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スーパーランナーが集うマラソングランドチャンピオンシップ 余すところなく楽しむ観戦の心得

9月になった。9月といえば待ちに待ったマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)だ。15日の日曜日に開催される東京オリンピック代表選考レースである。MGCについては今年元日の本欄で説明したので詳細は省くが、過去2年間の「MGCシリーズ」と呼ばれる大会などで設定された条件をクリアし、MGC出場権を獲得した超トップクラスの選手のみが参加する。

権利獲得者は男子34人、女子15人だったが、男女各3人が9月27日から行われる世界陸上選手権代表に選ばれたため、男子は大迫傑、設楽悠太、井上大仁、服部勇馬、神野大地、今井正人ら31人が、女子は鈴木亜由子、松田瑞生、福士加代子ら12人が出場する。いずれ劣らぬスーパーランナーたちが東京の中心部を駆け抜けるのだ。ちょっと想像しただけで顔がほころんでしまう。近くにお住まいの(いや、遠方でも!)マラソンファンは絶対に見逃してはいけないレースなのだ。

参考:MGC出場選手

大迫傑(2019年4月30日 撮影/朝日新聞社)

大迫傑(2019年4月30日 撮影/朝日新聞社)

鈴木亜由子(2019年1月13日、京都市右京区の西京極陸上競技場、小林一茂撮影/朝日新聞社)

鈴木亜由子(2019年1月13日、京都市右京区の西京極陸上競技場、小林一茂撮影/朝日新聞社)

男女とも上位2位までの選手が自動的に2020年の東京オリンピック日本代表になる。では3人目の代表はどうなるのかというと、MGC後に行われる三つの大会(これを「MGCファイナルチャレンジ」という)で派遣設定記録を上回った選手の中からいちばん速かった人(男女各1人)が選ばれる。だが、派遣設定記録というのが、男子2時間05分49秒、女子2時間22分22秒とハードルはけっこう高い。突破者がいなかった場合は、15日のMGCで3位だった選手が五輪マラソンの代表になる。つまり、今回のMGCでは3位までに入れるかどうかが、ひとつの見どころというわけだ。

参考:MGCファイナルチャンジ

コースは前回、筆者が自転車で試走した東京オリンピックのマラソンコースとほぼ同じだ。オリンピックでスタート&フィニッシュとなる新国立競技場が工事中のため、神宮外苑のいちょう並木がスタート&フィニッシュとなるだけだ。なので、選手にとっても観客にとっても東京オリンピックの予行演習になる。その意味でも、マラソンファンなら沿道に出かけてライブで観戦しないわけにはいかない大会なのである。

スタートから約10kmの地点にある日本橋交差点(撮影=筆者)

スタートから約10kmの地点にある日本橋交差点(撮影=筆者)

ただ、いくつかの注意点がある。沿道での観戦はトップランナーのナマの走りを見られるメリットがあるが、目の前を通り過ぎるのは一瞬だ。そこで、コアなマラソンファンが観戦のセオリーとしているのが、テレビ中継を録画しておき、レースの全体像は家に帰ってからゆっくり楽しむという方法だ。ところが、である。MGCは男子のレースと女子のレースが時間差で行われる。そのため、男子はTBS系列全国ネット、女子はNHK総合と別々の放送局が中継する。しかも男子のスタートは8:50、女子のスタートは9:10と時間がかぶるので、複数の録画装置がないと対応できない……。

これはランナー仲間で手分けして録画するしかないか……と思っていたら、当日、男子はTVerで、女子はNHKのライブストリーミングで配信されることがわかった。このうち男子はTVerは後で改めて見返すことができるので、画質を気にしなければこれで十分だろう(NHKのほうはリアルタイムのみの配信)。ちなみに、ラジオの生中継もあって、男子はTBSラジオ、女子はNHKラジオ第1が担当する。

定点観戦&移動しながらの観戦  それぞれの注意点とは?

さて、そんなわけで録画手配が整ったら当日の観戦計画の立案だ。沿道での観戦はこの事前準備がきわめて重要になる。まず、定点で見るか、移動しながら観戦するかを決めた方がいいだろう。例えば、神宮外苑で男女のスタートを見送った後、2時間超、ひたすらフィニッシュを待つというのもいい。待っている間はスマホやタブレットでネット配信を楽しむという方法もある。マラソンレースのフィニッシュシーンは何度見ても感動的だ。報道陣や大会関係者も多く詰めかけているため、お祭り気分にもひたれるだろう。

提供 日本陸上競技連盟

提供 日本陸上競技連盟

その他の定点観戦ポイントとして注目なのが、神保町と日本橋の交差点だ。コース図を見てもらえばお分かりのとおり、ここは目の前を男女選手が各3回ずつ通過する。つまり、1カ所で6度もおいしい思いができるのだ。いずれの交差点も地下鉄の駅の上にあるため、道の反対側への移動も楽だ。神保町は後半35km地点でもあるので、レースが動き始めるシーンが見られるかもしれない。ただ、このゴールデン観戦ポイントは多くのファンが知っているので混雑は避けられない。

人混みを避けるという意味では、芝公園と二重橋の折り返し地点付近が狙い目ではないかと思っている。なぜなら、この2カ所は前回の試走で分かった日差しの強いエリアだからだ。もし、当日の天気が晴れなら相当暑くなる。必然的に人影も少なくなるのではないか。

地下鉄を駆使してトップ集団を追いかけるという観戦方法もおすすめだ。そこで、本連載読者のために筆者が苦労してつくったのが「MGC選手予想通過時刻表」だ。マピオンが提供している「キョリ測」を使ってスタートから各観戦ポイントまでの距離を測り、男子はキロ3分、女子はキロ3分半のペースで通過予想時刻を割り出した。

