インタビュー

歌って踊りまくる三吉彩花 コメディー・ミュージカル映画『ダンスウィズミー』で主人公を熱演

毎日仕事をして、忙しい日々を過ごす人生。それも幸せの一つかもしれないが、苦手なものを通じて、人生が大きく変わるとしたら――。ミュージカル嫌いの主人公が催眠術をかけられ、音楽を聴くと勝手に踊り出してしまうというかつてないコメディー・ミュージカル映画『ダンスウィズミー』。本作で、主人公の鈴木静香を演じているのが三吉彩花さん。主演を演じるプレッシャーと葛藤や、23歳の“今”の気持ちを語ってくれた。

【動画】三吉彩花&やしろ優がダンス、矢口監督の無茶ぶりにムロツヨシ冷や汗(7月18日ジャパンプレミア)

オーディションは手応えなし。「緊張して笑う余裕がなかった」

監督は、『ウォーターボーイズ』『ハッピーフライト』などを手がけた矢口史靖監督。ミュージカルをテーマにした作品のため、“歌って”“踊って”“芝居ができる”を条件に日本各地から数百人の俳優がオーディションに参加。主役を射止めたのが三吉彩花さんだ。監督は、オーディションでの三吉さんの様子を「不機嫌そうにしていた」とコメントしていたが、実際はどうだったのか。

「オーディション会場はカラオケBOXでした。歌とダンスのテストがあったので、相当プレッシャーを感じて緊張していました。ガチガチで笑う余裕がなかったので、そう見えたのかもしれません(笑)。歌は、実際に曲を入力して歌いました。普段から1人カラオケにもよく行くので、そこは普通に歌っている感覚でリラックスできました。正直、手応えが全くなくて『あ、落ちちゃったんだ』と思って家に帰りました。監督の表情も一切変わらなかったし、会話もなかったですから(笑)」

映画『ダンスウィズミー』よりより

(C)2019「ダンスウィズミー」製作委員会【もっと写真を見る】

主演のプレッシャーは、とても大きかった。撮影に入る直前に体調不良で3日間入院した。その後撮影に入り、日数を重ねるうちに緊張がほぐれ、楽しむ余裕が出てきたと振り返る。

「日本ではあまりないミュージカル映画で、たくさんの人が期待してくれている。だから、よりいいものを作らなければならないというプレッシャー、そしてダンスと歌のスキル不足へのプレッシャー、主演のプレッシャーと、いろんなものが重なってしまった。でも『私がこの映画を背負っている』『私がやらないと!』と思い撮影に臨みました。その後、やしろ優さんやchayさんが合流して、皆さんとのシーンが増えてくると“一人じゃない”という安心感も増えて、切り替えができるようになりました」

映画『ダンスウィズミー』より

(C)2019「ダンスウィズミー」製作委員会【もっと写真を見る】

役との共通点がない方が演じやすい。「役が生きてくれば、自分の存在はいらない」

一流商社勤務で、順風満帆な人生を送っていた会社員の静香。催眠術にかかって、音楽がかかるとミュージカルを踊ってしまう体質になってから、人生は大きく変わる。催眠術を解くための旅に出かけ、今自分が大切にすべきものを見つける。三吉さんは「静香と共通するところが一つもなかったので、演じやすかった」と言う。

「役と共通点があったり、役と自分が重なる場合は『自分だったらどうする?』『役で考えているのか、私が考えているのか、どっち?』と悩んでしまうことがあったんです。モデルの仕事は、服を見せることを最優先に考えますけど、俳優の仕事は、役が生きてくれればいい。私の存在はいらないんですよね。そんな過去の経験があったので、今回は監督が思い描く人物にちゃんと近づけて演じることを心がけてお芝居しました」

映画『ダンスウィズミー』主演の三吉彩花さん

撮影で一番楽しかったシーンが、ガラの悪いお兄さんたちとのダンスバトルを繰り広げるシーン。「幼少期にヒップホップを習っていたので、懐かしさもありつつ、すごく楽しみながら踊りました」【もっと写真を見る】

歌やダンスの特訓は、撮影の3カ月前からスタートした。劇中では、ポールダンスやテーブルクロス引き、シャンデリアにぶら下がってブランコなど、激しいアクションを交えたミュージカルシーンを熱演。本作のテーマにもある、急に歌ったり踊ったりするミュージカルの“違和感”をユーモアたっぷりに描いている。三吉さん自身は、これまでミュージカルをどんな風に捉えていたのか。

