5G対応折り畳みスマホやスマートスピーカーが注目集める IFA2019 国際コンシューマ・エレクトロニクス展現地リポート

スマートスピーカー、依然好調

家電見本市「IFA2019 国際コンシューマ・エレクトロニクス展」が9月4日、ベルリンのメッセ会場で報道関係者に公開された。注目の展示をフォトストーリーでリポートする。

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このイベントの起源は1924年に開催された「第1回大ドイツ放送展」にさかのぼる。1930年には、当時51歳の物理学者アルバート・アインシュタインが開会スピーチを行っている。現在の略称IFAは第2次大戦後の名称であるInternationale Funkausstellung(ドイツ放送展)に由来する。2005年からは毎年開催されている。

主催者発表による2018年度の出展者数は1814を数え、ビジターは24万5千人、そして会期中の取引額はおよそ47億ユーロ(およそ6200億円)に及んだ。

総展示面積約16万平方mは、同様の家電見本市である米ラスベガスCES(約23万平方m)と、スペイン・バルセロナMWC(約12万平方m)の中間ぐらいの規模である。

開会式のプレゼンテーションによると、2019年の家電市場は、中国を含む各地がいずれもマイナス。唯一中国を除くアジア市場のみが3%プラスと予測されている。家電全体の価格も下落傾向だ。背景には、米中貿易摩擦や中国の景気減速がある。ただしテレビは、依然大きなスクリーン・サイズのものが選ばれる傾向にあり、2019年は世界で50~59インチの市場割合が、前年の29%から35%へと大きく飛躍するとみられている。

もうひとつ伸びが顕著なのは、スマートスピーカーだ。2019年の世界マーケットは、前年比53%増の8130万台に達するとみられている。

【動画】IFA2019 国際コンシューマ・エレクトロニクス展(撮影・大矢アキオ)

サムスン新製品はポルシェに匹敵する優越感が得られる?

サムソン「ギャラクシー・フォールド5G」

サムスン「ギャラクシー・フォールド5G」

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今年はIFA史上初めて、特定の国・地域の展示が「IFA NEXTグローバル・イノベーション・パートナー」としてハイライトされた。第1回のパートナー国は日本である。そのため、経済産業省のブースには、AIやIoTテクノロジーに関連するスタートアップ企業20社が出展した。

一方、報道公開日の会場で最も注目を浴びていたブランドのひとつは、大パビリオンを1館借り切ったサムスンである。筆者は事前登録をしていなかったこともあって、サムスンのプレゼンテーションに入場するまで1時間半の待ち時間を要した。

同社最大のトピックといえば、「ギャラクシー・フォールド5G」である。かねて関心と不具合の双方で話題を振りまいた折り畳み式スマートフォンを、次世代通信規格「5G」に対応させたものだ。開いたときの画面のサイズは7.3インチである。韓国では発表翌日の9月6日に発売され、追って9月18日には、フランス、ドイツ、イギリス、シンガポールでも販売開始される。

今回IFA主催者も認めるとおり、5G通信の対応の市販製品がIFAで本格的に展示されるのは来年2020年以降になりそうだが、それだけに他社に先駆けて出展された「ギャラクシー・フォールド5G」は関心を呼んだ。

会場では、プレスデイにもかかわらず実機に触れられるまでの順番待ちで30分近くを要した。iPhone Xs Maxより重い276gというウェートは、手にずっしりとくる。

気になるちょうつがい部分、本でいうところの「のど」に近い部分や画面は、想像していたほど華奢ではなく、しっかりしており、両面間のスワイプも全くストレスなく行えた。

あとの評価は、日常で情け容赦なくヘビーユースするユーザーに委ねられることになる。この製品を、人混みや電車の中で開いてみせるのは、ポルシェのオーナーが可変リアスポイラーを後続車に見せるのに匹敵するエクスタシーであろう。ただし、それに必要なプライスは1900ポンド( 約25万円:サムスンUK)である。

 

