キャンピングカーで行こう!

1億8千万円のキャンピングカーも! ドイツ・キャラバンサロン2019リポート(下)

ドイツ・デュッセルドルフで開催された、世界最大級のキャンピングカーショー・キャラバンサロン2019。前回はファミリー向けレイアウトの車両が増えていることをお伝えしましたが、今回はこちらも人気が高まっている、高級キャンピングカーの話題などについてリポートします。

まるで高級ホテルのスイートルーム アドリアの新トレーラー

ヨーロッパのキャンピングカーといえばトレーラーが主流、という時代が長く続きました。しかし、かつて7割近かったシェアも今やすっかり自走式に逆転されました。それでも、The Caravanning Industry Associationの統計によれば、トレーラーの販売台数はまだシェアの40%あります。今回のショーにも、各社からしっかり、新型が持ち込まれていました。

とはいえ、そのラインナップにさほど大きな変化はありませんでした。レイアウトや細部のブラッシュアップにとどまったビルダーがほとんど。その内容としては、前回もご紹介したプルダウンベッドや多段ベッドを備えて就寝定員を増やしたモデルが目立ちました。その傾向は自走式とまったく同じです。

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大きなエントランスドアが特徴的なアドリア社の新しいASTELLAシリーズ。注目度は高く、ブースは常に人だかり

そんなマイナーチェンジが多い中で新しいシリーズを発表した会社があります。スロベニアのビルダー、アドリア社です。今回発表されたのはASTELLAシリーズ。キャッチフレーズで”New luxury line”(訳:新しい高級ライン)とうたうだけあって、高級ホテルのスイートを思わせるようなゆったりしたレイアウトです。外観はスクエアなフォルムに「掃き出し窓」のように大きく開くエントランスを備え、かなりユニーク。同シリーズには3モデル用意されていますが、最小サイズでも全長7.6mという堂々たる存在感。もちろん日本ではけん引免許が必要です(日本発売未定)。

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ASTELLAシリーズの内装。高級ホテルのスイートを思わせる、ぜいたくな空間だ(画像提供:ADRIA Mobil)

トレーラーの新充電システムも登場

もうひとつ、日本を出発する前から気になっていた新システムがありました。ぜひ現地で実物を見たいと思っていた、サブバッテリーの充電システムです。

発表していたのは、車両電装機器メーカーのボッシュとトレーラーシャシーメーカーのアルコ。くしくも同時に、2社からほぼ同じシステムが提案されていたのです。それぞれ独自の技術は盛り込んでいますが、基本的な考え方はどちらも一緒。「発電機兼モーターを組み込んだ車軸」と「48Vのリチウムイオンバッテリー」、そして「コントロールシステム」を組み合わせたものです。

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ボッシュ社が展示していた、充電・回生ブレーキ・ムーバーが一体になったシステム

走行中の車軸の回転によって発電し、48Vバッテリー(サブバッテリー)に充電します。その発電機兼モーターは回生ブレーキとしても作動。また、キャンプ場や駐車場ではムーバーとしても働きます。

これによりもたらされるメリットは

従来、ヘッド車のエンジンによる発電でDC12Vのサブバッテリーに充電していたものから、トレーラー単体で発電することになる

車のエンジンからの供給に準じてDC12Vだったサブバッテリーもエンジンから解放されたため、より効率のいいDC48Vのバッテリーを搭載

の二点。

両社とも今回はシステムを発表しただけで、発売時期などを明言はしていませんでしたが、なかなか興味深いものでした。ただここまで大掛かりなシステムとなると、価格はそれなりに高価になるでしょう。従来の「枯れた」システムとどう競合していくのかが課題になりそうです。

ショーの華? 超豪華モデルの数々

キャラバンサロンは2千台超という展示台数もずば抜けていますが、価格の幅も、文字通り「桁違い」です。今回の出展で一番安価だったのは、2人旅用のコンパクトなトレーラーで60万円程度。一方、最も高価なモデルは1億8千万円(しかもオプション別!)というフォルクナーモービル社の自走式。床下にポルシェが入るタイプです(もちろんポルシェ代は含みません)。

1億8千万円のキャンピングカーも! ドイツ・キャラバンサロン2019リポート(下)

こちらが今回の最高額モデル1億8千万円なり。床下のポルシェは含まれておりません

こうした超高級ラインナップのことを、“ライナークラス”といいます。このクラスの大型高級モデルだけを集めた展示館は、毎度のことながら「壮観」の一言に尽きます。

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リアに収まる車も、数年前までスマートなど超小型車だったが、今はFIAT500などが当たり前になった

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大盛況のライナークラスの展示館、さすがにこの館のお客様は年齢層がやや高め

しかもこのライナークラス、この5年ほどで大幅に売り上げを伸ばしていて、各ビルダーが展示する台数も年々増えています。見ていて面白いなあと思うのは、アメリカ製キャンピングカーでは「常識」とも言えるスライドアウトを採用した車両が少ないことです。

スライドアウトで車体を拡張して広さを稼ぐアメリカ製。豪華な内装や、車両の下や後ろにガレージまでとりつけるなど、装備でぜいたくをする欧州車。ぜいたくの考え方や方向性が違うのは面白いところだと思います。

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VARIO社のスライドアウトモデルの内装、真っ白な革張りで目もくらむ

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ベッドルームも真っ白! 汚れが気になるような人は買わないのかも

数千万円から1億円超えの車両がズラリと並ぶ姿にはもちろん圧倒されますが、こうした会社の商談ブースがにぎわっているのにも毎年驚かされます。さすが売り上げが伸びているというだけあって、商談コーナーはどこも満席。どこぞの高級カフェのようなゴージャスなしつらえで、いれたてのエスプレッソ、ワイン、チーズやフルーツをふるまうブースがあちこちに。今日1日で何億円の商談がまとまったんだろうと思うと、痛快ですらあります。

1億8千万円のキャンピングカーも! ドイツ・キャラバンサロン2019リポート(下)

冷やかしのお客はとても少ない。皆さん真剣にセールス担当と会話している

そして例年同様、会場併設のキャンプ場にも足を運んでみました。さっき会場で見たような、超豪華キャンピングカーがずらりと並び、夕日にきらめいています。ある一角はオーナーズクラブでもあるのか、同じビルダーのライナークラスが集まっていました。「ほんとに乗ってる人、いるんだ……」。馬鹿みたいですが、正直な感想です。

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会場併設のキャンプ場にはライナーモデルがずらり! ちゃんと売れている証拠だ

バンコン、キャブコンタイプはLCCの航空会社のように、同じサイズでも就寝定員を増やし、リーズナブルな方向に向かっています。一方で、超大型高級車の販売も順調。間違いなく言えるのは、どの所得層であれ、遊びに積極的なライフスタイルを送る人が多くなっているということです。

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日本にはないExpedition Vehicleと呼ばれるキャンピングカー。リアキャリアは油圧式、BMWの大型オフロードバイクも搭載

1億8千万円のキャンピングカーも! ドイツ・キャラバンサロン2019リポート(下)

ゴツイ外観とは裏腹に、まるでおしゃれなバーのようなExpedition Vehicleの内部

PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。

ファミリー向けキャンピングカーがトレンドに。ドイツ・キャラバンサロン2019リポート(上)

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