マストリスト

パタゴニアの「ヘンプ・コレクション」 2019年春夏、社員の間で評判のアイテムは

の数年、アウトドアウェアを街中で着こなす男性が増えている。カジュアルでちょっとオシャレで着心地もいい。本コラムでは、ファッション性と機能性を兼ね備えたアウトドアブランドが展開する「これさえ持っていれば間違いない」というマストバイなウェア、グッズを紹介していく。

   ◇

パタゴニアは長年に渡り「ヘンプ」を使ったアパレルを展開してきた。繊維として使用することを目的に品種改良された産業用大麻であるヘンプは、耐久性が高く、通気性、消臭性、抗菌性などを備えた天然の高機能素材で、なおかつ環境保護や土壌改善に大きな役割を果たす「地球にやさしい」植物でもあるからだ。2019年のパタゴニアは、そこからさらに歩みを進め、『ヘンプコレクション』と銘打って、ヘンプ・ウェアを大々的に展開している。今回は、そのメンズアイテムを紹介していこう。

丈夫で肌触りがよく通気性も高いコットンとヘンプの“いいとこ取り”Tシャツ

メンズ・トレイル・ハーバー・ポケット・ティー(7,344円)。ヘンプ55%、コットン45%の割合。187 グラムと軽量なことも特長

メンズ・トレイル・ハーバー・ポケット・ティー(7,344円)。ヘンプ55%、コットン45%の割合。187 グラムと軽量なことも特長

最初に紹介するのは「メンズ・トレイル・ハーバー・ポケット・ティー。オーガニックコットンにヘンプを混ぜることで、通常のコットンTシャツと比べて、肌触りが良く、堅牢性の高いTシャツとなっている。ボーダー地の左胸にパッチ型のポケットを備えているほか、裾部分には動きやすさを確保しつつ、パンツインして着用する際に片寄らないようスリットが入っていたりと、「一枚で様になるアイテム」に仕上がっている。もちろん着心地にもこだわりがある。

「ヘンプといえばガサガサとした質感をイメージされる方が多いと思うのですが、コットンを混ぜることで、非常に柔らかな肌触りを実現していますもちろん、通気性が高く、非常に頑丈で、洗濯にも強いというヘンプの特性も失われていません。コットンとヘンプの“いいとこ取り”Tシャツといったところでしょうか」(パタゴニア広報・大堀泰祐さん)

リブニットの襟ぐりもヘンプ55%、オーガニックコットン45%の混紡。強度と耐久性においてリネンを上回っているとのこと

リブニットの襟ぐりもヘンプ55%、オーガニックコットン45%の混紡。強度と耐久性においてリネンを上回っているとのこと

2019年春夏で、社員の間で評判のヘンプアイテム

ラグランスリーブを採用しているため、非常に腕を動かしやすい。混紡率はTシャツと同じくヘンプ55%、オーガニックコットン45%の割合

メンズ・トレイル・ハーバー・スウェットシャツ(11,880円)。ラグランスリーブを採用しているため、非常に腕を動かしやすい。混紡率はTシャツと同じくヘンプ55%、オーガニックコットン45%の割合

パタゴニア社員は、そのシーズンに販売される主要アイテムには発売前に一通り袖を通すという。2019年の春夏アイテムを試着した社員の間で評判になったのが「メンズ・トレイル・ハーバー・スウェットシャツ」。ヘンプとオーガニックコットンを混紡した素材を採用した、夏のちょっと肌寒い日に重宝するクラシカルなスウェットシャツだ。

「社員の間で評価されたのは着心地の良さ、コーディーネートのしやすさでしたね。ヘンプのスウェットですから高い通気性を備えています。質感はザックリとしているのに、着てみると柔らかいんですよ。腕が動かしやすいラグランスリーブなので、ボルダリングの時などにも着ていただけると思います」(大堀さん)

薄手で吸汗性の高い「フレンチテリー」と呼ばれる編み地を採用しており、肌に直接当たる裏側がパイル地となっているため肌触りが良い

薄手で吸汗性の高い「フレンチテリー」と呼ばれる編み地を採用しており、肌に直接当たる裏側がパイル地となっているため肌触りが良い

夏用パジャマ並みに軽やかながら、日常生活に対応してくれるパンツ

ショートパンツの丈は7インチ(※17.78センチ)。ロングパンツのシルエットはヒップと腿はほどよいフィットで膝から下はストレート

ショートパンツ(9,720円)の丈は7インチ(※17.78センチ)。ロングパンツ(13,500円)のシルエットはヒップと腿(もも)はほどよいフィットで膝(ひざ)から下はストレート

