チャープラン BNK48選抜総選挙第1位!タイ最難関の国立大学卒の彼女が、なぜ“アイドル”の道を選んだのか?

すぐれた才能と美しい容姿を兼ね備えた様をいう言葉「才色兼備」。
『BNK48』でキャプテンを務めるチャープラン・アーリークンさんは、この言葉にぴったりな人だ。
『AKB48』の姉妹グループとして2017年にタイで結成されると、平成最後の紅白歌合戦にも出場。タイ・バンコクで“現象”とまで呼ばれるほどの大人気アイドルグループとなった『BNK48』。チャープランさんは同グループの一期生であり、グループデビュー当時からキャプテンを務めている。
『AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙』では39位、『第1回BNK48選抜総選挙』では1位を獲得。デビューから2年で、人気アイドルの階段を駆け上がっている。
注目すべきは、彼女が“学業”と“アイドル”を両立させてきたことだ。タイ最難関の国立大学で化学を学び、研究助手として論文を発表。2018年度に無事卒業をした。
将来について、様々な選択ができたであろう彼女が、なぜ“アイドル”の道を選んだのだろう。主演した映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』のPRのため来日した彼女にインタビューした。
今この年齢でしかできないアイドルに全力で取り組んでいきたい
―― タイ最難関の国立マヒドン大学で化学を専攻して、さらには研究助手として発表した共同論文は高く評価されている。様々な道を選択できた環境の中で、なぜアイドルの道に進もうと思ったのでしょうか?
チャープラン 子どもの頃からアニメや漫画が好きで、アニメ『AKB0048』にハマり、AKB48というアイドルグループが日本にいることを知りました。そこから、AKB48が大好きになって、アイドルが大好きになりました。
大学で化学の勉強をしていたのですが、勉強漬けというわけではなく、そうした趣味も楽しんでいました。そんな時、タイでBNK48の結成オーディションが開催されると聞き、試しに応募してみようと思ったのです。その時は合格するなんて全く思っていなくて、「大好きなAKB48の姉妹グループだから、記念に受けてみよう」という気持ちでチャレンジしたら、まさかの合格でした。
最初は驚きましたが、同時に、アイドル好きとしてアイドルがどういうものなのか自分で体験してみたいとも思いました。貴重な体験ができるこのチャンスを無駄にはできないと考え、全力でアイドルになろうと決めました。
―― とはいえ、アイドルと学業の両立は大変だったのでは……?
チャープラン アイドルも勉強も自分にとっては大好きなことで、どちらもやりたいことだったので、両立できました。
私の中で、勉強は一生できるものだと思っています。もし勉強する時間がなくなったとしても、もう一度学び直すことができますから。でも、アイドルは今この年齢でしか、期間限定でしかやれないことだと思いました。歌も踊りもとても苦手だったけれど、限られた時間の中でこんな素晴らしいチャンスをもらったので、全力で取り組みたかった――。
アイドルになって、もっとアイドルが好きになった
―― 大好きだったアイドルに自分自身がなったことで、アイドルへの印象は変わりましたか?
チャープラン かなり変わりましたね! 画面越しで見ていた時は、キラキラした可愛い面ばかり見てましたけど……。実際アイドルになってみて、大きな努力の上でその輝きを見せていると感じました。常に自分をレベルアップしていかないと、ファンの皆さんを楽しませ続けることができないので、ものすごい努力が必要です。
でも、そうした裏側を見られたことで、アイドルがもっと好きになりました。多くの人に見られるからこそ、どう見られるかということへの意識、推してくれるファンへの対応、その一つひとつの努力の積み重ねで成り立っている。それは自分がやってみるまで分からなかったことなので、新しい気づきを得て、さらにアイドルが好きになりました。
―― つらいと感じることの方が多そうなのに、もっと好きだと感じられるモチベーションはどこにあるのですか。
チャープラン もともとアイドルが好きだったというのが大きいかもしれません。アイドルの生き方そのものが好きでしたから。
あとは、ファンのみんなが推してくれることが、楽しいと思える理由でもあります。歌や踊りが上手くなるように練習したり、見た目も美しさを磨いたり、さまざまな努力をして、ファンの人たちに認めてもらう。認めてもらった喜びをファンの人たちに伝えて、また喜んでくれるファンの人たちを見てさらに努力する。自分がどんどん成長していけるので、とても良い循環が生まれていると感じています。
アイドル、学業、そして「俳優」の道へ
―― 2018年にはアイドルと学業以外に、「俳優」の道にも進まれましたよね。『ホームステイ ボクと僕の100日間』では、初めてのお芝居とは思えないほど、素晴らしい演技でした。
チャープラン なんとか乗り切りました(笑)。演技の勉強をしたこともなかったですし、アイドルとは全く異なるスキル・才能が必要なので、演技指導の先生から色々なことを教わりました。

