キャンピングカーで行こう!

人気の軽キャンピングカー その魅力をおさらいしてみよう

9月21、22両日、神奈川県川崎市の川崎競馬場では恒例の「神奈川キャンピングカーフェア」が開催されました。会場で特に人だかりができていたのが「軽キャンピングカー」。やはり人気は根強いようです。そこで、改めて軽キャンピングカーについておさらいしましょう。

(TOP写真:軽バンコンの一例。最近流行中の室内2段ベッドを設置したところ。寝るスペースとしてだけでなく、荷物スペースにもなる)

世界が驚いた、日本の軽キャンピングカー

すっかり、いちジャンルとして定着した軽キャンピングカー。言わずと知れた、軽自動車をベースにしたキャンピングカーです。

そもそも軽自動車は日本独自の規格です。

・全長が3.4m以下
・全幅が1.48m以下
・全高2.0m以下
・排気量が660cc以下
・乗車定員は4名以下

以上の条件を満たしていないと、軽自動車として登録することはできません。
軽自動車として登録された車両には、税金や高速道路料金が割安に設定されています。
軽自動車(軽キャンピングカー)人気の理由は、

・イニシャルコストが安い(普通車に比べて価格が安価)
・ランニングコストが安い(税金、高速道路料金、燃料費など)
・小型であることの手軽さ(取り回しが良い、小回りがきくなど)

あたりでしょうか。

さらに、4ナンバーか8ナンバーかにかかわらず、車検が2年毎という点をメリットに感じる人もいるでしょう(普通車4ナンバーは毎年車検)。

さて、キャンピングカーは、自動車(乗用車やバン、トラックなどの商用車)に居室部分を架装して作られています。特にキャブコンタイプのように居室空間そのものを作って取り付けている場合、ベース車両よりも大きくなることもあります。それでも、上記の条件内に収まっていなければなりません。つまり軽自動車登録できるキャンピングカーは、キャブコンでもバンコンでも、非常にコンパクトに作られている。

そして、「限られた空間をいかに上手に利用するか」という課題は、日本人にとっては得意な分野と言えるでしょう。実際、軽キャンピングカーの室内は実によくできています。例えば、少ない手間であっという間にダイネット(食卓)や寝台ができます。

数年前、ヨーロッパの某キャンピングカーメーカーの製造部長が日本のキャンピングカーショーを視察に訪れた際、軽キャンピングカーの外観や室内、居住空間で寝台などが展開する様を見て「Amazing!」を連発した、という話を聞きました。

さて、国産のキャンピングカー(自走式)は大きく分けると、バンをベースにしたバンコン、トラックをベースにしたキャブコン、マイクロバスなどをベースにしたバスコンがあります。軽キャンピングカーにはバスコンはありませんから、バンコンとキャブコンの2種類になります。

そして、軽自動車ベースの場合、ボディーサイズやエンジンに、規格で定められた制約があります。

スズキ・エブリイ

軽キャンピングカーのベース車両によく採用されるスズキ・エブリイ。バンコンの場合は室内に架装するが、外観からはキャンピングカーであることが全くわからない

バンコンタイプは2段ベッドのスタイルがトレンド

・概要
外観はベース車両の姿そのまま。外から見ただけでは、キャンピングカーには見えないでしょう。2列目シートも元のままなので、普段はキャンピングカーであることを全く意識せずに、4人乗りの軽自動車として活用できます。

・レイアウト
限られた空間を最大限活用するために、ビルダー各社は、それぞれに工夫を凝らしたレイアウトを提案しています。最近のトレンドは、車内に2段ベッドを設けるスタイル。もちろん、4人寝ることもできる設定ですが、2人旅で上下どちらかを荷物スペースにすればのびのびと就寝でき、長期間の旅でもストレスがありません。

軽バンコンの室内

軽バンコンの一例。ベッドを展開すればのびのびと寝られるスペースが出現する

・断熱は?
とはいえ、ボディーは元の軽バンのままです。キャブコンに比べて不利なのが「断熱」です。断熱を重視している会社では、ベース車両の内装を一度はがし、壁面、天井、ドア内側など可能な部分すべてに断熱材を仕込んであります。しかし、室内空間をいちから作って載せているキャブコンとちがって、内装の内側に仕込める断熱材の量は限られます。
いったんはがして、奇麗に元通りにしてあるので、車両を見ただけではわかりにくい性能ですが、夏冬の気候の厳しい時期、断熱性能の良しあしは大きく影響します。選ぶ上ではぜひチェックしたいポイントのひとつでしょう。

・空間の広さ
そしてバンコンでどうしてもつらいのはスペースの問題です。軽バンそのままでは、当然、広々とは言えませんよね。当然キャンピングカー登録もできません。構造要件に、キッチン前の天井高が160cm以上という規定があるためです。
そこで、軽キャンピングカーに多い装備に「ポップアップルーフ」があります。これはルーフ(=屋根)がポップアップ(=上に持ち上がる)機構で、展開すれば車内で立つこともできます。立ったまま万歳できるほどの、軽自動車とは思えない空間が手に入ります。ただし、ボディーを大幅に加工する必要があるため、車両価格は上がります。
また、軽自動車は元々、規格いっぱいのサイズで作られています。そこにハイルーフや拡張窓といった架装をすると規格サイズを超えてしまう(=軽自動車として登録できない)ため、ポップアップルーフ以外の架装はできません。

