オールドレンズとライカのデジタルカメラが捉えた不思議にゆらぐ光たち  落合陽一写真展『情念との反芻』開催中

(TOP画像:湿った光に絡みつく情念と自然(c)-Yoichi-Ochiai)

メディアアーティストの落合陽一さんの写真展「情念との反芻 -ひかりのこだま、イメージの霊感-」が、東京・銀座のライカプロフェッショナルストア東京で開かれている。愛用のライカM10と1960年代のオールドレンズを使って撮影されたカラー17点とモノクロのプラチナプリント3点、そしてメディアアートの立体作品1点が展示されている。10月12日まで。

落合さんにとっては、1月の『質量への憧憬〜前計算機自然のパースペクティブ〜』に続き、今年2回目の写真展となる。『質量への憧憬』では、1年で約10万枚を撮影する“スナップシューター”である落合さんの作品が壁一面に貼られた一角があり、どんなものにレンズを向けているのか、その視点がよくわかった。

【1月の『質量への憧憬』時のインタビュー記事はこちらから】

>>(前編)写真撮影はクリエイティブ脳の筋トレ 落合陽一が語るカメラへの愛情

>>(後編)「僕しか美しいと思わなそうなモノが世の中いっぱいある」落合陽一が個展で表現する“質量”

今回の『情念との反芻』のステートメントには、「心の何処かにあるイメージを外界に探し求めて、今日も写真を撮る」と書かれている。展示作品は、いずれも今年撮られたもので、撮影場所は、良く訪れるとても好きな都市だという香港や、日本の無人島、中国・深圳など。それぞれ落合さんが好きなモチーフである波や植物や朽ちていく構造物がある場所だという。

使われた機材は、ライカM10-D、M10-Pと1966年に製造されたオールドレンズ(NOCTILUX-M 50mm f/1.2)の組み合わせ。経年変化のため、予想外の不思議な光の捉え方をするというそのレンズが捉えた画(え)は、きれいにピントが合った部分と、ハレーションが起きている部分が独特なバランスで配置されている。

9月初めに開かれたメディア向け内覧会で、落合さんは「ある瞬間の偶然でしか撮れない、不思議な光のふるまいのようなものばかりを撮りました」と説明した。写真好きの人は、ライカの最新デジタルカメラと50年以上前に製造されたレンズのコンビが生み出した効果に興味を惹(ひ)かれるはずだ。

ライカM10とオールドレンズ

撮影で使われたM10-Pと1966年に製造されたオールドレンズ(NOCTILUX-M 50mm f/1.2)が、ショーケースに展示されている

今回の個展のタイトルを『情念との反芻(はんすう)』とした狙いはどんなものだろうか。具体的にはステートメントを読んでいただくとして、次の落合さんの説明はテーマを理解しやすかった。

「最近演出を手がけたオーケストラでは、ぎりぎりの成功を目指して生で演奏するところに情念がこもると思いました。同じものを写真の手法で考えると、狙わずに撮ったものには“生感”がある。スタジオの中で“決め打ち”する写真も、それはそれで技能が必要で面白いのですが、今回はそうではないものを追求しました」

落合陽一さん

また、唯一の立体作品は、ロボットアームがポジフィルムを1枚ずつ入れ替えて、小さなスクリーンに映し出し、その後、さらにスクリーンを写真撮影するところまで自分でやるというメディアアート。一連のアームの動きが何とも言えないアナログ感を醸し出していて、可愛らしい。

さらに、落合さんが日頃持ち歩いている愛用のライカが他の製品と並んでショーケースに飾られ、写真への愛情、カメラへのこだわりがよく表れている展示だった。

落合さんは、「メディアアートも引き続きやりますが、メディアアートの保存を考えた時に、写真や動画にも、これまでよりは力を入れてやっていこうと考えています」と語っていた。今後、写真家・落合陽一の作品を目にする機会が増えそうだ。

(文・&M編集部 久土地亮)

落合陽一個展

【写真展詳細】

作家:落合陽一
タイトル:「情念との反芻 -ひかりのこだま、イメージの霊感-」

期間:   2019年9月5日(木) – 10月12日(土)
会場:   ライカプロフェッショナルストア東京
東京都中央区銀座6-4-1 東海堂銀座ビル2階 Tel. 03-6215-7074
営業時間:11:00 – 19:00(日・月曜定休) 入場無料
展示:ライカM10-P、ライカM10-D、ライカSLとライカレンズで撮影された17点とプラチナプリント3点および立体作品を展示
企画・ディレクション:斎藤香織(Emohaus Inc.)
エンジニア:小山裕貴
主催:ライカカメラジャパン株式会社、落合陽一

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