『ホームステイ ボクと僕の100日間』で、本作のヒロインであるパイ役を演じた ©2018 GDH 559 CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED 【もっと写真を見る】
―― 泣いたり、怒ったり、不安定な感情を表現する演技が印象的でした。
チャープラン そこが一番苦労しましたね。わたしは、自分の感情を表に出すことがとても苦手で、普段は泣くこともほとんどありません。自分とは全く違う人に成り切るだけでも大変なのに、感情を表現しなければならない。とても難しかったです。
ただ、難しかった一方で、自分をとても成長させることができました。お芝居を通して、自分の気持ちが理解できるようになった。我慢してきた感情を解放する方法も分かるようになって、ご機嫌な気持ちになることが増えました。新しい道に進んだからこそ、さらに多くの学びを得ることができたと感じています。
―― ヒロインのパイは、科学オリンピックを目指す優秀な学生。高学歴で勉強を頑張っているチャープランさんとの共通点もあるように感じました。
チャープラン パイと私は確かに似ている部分も多いです。特に勉強や科学など好きなものが似ています(笑)。 ただ、パイの年齢はちょうど思春期という、複雑な時期。自分や周りにストレスを感じることも多い、不安定な年頃です。そこが私とは決定的に違うと思っています。
芸能活動の幅を広げながら、大学院進学を目指す
―― タイではすでに映画が公開され、チャープランさんのキスシーンなど演技を見たファンの方たちが「ここまでするの?」と話題になったそうですね。
チャープラン アイドルの私が、初めて芝居をするので、周りからどう思われるか心配はしていました。でも、今回の映画で、みんなが俳優として認めてくれたように感じます。 なので、アイドルにこだわらなくてもいいんだと思いました。

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―― 俳優デビューを果たしたことで、新しい道が開けたと思います。今後はさらに、どのような道へ進んでいこうと考えていますか?
チャープラン 今、私には二つの道があると思っています。それは、学業と芸能界(アイドル、俳優)の道です。どちらか片方の道に進む選択もありますけど、私は“どちらか”ではなく“どちらも”選択していきたい。
なぜなら、私は「人のためにできることをしたい」という思いが大前提にあるからです。学業で得た知識で、社会や多くの人へ貢献していくことができる。一方、芸能界では、多くの人たちに楽しさや幸せ、笑顔を広げていくことができる。
なので、今後は大学院に進学してさらに学びを深めていきたいと思っています。仕事が沢山あってすぐには難しいかもしれないけど(笑)。そして、芸能活動の幅もどんどん広げていきたいです。
(取材・文=阿部裕華、写真=山本春花)
美しい映像表現で、「命」を描いた作品

『ホームステイ ボクと僕の100日間』で、本作のヒロインであるパイ役を演じた ©2018 GDH 559 CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED 【もっと写真を見る】
『ホームステイ ボクと僕の100日間』
10月5日(土)全国ロードショー
ティーラドン・スパパンピンヨー、チャープラン・アーリークン
監督・脚本:パークプム・ウォンプム
製作会社:GDH599
配給:ツイン
公式HP:homestay-movie.com/
▼チャープランさんより一言
この作品を通じてお伝えしたいことは「命の大切さ」「命の価値」。そして、「人との繋がりや絆」です。自分や周りとの関係性について深く考えられる作品となっています。 素晴らしいCGを使い、見ていてハラハラするシーンも多く、映像表現でも楽しむことができると思います。一人でも多くの方に足を運んで見てほしいです。
PROFILE
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「キネマの誘惑」ライター陣
奈々村久生、西森路代、阿部裕華、武田由紀子、石川智也
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阿部裕華
1992年生まれ、神奈川県出身。 WEBメディアのライター/編集/ディレクター/マーケターを約2年間経験。2018年12月からフリーランスとして活動開始。ビジネスからエンタメまで幅広いジャンルでインタビュー中心に記事を執筆中。アニメ/映画/音楽/コンテンツビジネス/クリエーターにお熱。