MY KICKS

アシックスブームは次の段階へ ハイパフォーマンス&ハイファッションを両立した一足

今や、スニーカーは私たちの生活に欠かすことの出来ない“生活必需品”。どんな人にも愛着ある一足があり、そこには多くのこだわり、思い出、物語が詰まっているはず。本コラムでは、様々なスニーカー好きたちが「MY KICKS(=私の一足)」をテーマに語り尽くす。

宮井さんが「最もよく履いている」と語るGEL-QUANTUM 360KNIT1(参考商品)

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アシックスのスニーカーはファッションアイテムというより、実用的なスポーツシューズとして見られがちだ。しかし視点を欧米に向ければ、アシックスは「日本発の高級スニーカー」として支持されている。10年ほど前からは、有名セレクトショップで目にすることも珍しくなくなり、スニーカーのトレンドセッターであるラッパーたちの間でも「GEL-LYTE」「GEL-KAYANO」といった人気シリーズの復刻モデルがブームに。その人気が逆輸入される形で、最近では国内のスニーカーファンの間でも「アシックス=ファッショナブルなスニーカー」としての認識が広がっている。

さらに、ここ数年はモード界にもアシックス人気が波及。キコ・コスタディノフ(Kiko Kostadinov)やヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)に代表される高級ブランドとのコラボレーションモデルはプレミアム価格で取引されることも珍しくない。

ファッション業界では最新モデルも人気が高く、ショーのランウェーを歩くモデル、その姿を見つめる業界人たちの足元が、アシックスのスニーカーであることはもはや普通のこと。欧米のスニーカーメーカーにはない斬新なデザイン、機能性と安全性を意識したモノ作りへの姿勢が、復刻モデルを通じて認知されるようになってきているのだ。

アシックスのカテゴリーマーケティングチームの宮井瑞樹(みやい・みづき)さんもまた、履き心地に魅せられて、アシックスにハマった一人だという。

「2014年にアシックスに入社する以前は、ランナーのための施設を作っていたんです。 その仕事をきっかけに自分自身でもランニングを始めたんですが、周りのランナーを見渡すとアシックスを履いている人が多かった。僕は高校の時にアメリカに住んでいたこともあって、海外メーカーのスニーカーを履くことが多かったんですが、アシックスを履いて驚きましたね。フィット感もクッション性も段違いだったんです」(宮井さん)

宮井さんがそう感じたのも当然だ。アシックスは国内随一のスポーツメーカーとしてこれまでにグローバルで100万以上の足形をとってきた。その膨大なデータを応用して、現在では日本人を含む様々な国の人々が快適に履くことが出来るラスト(=シューズの木型)を作っているからだ。

ラストはやや幅広な足形を意識している。実際に履いてみると、フィットしつつも締め付けは感じられない

ラストはやや幅広な足形を意識している。実際に履いてみると、フィットしつつも締め付けは感じられない

特殊な形状のソールが生み出す高いクッション性能

シリーズを代表する人気モデル「GEL-QUANTUM 360 4」(参考商品)

シリーズを代表する人気モデル「GEL-QUANTUM 360 4」(参考商品)

アシックスに入社して以来、毎年10足のペースでげた箱のスニーカーが増え続けているという宮井さん。もちろんそれ以外にも、仕事で数百、いや千足以上のアシックススニーカーとの出会いがあった。その中からフェイバリットとしてあげてくれたのが、2017年から展開がスタートした「GEL-QUANTUM 360」シリーズ。スポーツからデイリーユースまで、幅広い用途に使える汎用(はんよう)スニーカーだ。国際市場をターゲットとしたPRを担当する宮井さんは、このアイテムを履いて世界中を「駆け回っている」という。

「僕はPRイベントなどで海外に行く機会が多いのですが、必ず訪れた場所を走ることにしているんです。出張時に便利なのが、仕事にもオフの時のランにも使えるGEL-QUANTUM 360。カジュアルはもちろん、少しフォーマルな格好にも合いますし、走りに特化したシューズに比べると重量があるものの、10キロ程度のランなら全く問題ない。この一足を履いていけば、他に靴は必要ないです。本当に重宝してますよ」(宮井さん)

大胆なスリットが側面に多く配され、路面にくらいつきそうなデザイン。ソール側面の大部分が衝撃緩衝素材のGELで作られている

大胆なスリットが側面に多く配され、路面にくらいつきそうなデザイン。ソール側面の大部分が衝撃緩衝素材のGELで作られている

ナイキの「AIR」、アディダスの「BOOST」など、スニーカーメーカーには看板となる衝撃吸収テクノロジーがある。そしてアシックスが誇る「GEL(ゲル)」は、1980年代の後半に開発された衝撃緩衝材だ。「かつてないクッション性」をコンセプトに設計された「GEL-QUANTUM 360」シリーズには、この「GEL」がふんだんに使われている。