ボトムスのイチオシが「メンズ・ライトウェイト・オールウェア・ヘンプ・バレー」シリーズだ。ロングタイプと7インチ丈のショートパンツタイプがあり、オーガニックコットン76%、ヘンプ24%と他のヘンプ・コレクションのアイテムに比べて若干コットンの混紡率が高め。とはいえ生地が柔らかくて薄いため、しっかりと風を通すことで、夏の熱気をやわらげてくれる。一般的なパンツと同じくフロントとヒップにそれぞれ二つのポケットを備えているほか、ジッパーと隠しボタンを装備しているため、トイレなどでの脱ぎはきも容易。夏用パジャマ並みに軽やかな着用感ながら、日常生活に対応する機能がしっかりと確保されているので、安心して外出時にも着用できる。

「夏でも快適にはけるパンツの条件は、やはり薄く軽いことだと思います。ところが生地を薄くすると強度が下がり、破れやすくなってしまう。このジレンマを解消してくれたのが、ヘンプなんです。コットンにヘンプを混紡して強度を確保することで、非常に薄手で、なおかつ通気性の高いアイテムに仕上げることができました。ロングパンツは腰の部分をギュッと縛って T シャツ1枚を着て裾を軽くロールアップしてはいてほしいですね」(大堀さん)

伸縮性のあるウエストにはドローコード(紐)が通されており、フィット感を調節できる。ショートパンツはプライベートに,そしてロングパンツはクールビズのボトムと使い分けて欲しい

伸縮性のあるウエストにはドローコード(ひも)が通されており、フィット感を調節できる。ショートパンツはプライベートに、そしてロングパンツはクールビズのボトムと使い分けてほしい

ヘンプの価値を浸透させることで、素材としての一般化を狙う

「環境に良いというだけでは買ってもらえないと思います。だからこそパタゴニアはモノとしての魅力を追求しているんです」(大堀さん)

「環境に良いというだけでは買ってもらえないと思います。だからこそパタゴニアはモノとしての魅力を追求しているんです」(大堀さん)

数年前からパタゴニアは「ロング・ルート・ペールエール」と呼ばれるビールを店頭や一部コンビニなどで展開してきた。クラフトビール・マニアからも「味がいい」との評価を集めるこのビールの特徴は、通常ビールに使用される大麦のかわりに非常に長い根を持つ「カーンザ」を原料としていること。この植物は地中深くまで根を伸ばして水分や養分を吸収するため、大量の水や肥料を必要としない。さらに多年生穀物であるため、収穫のたびに種まきをする必要がなく、土に対する負担も少ない。

ヘンプ・コレクションに使われている大麻もまたカーンザと同じく「環境保護」から一歩進んだ「環境改善」につながる植物だとパタゴニアの大堀さんは語る。「この大麻もカーンザと同じく多年草で、農薬や肥料を使わなくても育っていきますし、なおかつ二酸化炭素を吸収し、酸素を排出しながら、地中の栄養を回復させてくれます。成長も早くて、生地や食物や建材などにも加工することができるんです。しかも着られなくなった後は、土にかえります。話だけ聞くと夢のような植物ですよね」 。

このような素晴らしい植物も、消費者のニーズがなければ、商業作物として流通することはない。市場に需要がなければ始まらない。例えば農薬を一切使わない「オーガニックコットン」の価格が下がり、気軽に購入できるようになったのも、消費者からのニーズの高まりを受けて、あらゆる企業が市場に参入したからだ。

いまパタゴニアがヘンプ素材を使った商品を積極的に展開しているのも「ヘンプを使ったアイテムが人気を獲得すれば、他社も使うようになるかもしれない」「ひいては世の中にヘンプが広がるかも知れない」という思いから。なおヘンプ・コレクションは、工場の従業員にプレミアム賃金が支払われるフェアトレード・サーティファイドの工場でつくられている。環境はもちろん、人にも優しいのが「ヘンプ・コレクション」なのだ。

【動画】誤解された植物 アメリカにおけるヘンプの短い歴史

Patagonia(パタゴニア)公式サイト
https://www.patagonia.jp/

撮影/牧野慎吾

PROFILE

吉田大

ライター・編集者。大学卒業後、児童書出版社勤務を経て、フリーランスに。ファッション、アート、音楽、ストリートカルチャーから、政治経済、社会問題、テクノロジー、グルメに至るまで、多岐にわたるジャンルにおいて、長年にわたり執筆活動を続けている。趣味は自転車と立ち食いそば店めぐり。お酒や煙草を嗜まないストレート・エッジな生活を送っている。

自宅で使えるキャンプギア、ベランダがコーヒーを楽しむ空間に スノーピークに聞く

トップへ戻る

オークリーのサングラス、スポーツ用アイウェアで培った機能とカジュアルなデザイン

RECOMMENDおすすめの記事