策まであるなら、選ばない理由が無いです」

◆水鳥川浩司さん 愛車=ジル・ノーブル

水鳥川さんの装着タイヤは5年経過した215/65/R16。中古車で1年ほど前に購入し、前オーナーが履かせたタイヤのままの状態です。そのため、そろそろ「次のを探している真っ最中」だったとか。この日は北海道旅行から戻ったばかりで荷物も全ておろした状態でしたが、それでも今回のテスト車のなかでは一番重量があります。

「今履いているのが古いタイヤだというのもありますが、これは安心感が格段に違いますね。コースにあった下り坂で左カーブ、しかも凹凸のある場所なんて、いままでだったらすごく怖かったんですが、まったく別の車みたいです」

欠点は「飛ばしたくなる」ところ?

皆さん普段運転している自分の車ですから、その違いははっきり実感した様子。一様に指摘されていたのが「乗り心地の良さ」と「グリップのよさ」でした。私も全車両に同乗させてもらいましたが、

・段差での突き上げの少なさ
・車線変更やカーブでの安心感

を実感しました。

このアジリス・キャンピング、欠点を探すのがなかなか難しいのですが、あえて言うならば「飛ばしやすくなってしまう」ことかもしれません。タイヤに限らず、足回りを調整して「高速走行が安定」「コーナーでふらつかない」などの改善があるとつい、以前より飛ばしたくなる傾向にあります。でも、タイヤの交換でショックや反動を「感じにくくなった」だけであって、実際には車にしっかり伝わっているということは、覚えておいていただきたいところです。

性能がいいと気になるのは価格ですが、成瀬さんは「弊社のライトトラック用の同サイズと比較して5%ほど高額ですが、それ以上に効果のある商品だと思います」と言います。「値段を理由に使っていただけないのは本末転倒なので、なんとか金額差を5%程度に抑えました」とのことです。

キャンピングカーの本場、ヨーロッパでベース車として多く選ばれるフィアット・デュカトも、アジリス・キャンピングを標準装着にしています。サイズ展開が少ないのがやや残念ですが、商品の信頼性は高いといえるでしょう。もしあなたの愛車に適合するサイズがあるなら、一度試してみる価値はあると思いますよ。

 

協力:日本ミシュランタイヤ株式会社
お客様相談室
0276-25-4411

作業協力:シノハラタイヤ株式会社
03-3521-7091

(TOP画像:Getty Images)

PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。

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