たき火の専門家に学ぶ、キャンプでの薪の組み方、火のおこし方

こんにちは、山城さくらです。

前回に続き、焚(た)き火について「火とアウトドアの専門店 iLbf(イルビフ)」、オーナーの堀之内健一朗さんにお話を伺います。

必要な道具や、薪(まき)の組み方など焚き火の基本について、実技指導を交えて教わってきました。

【動画】焚き火のコツ(前編)簡単な薪の組み方

まずは薪の組み方を教わります

堀之内 まず、火をつける前に薪の組み方から練習してみましょうか。これは『井桁』という組み方です。どこかで見たことがあるという方も多いと思いますが、互い違いに組んでいくだけです。

井桁

堀之内 これが火柱が高く上がるので、観賞用なら一番手っ取り早い組み方ですね。デメリットは薪の消費量が多いことでしょうか。
ただ、空気の流れのバランスも組み方も決まっているので工夫がいらないので初心者の方におすすめです。

TIPI(ティピ)型

堀之内 次は『TIPI(ティピ)型』です。薪を立ててあげるので、バランスが取りにくいですが、下に三角の土台を作ったり薪を比較的短めにするとやりやすくなります。
3本を安定させれば、あとは寄り添わせていくだけなので、慣れてしまえばそんなに難しくないですよ。メリットは、炎が真ん中に集まるのでキレイなことと、少ない薪でできること。空気の流れも抜群で、火力も上がりやすいです。

「火とアウトドアの専門店 iLbf(イルビフ)」オーナーの堀之内健一朗さん

「火とアウトドアの専門店 iLbf(イルビフ)」オーナーの堀之内健一朗さん

堀之内 TIPI(ティピ)型には、薪を最初から倒して組むやり方もあります。先程のやり方に比べて組みやすく、火点が1カ所に集中しているので長時間燃やすことができます。

山城 こんなにたくさん組み方があったとは。当たり前ですが、適当に薪を放れば火がつくわけではないんですね……(笑)。

実践!初心者向け「基本の焚き火」

堀之内 それでは、早速火をおこしていきましょうか。最低限、必要な道具を用意しました。

 1.軍手
 2.火ばさみ
 3.焚き火台
 4.着火剤
 5.ライター
 6.火吹き棒
 7.細い薪
 8.薪(針葉樹・広葉樹)
 9.水

山城 あれっ、薪割り用の斧はいらないんですか?

堀之内 みなさん最初から斧を持ちたがるんですけど、私は初心者の方にはオススメしません。お店に来る初心者の方にも、『まず焚き火をやりましょう、そして必要だと感じてから買ってください』と伝えています。
なぜかと言うと、斧って本当に危ないんですよ。キャンプ場に救急車がくるような大きな事故も火災より斧でのけがのほうが多いくらいですから。初心者を自覚しているうちは、斧を買わずに細い薪を買うのをおすすめしています。安全に楽しんでほしいので……。

山城 なるほど。

堀之内 でも、どうしても割りたいんだ!という方にはこれがおすすめです。

キンドリンクラッカー

キンドリンクラッカー

山城 斧の刃が下についていますね。

堀之内 そうなんです。これは下に斧があるので、薪をあてて上からハンマーでたたくだけで薪を割ることができます。斧よりも安全で力もいりません。おばあさんが薪割りをしているのを見た娘さんが考案したものなんだとか。それでも酔っ払っての薪割りは危険なので、お酒を飲んだらやめておきましょう。

キンドリンクラッカーを使って、薪割りに挑戦

キンドリンクラッカーを使って、薪割りに挑戦

ポイント
斧は危ないので、初心者を自覚しているうちは、薪割りの必要がない “細い薪” を買おう!

山城 あれ、着火剤を使っていいんですね!

堀之内 最初は、火をつけることで苦労してほしくないんですよね。着火剤も、マッチやライターもぜひ使ってください。

山城 たしかに、先日着火剤なしで火起こしに挑戦してみたら全然火がつかなかったです……。

堀之内 なかなか最初からは難しいですよね。でもそこでつまずいて焚き火のハードルが上がってしまうのはすごくもったいないです。
ですから、最初のうちは火おこしはラクにして、その後小さい火から段々と大きく育てていくその過程を楽しんでいただきたいですね。
本格的に焚き火にハマったらそのときには、ぜひ自然の力だけで火をつけてみたりだとか、火起こしから楽しんでもらえたらと思います。

堀之内健一朗さん

山城 なるほど。着火剤はどういうものがおすすめですか?

堀之内 どんなものでも大丈夫ですが、便利なのは固形のものですね。牛乳パックや、紙の粘着テープ、ポテトチップスや松ぼっくりでも代用できます!

松ぼっくり

山城 松ぼっくりはよく使います! ポテトチップスでもつくんですね。なんだか一気にハードルが下がった気がします。

堀之内 斧も着火も、最初から本格的にやるのもいいですが、ある程度遊んでから少しずつアップデートしていくほうが楽しいんじゃないかなと思いますね。ポテトチップスなら1~2枚、松ぼっくりなら3つくらいあれば十分です。今日はこのマッチに着火剤がついているものを使ってみましょうか。

着火剤付きマッチ

ポイント
初心者のうちは着火剤を利用し、火おこしではなく “小さな火を大きくする過程” を楽しむ!

堀之内 まず着火剤で火をつけたら、細い薪を入れていきます。これは割り箸や小枝でも大丈夫です。ただし小枝を使う場合はよく乾燥しているものを拾ってきてくださいね。

山城 手で折ったときに、パキッと折れるやつですね。

堀之内 そうですね。細い薪や小枝から、段々と太い薪にシフトしていき、ある程度火がついたら薪を組んでいきます。

堀之内 今日は比較的スタンダードな薪の組み方、『井桁』で組んでいきたいと思います。井桁の良いところは、バランスが良いので火をおこした後に薪を組みやすいところです。もちろん、組んだ後に中央で着火しても大丈夫です。

火吹き棒

山城 おお……! 少しずつ薪に火がうつってきましたね! この時点でのポイントはありますか?