>>MGC選手予想通過時刻表はこちら

東京の地下は地下鉄が縦横無尽に走っているので、うまくやれば、複数回、選手と遭遇できるはずだ。ただ、この通過予想時刻は当然、誤差もある。次のポイントに着いたらもう選手が通過した後だったということのないよう、余裕を持って計画を立てて欲しい。あと、選手を待っている間にネットで観戦するのはもちろんいいが、ネット中継には時差(少し遅れる)があることを忘れてはいけない。もうすぐ来ると思ったら、もう過ぎていたなんてことにならないように。

さらに詳細情報が知りたければ、「AERA mook マラソングランドチャンピオンシップGUIDE」(朝日新聞出版)がおすすめだ。往年のメダリスト有森裕子さんによるコースの徹底解説や参加選手のストーリーなどが満載だ。同誌の増田明美さんの解説によれば、見どころは終盤36km過ぎからの高低差30mの上り坂だという。選手はそれまでの体力を温存して、一気に勝負に出るという。地下鉄の駅でいうと、曙橋が最寄りである。

そんなわけで、準備を整えたら15日を待つだけだ。男子、女子のトップランナーの走りが一度に見られ、家に帰ったら録画でまた男女2回分のレースが見られ、翌日はスポーツ紙を見ながら余韻に浸る……。ああ、至高の時が待ちどおしい。

(トップ写真=JaySi / Getty Images)

MGC選手予想通過時刻表

ポイント 距離 男子予想時刻 男子タイム 女子予想時刻 女子タイム
スタート(外苑前) 0km 8:50 (時:分) 9:10 (時:分)
(富久町西) 2.2km 8:57 0:07 9:18 0:08
曙橋 3km 8:59 0:09 9:19 0:11
市ヶ谷 4.2km 9:03 0:13 9:25 0:15
飯田橋 5.6km 9:07 0:17 9:30 0:20
水道橋 6.6km 9:10 0:20 9:33 0:23
神保町 7.4km 9:12 0:22 9:36 0:26
小川町 8.2km 9:15 0:25 9:39 0:29
(須田町) 8.6km 9:16 0:26 9:40 0:30
神田 9km 9:17 0:27 9:42 0:32
三越前 9.7km 9:19 0:29 9:44 0:34
日本橋 10.1km 9:20 0:30 9:45 0:35
茅場町 10.8km 9:22 0:32 9:48 0:38
水天宮 11.4km 9:24 0:34 9:50 0:40
(浜町) 11.8km 9:25 0:35 9:51 0:41
東日本橋 12.6km 9:28 0:38 9:54 0:44
浅草橋 13.2km 9:30 0:40 9:56 0:46
蔵前 14km 9:32 0:42 9:59 0:49
雷門(浅草) 15km 9:35 0:45 10:02 0:52
蔵前 16.1km 9:38 0:48 10:07 0:57
浅草橋 17km 9:41 0:51 10:09 0:59
東日本橋 17.6km 9:42 0:52 10:12 1:02
(浜町) 18.4km 9:45 0:55 10:14 1:04
茅場町 19.3km 9:48 0:58 10:18 1:08
日本橋 20km 9:50 1:00 10:20 1:10
京橋 20.7km 9:52 1:02 10:23 1:13
銀座 21.5km 9:54 1:04 10:25 1:15
新橋 22.4km 9:57 1:07 10:28 1:18
西新橋(内幸町) 22.7km 9:58 1:08 10:29 1:19
御成門 23.6km 10:01 1:11 10:33 1:23
芝公園 24.4km 10:03 1:13 10:35 1:25
御成門 25.1km 10:05 1:15 10:38 1:28
西新橋(内幸町) 26km 10:08 1:18 10:41 1:31
新橋 26.3km 10:09 1:19 10:42 1:32
銀座 27.2km 10:12 1:22 10:45 1:35
京橋 28km 10:14 1:24 10:48 1:38
日本橋 28.7km 10:16 1:26 10:51 1:41
三越前 29.2km 10:17 1:27 10:52 1:42
神田 29.8km 10:20 1:30 10:55 1:45
(須田町) 29.9km 10:21 1:31 10:56 1:46
小川町 30.2km 10:22 1:32 10:57 1:47
神保町 31km 10:24 1:34 11:00 1:50
平川門(竹橋) 31.6km 10:25 1:35 11:01 1:51
(二重橋前) 33km 10:30 1:40 11:06 1:56
平川門(竹橋) 34.3km 10:33 1:43 11:10 2:00
神保町 34.8km 10:35 1:45 11:13 2:03
水道橋 35.5km 10:37 1:47 11:15 2:05
飯田橋 36.5km 10:40 1:50 11:19 2:09
市ヶ谷 38km 10:44 1:54 11:23 2:13
曙橋 39.2km 10:47 1:57 11:27 2:17
(富久町西) 40km 10:50 2:00 11:30 2:20
(四谷4丁目) 40.6km 10:51 2:01 11:31 2:21
ゴール 42.2km 10:57 2:07 11:38 2:28

PROFILE

山口一臣

1961年東京生まれ。ゴルフダイジェスト社を経て89年に朝日新聞社入社。週刊誌歴3誌27年。2005年11月から11年3月まで『週刊朝日』編集長。この間、テレビやラジオのコメンテーターなども務める。16年11月30日に朝日新聞社を退社。株式会社POWER NEWSを設立し、代表取締役。2010年のJALホノルルマラソン以来、フルマラソン20回完走! 自己ベストは3時間41分19秒(ネット)。

日差しの強い「デンジャラスゾーン」を発見! 東京五輪のマラソンコースを走ってみた(自転車で)

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MGC3位 大迫選手を襲った想定外の“悪いサイクル”

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