「私は、ミュージカルをエンターテインメントのひとつとして見ていたので、何の抵抗もありませんでした。ミュージカル映画も好きで一通り見ていますし、作品それぞれ好きなところが違いますね。『グレイテスト・ショーマン』は歌とストーリーが好き、『ラ・ラ・ランド』はカメラの質感や衣装、世界観が好きとか。『ボヘミアン・ラプソディ』も、ディズニー映画も大好きです」

映画『ダンスウィズミー』より

共演したやしろ優さん(中央)、chayさん(右)は「すごく波長が合う2人。3人とも性格が似ていて、いい意味でサバサバしていてお互い干渉し合わないタイプ。一緒にいて居心地が良かったです」(C)2019「ダンスウィズミー」製作委員会【もっと写真を見る】

芸歴16年。「やっと思い描くビジョンのスタートラインに立てた」

かつてないコメディー・ミュージカル映画や主演というプレッシャーや葛藤を乗り越えて得たもの。それは達成感だけでなく、俳優として今後どう進み、アプローチしていくかを考えるきっかけにもなった。

「ミュージカルはいつかやってみたいと思っていたので、より身近になり、舞台もやってみたいと新たな目標になりました。この映画は、静香が成長する物語でもあるんですが、寄り添って演じていく中で、私自身が一緒に成長させてもらったように思います。

モデルの仕事を7歳からやっていて芸歴16年目を迎えた今、やっと自分が思い描いているビジョンのスタートラインに立てた実感があります。今の時代、SNSが普及して、いい意味でも悪い意味でも、この仕事をしていると影響を与えやすい立場にある。そこからいい影響力を、いいエンターテインメントを発信していきたいと思っています。海外へ行きたい気持ちも強いので、人脈を広げるために人に会ったり、英語と韓国語、たまに中国語も勉強しています。

5年を一つの区切りに考えていて、20歳の時は写真集の撮影で訪れたインドで、自分で髪を40cm切ってヘアドネーションしました。次は25歳。留学も視野に入れて、2年後にまた何かをやれたらいいですね」

三吉彩花さん

矢口史靖監督は「本当にピュアで、好みがはっきりしています。分かれば分かるほど、“ちょっとかわいい”と思ってしまう少年っぽさがあります」【もっと写真を見る】

仲間や友達との会話がストレス解消に。「知らない考え方を共有できるのが面白い」

普段の息抜きは、友達や仲間と会っておしゃべりしたり映画を見たりしている時間。俳優であること以前に「一人の人間としての生き方」を大事にしている。

「ただみんなと話したり、ディスカッションしたりする時間がストレス解消になっています。同じクリエーティブな仕事をしている人や全然違う仕事をしている人でも、みんなが集まって、『今の時代はこうだよね』『これがはやってるよね』『こういうものが作りたい』『今度こんな映画撮るんだよね』とか。

俳優という芸能の仕事をしていますが、その前に私は一人の人間であるという思いが大きくあります。『芸能人だからこうだ』みたいなのが、あまり好きじゃないんです。いろいろな仕事をしている方と接することで、私たちの視点からは見えない考え方や捉え方が共有し合えるのが面白い。自分らしい生き方をいかに忘れずにいられるかが大切だと思っています」

三吉彩花さん

シャンデリアにぶら下がるシーンではこんな裏話も。「高いところが苦手なんです。ジェットコースターはいいけど、公園のブランコは苦手。シャンデリアにぶら下がった時は『あああ……(怖い)』と思いながらやっていました」【もっと写真を見る】

ミュージカルが苦手な人にこそ、見てほしい映画

最後に、映画『ダンスウィズミー』を見る人へのメッセージをくれた。

「とても楽しい映画で、始まってあっという間に終わってしまう感じで、『もうちょっと見たかった』と思う人が多いんじゃないかと思います。ハッピーになれるのはもちろん、いろんな世代の人が、いろんな視点から共感してもらえるはず。例えば、歌が懐かしいとか、働く人の気持ちが分かるとか、ミュージカルが楽しいとか。『ミュージカルが苦手』という人にも、ぜひ見てもらいたいです。30代40代のサラリーマンの方は、疲れたからちょっと気分を上げたいとか、そんな気軽な気持ちで見てほしいですね」

(文・武田由紀子 写真・花田龍之介)

『ダンスウィズミー』作品情報

キャスト:三吉彩花、やしろ優、chay、三浦貴大・ムロツヨシ、宝田明
原作・脚本・監督:矢口史靖
企画・制作プロダクション:アルタミラピクチャーズ
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)2019「ダンスウィズミー」製作委員会
8月16日(金)全国ロードショー
公式サイト:dancewithme.jp
公式ツイッター:@Dancewithmefilm #ダンスウィズミー

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