・走行性能
軽自動車というと「動力性能が心配」という方もいらっしゃるでしょう。軽キャンピングカーの中でも、ターボ車が用意されていることが多いのがバンコンのメリットの一つです。例えば、ベース車としてよく使われるスズキ・エブリイのターボ車とノンターボ車を比較すると、馬力は64psと49psで3割増、最大トルクは95N・mと62N・mで5割増、となっています。ターボ車には「オイル交換のインターバルが短い」「燃費がやや悪い」などのデメリットもありますが、選択肢があるのはうれしいですね。

軽キャブコン

軽キャブコンの一例。運転席上に張り出した部分はバンクベッドではなくポップアップルーフ

断熱性に優れたキャブコンタイプ

・概要
ベース車両そのままのバンコンに対して、軽トラックをベースに専用のボディー(居室)を架装して作られているのが軽キャブコンです。車両の室内を居室として利用するのではなく、オリジナルに作った部屋を載せているので、軽キャンピングカーとしては最大級の空間が得られます。

・レイアウト
トラックがベースですから、車両としての座席は運転席と助手席だけ。荷台部分に居室空間を架装してあるので、居室内のレイアウトは自由です。一般のキャブコンなどと同様、シンクやキッチンをそなえていたり、収納があったりと、バンコンに比べてかなり「家」っぽさは増します。ただ、一般のキャブコンと違うのは、常設ベッドの一種である「バンクベッド(=運転席上に張り出したベッド)」がないこと。軽トラックもやはり軽自動車規格ギリギリのサイズで作られているので、運転席上にバンクベッドが張り出すと、あっという間に規格を超えてしまうのです。

軽キャブコンの居室

軽キャブコンの居室の一例(ポップアップ展開中)。走行中乗車できるのは、後部の前向き座席だけ(軽自動車では乗車定員4人のため、運転席・助手席・後部2席のみで前向き優先)

・断熱は?
前述のように、軽バンコンに比べて軽キャブコンのほうが断熱は有利です。キャブコンの架装ボディーは、外側をFRPなどの樹脂素材で、内側は合板(クロス張り)で仕上げていますが、その樹脂と合板の間には断熱材が仕込まれています。壁も天井もいちから作るキャブコンならではのメリットです(どこにどの程度の断熱を施しているかは各ビルダーによる)。ただし、これは軽キャブコンに限った話ではありませんが、居室部分の中でも放熱されやすいのが窓です。軽キャブコンによく搭載されているのがアクリル素材の窓ですが、断熱や結露防止を重視する人なら二重窓のタイプがおすすめです。

ポップアップルーフを展開したところ

ポップアップルーフを展開したところ。室内で立てるのはストレスがなくて◎。重ねてある板を並べれば2段ベッドになる

・空間の広さ
こちらも前述のとおり、バンコンよりも広い空間が確保できます。もちろんキャブコンとはいえ軽自動車。荷台の上に部屋が載っているわけですから、立てるほどの高さはありません(立てるようにしたら軽の規格を超えます)。そのため、やはりキャブコンにもポップアップルーフはついています。
スペースの広さ、レイアウトの自由度でバンコンに勝るキャブコンですが、動線という視点からすると、若干デメリットも。

・運転席、助手席から居室へのウォークスルーはかなり狭い(これは軽バンコンも同じ)
・後部(居室)のドアは1枚だけ(→軽バンコンの場合は両面スライドドアがある)

ドアの少なさはキャンプ時にはさほど問題ないでしょう。ただ、普段使いを兼用したいとき、左右から機敏に乗り降りできない不便さはあるかもしれません。

・走行性能
今のところ、軽トラックにはターボ車は用意されていません。しかも居室を架装して搭載していますから、軽バンコンに比べると重くなります。荷物を積んだトラックがノンターボエンジンで走行するわけですから、動力性能上不満が出るかもしれません。現時点では解決策がないのが残念なところです。

ポップアップルーフ内のベッドスペース

ポップアップルーフ内のベッドスペース(2段ベッド上段)はこんな感じ

いかがでしたか? サイズが限られ、動力性能も居室の広さも限定される軽キャンピングカーですが、条件に合う方にはいい選択だと思います。最近は軽自動車にも「衝突軽減ブレーキ」など、最新の安全装置が装備されるようになってきました。

イニシャルコスト、ランニングコストとも安価で、スイスイとどこへでも入っていける軽自動車キャンピングカー。最近は、すでにキャンピングカーを持っている人が、普段使いの乗用車を買い替えるときに「2台目のキャンピングカー」として軽キャンピングカーを選ぶ、なんてパターンもあるようですよ。

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PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。

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