小川フミオのモーターカー

レースで強さを誇ったロータリーエンジン搭載車 マツダ「サバンナ」

スカイラインGT-Rを破ったクルマである。マツダ(当時は東洋工業)が1971年に発売した「サバンナ」は強力なロータリーエンジンを搭載していた。

レース仕様の「RX-3」(72年)は、日本グランプリ時の「TS-bレース」に出走し、GT-Rを向こうに回して1位から3位までを独占したのだった。

(TOP写真:クーペはビニールトップ仕様も用意してスポーティーさを強調)

「1976年には単一車種で国内レース通算100勝を挙げるほどの圧倒的な強さ」だったと、マツダのホームページに誇らしげに記されている。このときからロータリーエンジンは速い、というイメージが一般の記憶にも刻まれるようになったのだ。

サバンナ

リアウィンドー両側の加飾が特徴的

面白かったのは、71年にロータリーエンジン搭載のサバンナと、ピストンを備えた一般的なレシプロエンジンのグランドファミリアが同時に発表されたことだ。

フロントマスクのデザインは違うが、ボディーはほぼ同じである。燃費を気にする消費者むけに、小排気量(当初は1.3リッターで、のちに1.6リッター)で効率のいいエンジンを提供する必要があったからだ。

そのぶん、サバンナは暴れまくった。RX-3のレースデビューと同じ72年には、当初よりパワフルな「12A」というロータリーエンジンと5段マニュアル変速機を持った「GT」クーペを投入。燃費は悪いが、とにかく速いGTは、市場でおおいに歓迎されたのだった。

サバンナ

「12A」ロータリーエンジン搭載のGT

セダンのほうはおとなしい印象のスタイリングだが、GTはちがう。小さく見せるキャビンと、後方にいくにしたがって跳ね上がるようなベルトラインで後輪の存在を強調していた。4灯式ヘッドランプがアグレッシブな印象だ。

73年後半以降は、排ガス規制によるパワーダウン、あるいは燃費悪化との闘いだった。12Aエンジンの排ガス中の炭化水素(HC)を低減させる努力が続けられたのだ。

ロータリーエンジンの構造にとって排ガス規制は、レシプロエンジンよりクリアするためのハードルが高かったが、技術陣はさまざまな知見を用いて、このエンジンを78年の「サバンナRX-7」へと引き継いだのだった。

サバンナ

ステアリングホイールの形状といいスポーティーな内装もあった

ロータリーエンジンは2012年まで製造されたが、「RX-8」の終了とともに、生産が打ち切られた。しかしいまもロータリーへの情熱を失っていないようだ。

同社ではトヨタと技術提携をしながら、次世代の電気自動車(EV)の技術開発を続けている。そこにあって、バッテリーへの電源供給用として新しいロータリーエンジンを搭載するといわれているのだ(レンジエクステンダーという)。小型軽量のメリットゆえである。

それはそれでいいと思うが、マツダの希望としては、サバンナGTの直系になるようなロータリーエンジンのスポーツクーペを出したいだろう。技術者からそういう言葉を聞くこともある。世の中がEV化してしまう前に、ぜひとも挑戦してほしいと、サバンナ・ファンは思うのだ。

サバンナ

デビュー時の「10A」ロータリーエンジン搭載のクーペ

(写真=マツダ提供)

PROFILE

小川フミオ

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

よく見ると味わい深い、ドイツらしい合理的なクルマ フォルクスワーゲン・パサート

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