屋外使用を想定したスマートスピーカーも

ソノス初の屋外型スマートスピーカー「ソノス・ムーブ」の野外プレゼンテーション

ソノス初の屋外型スマートスピーカー「ソノス・ムーブ」の野外プレゼンテーション

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一方で、IFAとは別会場で新製品をリリースしたブランドもあった。

例えば米メーカーのソノス(Sonos)は、川に面した森を会場に選んだ。それには理由があった。今回の新製品、Sonos Move(ソノス・ムーブ)は、同社初の屋外用充電式スマートスピーカーである。プレゼンテーションは最初リビングルームを想定した室内で、その後屋外に移動して行われた。

いずれもスピーカーが自動的に周辺環境に合わせた音質に調整。移動中も音質が保たれるのが自慢だ。グーグル・アシスタント(日本では2020年対応予定)とアマゾン・アレクサの双方に対応する。

「屋外のバーベキューパーティーでも合う」と聞いて、筆者は低音のビートがやたら強調された、荒い音質を想像したが、意外に上品なチューニングである。

2019年9月24日から世界各国で発売。日本では2020年春から4万6800円(税抜)で販売が予定されている。

ソノスは、2002年設立のカリフォルニア州のサンタバーバラを本拠にするスマートホーム・サウンドシステムの企業である。2019年には、世界的家具チェーン・イケアとのコラボレーションで、99ドルのスマートスピーカーを発表した。

今回発表されたスマートスピーカーは、従来のソノス製品と比較するとプライスレンジが一回り安い。従来築いたイメージと矛盾は生じないのか? そうした筆者の質問に同社の製品マーケティング部長デーン・エステス氏は、「ソノス製品への関心のきっかけになってくれればうれしい」と自信をもって話す。

 

前代未聞のチャレンジが始まった

ボッシュによる冷蔵庫ドアパネルのカスタマイジング・システム

ボッシュによる冷蔵庫ドアパネルのカスタマイジング・システム

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今回のIFAでキーワードを探すなら、ひとつ目は「パーソナライズ」である。

例えば、部屋のリニューアルやライフステージの変化によって、パネル色が着せ替え可能な冷蔵庫は、ボッシュを含む数社が提案した。モデルチェンジが目まぐるしい家電界において、本当に末永く対応パネルをサプライしてくれるかは、ブランドの良心にかかってくる。

デザイン視点からのキーワードは、ずばり「ブラック」である。日本のパナソニックをはじめ、こちらも大手が相次いで黒色の家電を前面に打ち出した。その一方で、テレビは「ブラックからの脱却」を目指し始めている。

再びサムスンのプレゼンテーションに話を戻せば、彼らは「リビング内で、大型テレビが圧迫感に満ちた“ブラックボックス”であること」に疑問を投げかけ、ひとつのソリューションとして、著名美術アーカイブと提携し、名画200作品を環境映像として同社製のテレビに投影できるようにするアイデアや、フレームを選択可能にすることも提案している。

フレームといえば、パナソニックは、2019年のミラノ・デザインウィークに出展した透明有機ELディスプレーをIFAでも参考展示した。そのフレームは家具メーカー「ヴィトラ」の協力で制作された。

ところで、スマートスピーカーやホームシアターの外見は、どれもよく似ている。それについて作る側は、どのように考えているのか。先述のソノスの幹部に聞くと、「スピーカーであることを主張せず、家の中の環境とシームレスにつながるデザインを優先している」とポリシーを語る。

少し前まで、リビングに置かれた家電は、ひとつの豊かさの象徴であった。日本でいえば、その象徴的存在は「家具調テレビ」だろう。しかし今日では、目立たないこと、インテリアに溶け込むことがモダンさと豊かさの基準になろうとしている。

その中で、いかにライバルと違いを出すかを考えなければならない。プロダクトデザイナーにとっては、腕が試されるシチュエーションの到来である。

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(文/大矢アキオ Akio Lorenzo OYA、写真 Akio Lorenzo OYA、Bosch、Philips、ソニー)

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