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モンベルの隠れた名作 竹繊維を使った清涼アロハ

この数年、アウトドアウェアを街中で着こなす男性が増えている。カジュアルでちょっとオシャレで着心地もいい。本コラムでは、ファッション性と機能性を兼ね備えたアウトドアブランドが展開する「これさえ持っていれば間違いない」というマストバイなウェア、グッズを紹介していく。

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モンベルといえば化学繊維を使用して本格的なアウトドアアイテムを作っているアウトドアメーカーだが、天然の素材を使ったクラシックアイテムを数多く世に送り出していることをご存じだろうか。中でも夏の定番アイテムとして人気を集めているのが、2007年に誕生したアロハシャツ「Takeロハ」だ。

過酷な環境下での登山では、雨などに起因する「濡(ぬ)れ」が生命の危機につながることも珍しくないため、すぐに乾く吸湿速乾素材のシャツが不可欠だ。

しかし、キャンプ・フィールドやバーベキュー場など比較的過ごしやすい場所では、着心地を重視した天然素材のシャツを着たいと思うユーザーは多い。そんな声に応える形で、これまでモンベルは様々なコットンシャツを生み出してきた。

ただコットンという素材は、肌触りこそ良いものの、高温多湿の環境下では、蒸れやすい。「肌触りが良く、なおかつ風を通すシャツが欲しい」――そんな要望を満たすため作られたのが、モンベルのこだわりがつまったアロハシャツ「Takeロハ」だ。

スソがラウンドしていない「ボックスシルエット」。パンツインせずに着るのがスタンダード

スソがラウンドしていない「ボックスシルエット」。パンツインせずに着るのがスタンダード

モンベル社員もハマる「竹繊維プラス」が生み出す清涼感

生地の緯糸(よこいと)にはコットン、縦糸に竹繊維とコットンの混紡繊維を使用している

生地の緯糸(よこいと)にはコットン、縦糸に竹繊維とコットンの混紡繊維を使用している

「Takeロハ」は、一見ごくスタンダードなアロハシャツだが、実はアウトドアブランドならではのこだわりが随所に詰まっている。一般的なアロハシャツがシルクや人工繊維であるレーヨンで作られるのに対して、「Takeロハ」に使われているのは、モンベルが独自に開発したコットンに竹を組み合わせたハイブリッド繊維「竹繊維プラス」だ。その特徴を、モンベル広報部の金森智さんは次のように語る。

「そもそも竹は天然の吸放湿性を持ち、なおかつ抗菌性を備えた優れた衣料用素材です。竹繊維プラスは、コットン8割に対して竹繊維を2割程度混紡した素材なのですが、コットンとは着心地が全く異なります。サラサラとした肌触りが特徴で、湿度の高い環境でも肌離れがよく、 肌にべったりとくっつくことがありません。社内でも『一度ハマると抜け出せなくなる』と評判で、夏になると毎日Takeロハを着て出社する者も結構いるんです」(金森さん)

フロントは流行のオープンカラー。第一ボタンが閉じられるようにループも付けられている

フロントは流行のオープンカラー。第一ボタンが閉じられるようにループも付けられている

縦糸に繊維が強い竹を使用することで、コットンにない「剛性」も確保しているという。購入直後はやや着心地がかために感じるTakeロハだが、洗濯を繰り返しているうちに次第に体に合ってくる。だが、決して柔らかくなりすぎることはなく、生地のコシはキープされる。洗った後もシワになりにくいため、旅行時の着替えにも重宝する。アイロンがけを始めとするメンテナンスも容易だ。

「清涼感もさることながら、コシやハリの強さが一番の特徴と言えるのかも知れません。竹のみだとコシは出ないので、コットンと組み合わせることで、ベストなコシを出すことにしたんです。混紡率に関しても研究を重ねてきました。とにかく丈夫で型崩れしにくいシャツなので、かなり長い間着ていただけると思います」(金森さん)

肩が動かしやすいサイドプリーツを採用

肩が動かしやすいサイドプリーツを採用

「モンベルらしさ」が詰まったテキスタイルデザイン

モンベルらしいアウトドアモチーフを集めた柄「アイランド」。在庫がわずかなので見つけたら即購入がおすすめ

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自社で行っている遊び心あふれる生地のデザインも「Takeロハ」の特徴であろう。アロハシャツと言えば、どちらかと言えば海関連のモチーフが多いイメージだが、「Takeロハ」の中には、山や川はもちろんカヤックや自転車といったモンベルならではの柄も少なくない。
今年人気の『アイランド』柄には、横笛とギターが描かれている。これはモンベル創業者の辰野勇(たつのいさむ)氏が横笛を演奏すること、さらにギターを弾く社員と社内イベントでデュオ演奏をしていることなどに由来したという。なんだかほっこりするエピソードである。

モンベル会長の辰野勇(たつのいさむ)氏自身も、Takeロハの愛用者であり、夏ともなれば、毎日のように着用しているという

モンベル会長の辰野勇(たつのいさむ)氏自身も、Takeロハの愛用者であり、夏ともなれば、毎日のように着用しているという

襟裏にはループが取り付けられている。濡れてしまった時にフックなどにかけて乾かせるようにとの配慮

襟裏にはループが取り付けられている。濡れてしまった時にフックなどにかけて乾かせるようにとの配慮

竹を選んだのは、機能を第一に考えた結果だった

金森さんは入社27年目の大ベテラン。「堅い会社だと厳しいかもしれないですけど、クールビズなどにも使っていただければ」と語る

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竹は綿花に比べると発育が早く、また必要とする水も少ないだけでなく、農薬や化学肥料を必要としない。つまりコットンよりも自然環境への負荷が少ない資源だ。竹素材のシャツを開発した背景には、アウトドアメーカーらしい環境への配慮があったのだろうか。

「そうですね……我々は出来る範囲で環境への配慮を行っていますが、我々モンベルのコンセプトは創業以来一貫しています。それは『アウトドアを楽しむ自分たちに必要なものを作る』ということ。機能を第一に考えた結果、竹という素材を選んだのです」(金森さん)

日本初のアウトドア用品総合メーカーであるモンベルは、長年に渡り、ユーザーの声を反映した「使える」アイテムを発売してきた。Takeロハもまた単なるカジュアルアイテムではなく、ハイテク素材を使ったナイロンシェルや寝袋と同じく、あくまでアウトドアで使える実用的なアイテムというわけだ。

実はボタンにも竹素材を使用している

実はボタンにも竹素材を使用している

TAKEロハ Men’s アイランド
¥6,800 +税
https://webshop.montbell.jp/goods/disp.php?product_id=2104584

撮影/今井 裕治

PROFILE

吉田大

ライター・編集者。大学卒業後、児童書出版社勤務を経て、フリーランスに。ファッション、アート、音楽、ストリートカルチャーから、政治経済、社会問題、テクノロジー、グルメに至るまで、多岐にわたるジャンルにおいて、長年にわたり執筆活動を続けている。趣味は自転車と立ち食いそば店めぐり。お酒や煙草を嗜まないストレート・エッジな生活を送っている。

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