「一般的なモデルでは、かかとの部分などごく一部にのみ使用しているGELを側面全体に搭載しています。さらにソールにはスリットが入っているので、斜めにズレることで、衝撃を吸収してくれます。本当にクッション性が高いので、ぜひとも一度試してほしいですね」(宮井さん)

オリジナルモデルのアッパーは「シームレスデザイン」。縫い目を極力排除しているため非常にフィット感が高い

オリジナルモデルのアッパーは「シームレスデザイン」。縫い目を極力排除しているため非常にフィット感が高い

この特徴的なソールを備えた「GEL-QUANTUM 360」シリーズには、様々なバリエーションが存在する。オリジナルモデルのアッパーがシームレスの1枚生地であるのに対して、たとえばこちらの「ニット」は柔軟さを持った糸で編まれている。

GEL-QUANTUM 360KNIT2(参考商品)

GEL-QUANTUM 360KNIT2(参考商品)

耐久性、耐水性においてはオリジナルモデルに軍配が上がるものの、軽量で通気性が高いのが特徴といえるだろう。宮井さん自身も普段はニットモデルを履き、出張やランニングには通常バージョンを愛用しているという。

アッパーが糸で編まれたニット素材で作られているため、足入れがスムーズで柔らかく、通気性が良い

アッパーが糸で編まれたニット素材で作られているため、足入れがスムーズで柔らかく、通気性が良い

スポーツとファッションを分ける必要はないという気付きをくれた

宮井さんはフルマラソンを9回経験しているランナー。練習の時は「GEL-QUANTUM」シリーズが多いとのこと

宮井さんはフルマラソンを9回経験しているランナー。練習の時は「GEL-QUANTUM」シリーズが多いとのこと

実は少し前まで、アシックスはパフォ−マンスを目的としたモデルとファッションアイテムとしてのスニーカーを完全に分けていたという。しかしパフォーマンス用シューズであるはずの「GEL-QUANTUM 360」がファッションアイテムとして売れ始めたのを機に、パフォーマンス用のシューズの多様な使用を強く意識するようになった。そう「GEL-QUANTUM 360」は、アシックスにある種の転機をもたらしたモデルでもあるのだ。

「このシリーズはアシックスに気付きをくれたモデルなのかもしれません。元々アシックスには『スポーツで培った技術で質の高いライフスタイルを創造する』というコーポレート・ビジョンがあるのですが、これまではパフォーマンス面がメインになっていました。しかし、これからはパフォーマンスだけでなく、皆さんの日常も積極的に支えていきたいと考えているんです。そういった意味でGEL-QUANTUM 360シリーズは新しいアシックスを象徴するアイテムの一つと言えるかもしれません」(宮井さん)

「GEL-QUANTUM 360 4」(参考商品)は足首を優しくホールドしてくれるボリュームのあるヒールがインパクト大。「スニーカーの顔といえば側面ですが、若干後ろから見るのが好きですね」と宮井さん

「GEL-QUANTUM 360 4」(参考商品)は足首を優しくホールドしてくれるボリュームのあるヒールがインパクト大。「スニーカーの顔といえば側面ですが、若干後ろから見るのが好きですね」と宮井さん

宮井さんは、一足であらゆるシーンにフィットする「GEL-QUANTUM 360」シリーズを「未来のスニーカー」だと語る。ぜひとも店頭でその最新バージョン「GEL-QUANTUM 360 5」を手にとってほしい。 すでに国内外でアシックスの再評価は始まっている。アシックスは日本発祥のブランドだ。日本に住んでいて、アシックスを履かないなんて、もったいない。

2019年9月現在の最新モデル「GEL-QUANTUM 360 5」はシャープな印象。価格は¥ 19,440 (税込)

2019年9月現在の最新モデル「GEL-QUANTUM 360 5」はシャープな印象。価格は¥ 19,440 (税込み)

ヒールには「GEL」の立体ロゴを配置

ヒールには「GEL」の立体ロゴを配置

アシックス公式サイト
https://www.asics.com/jp/ja-jp/mk/gel-quantum

取材・文/吉田大
撮影/今井裕治

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PROFILE

吉田大

ライター・編集者。大学卒業後、児童書出版社勤務を経て、フリーランスに。ファッション、アート、音楽、ストリートカルチャーから、政治経済、社会問題、テクノロジー、グルメに至るまで、多岐にわたるジャンルにおいて、長年にわたり執筆活動を続けている。趣味は自転車と立ち食いそば店めぐり。お酒や煙草を嗜まないストレート・エッジな生活を送っている。

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