堀之内 火を育てるときは、あまり薪をいじりすぎないほうがいいですね。

山城 なるほど。ついついイジりたくなってしまうところですが……じっと待つのが大事!

堀之内 急いで火力を上げたいときや、薪を入れた直後の火の温度が少し下がったときは、積極的に空気を入れてあげると良いですよ。

山城 火吹き棒の出番ですね! 持っていない人はうちわでも良いですか?

堀之内 うちわでもいいのですが、風が分散されるので少し非効率ですね。やらないよりはマシですが……。また、燃えカスが飛びやすいので注意が必要です。

空気を送る道具

堀之内 吹くのが大変な人には、こういった空気を送る道具も便利でおすすめです。

薪

山城 ちなみにですが、薪ってどんな木を使っても良いんですか?

堀之内 いえいえ、最初のうちは、販売してあるものをおすすめします。天然の焚き木などは湿っていることが多く大変苦労します。慣れないうちは、用意された薪で焚き火を楽しみましょう。その際、薪は用途によって選んでください。火力を上げたいときや、調理をするときは、針葉樹(杉、ヒノキなど)、観賞用としてじっくり楽しみたいときは広葉樹(ナラ・ブナなど)が向いています。ただ、広葉樹は火がつきにくいので『おき火(※温度がしっかりしているが炎が上がらず安定している状態)』の状態になってから投入するようにしましょう。

ポイント
針葉樹(杉、ヒノキなど):着火しやすいが、その分燃え尽きるのも早い。火力を上げたい場合や、調理に向いている
広葉樹(ナラ・ブナなど):着火しにくいが、一度火がつくと長持ちする。観賞用に向いている

 

※2種類用意するのが大変なときは、調理後に観賞用として楽しむのなら広葉樹、調理にしか使わないのなら針葉樹がおすすめ!

たき火

山城 だいぶしっかり火が付きましたが、この時点で何か注意することはありますか?

堀之内 そうですね、大事なのは、必ずコントロールできるくらいの火力を保つことです。

コントロールできるというのは、手元にある道具で火力を調整できるということ。
本来、火力を下げたいときは、薪を抜けばいいのですが、コントロールを失うと、熱くてそれもできなくなってしまいます。

大きくなりすぎた火は周りのものに引火し、大規模火災にもなりかねません。
コントロールを失った火というのは、本当に怖いです……。

火が育っていくのが楽しくて、ついどんどん薪を入れたくなってしまうんですが、突然火が大きくなることもあります。ポイントは、5分後が想像できる燃やし方をすることですね。

堀之内健一朗さん

山城 怖いですね……。万が一火が大きくなりすぎてしまったときの対策はありますか?

堀之内 火が燃えるために必要な要素『燃料・空気・温度』のどれかを取り除くことです。灰や土をかけると、空気の流れが止まるので効果的です。水は、温度を下げ、空気の流れも止めるので効率的ではありますが、火の量によっては水蒸気があがって予期せぬけがにつながりやすいので、緊急のときだけにしましょう。あとは、施設で決められた処理の仕方があるのでそれに従ってください。

ポイント
火力は、手元にある道具で火力をコントロールできるくらいを保つ

堀之内 少し怖い話をしてしまったので、最後におもしろいグッズを紹介しますね!

山城さくらさんと堀之内健一朗さん

山城 ぜひ!!

堀之内 これは、焚き火に色を付ける粉です! こうやって火に振りかけると……。

色が付いたたき火

山城 おおおっ!!これはきれい……! お子さんも喜びそうですね。

堀之内 色が変わるのは花火と同じ原理なんです。きれいですよね~。

色が付いたたき火

山城 正直、火に色を付けるなんて邪道だなって一瞬……ほんの一瞬思ってしまいましたが、これはめっちゃきれいです! 買って帰ります!

堀之内 (笑)

堀之内健一朗さん

ということで、前編「焚き火道具の選び方」と後編「薪の組み方、火のおこし方」に渡り、「火とアウトドアの専門店 iLbf(イルビフ)」、オーナーの堀之内健一朗さんにお話を伺いました。
まずは基本をしっかりと覚え、次のキャンプで実践してみたいと思います。

だんだんと涼しくなり、キャンプに良い季節になってきました。
焚き火の本シーズン冬が来る前に、ぜひ皆さんも一緒に焚き火をマスターしましょうっ!

【動画】焚き火のコツ(後編)火をコントロールして楽しむ

火とアウトドアの専門店 iLbf(イルビフ)

火とアウトドアの専門店 iLbf(イルビフ)

2016年、埼玉県三郷市にある団地内にオープン。薪ストーブや焚火台など、焚き火を中心に、アウトドアグッズを展開している。日本で唯一店内で焚き火実演が出来る施設を併設し、薪の質、燃え方や音の違いを試すことが出来る。店名は「 I Love the bonfire.(私は焚き火が大好きです)」の頭文字をとりiLbfとオーナーが名付けた。
所在地:埼玉県三郷市彦成4-4-17 みさと団地南商店街104区画
駐車場:12台あり(駐車場住所 埼玉県三郷市彦成4-4-19)
営業時間:公式サイト営業日カレンダー参照
電話: (048) 951-4949
公式サイト:https://ilbf.jimdo.com/

(取材・文=山城さくら、写真=大滝洋之 / Bright Logg,inc)

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