水代百貨店

世界的な成功者たちと人間関係を築いた無名の若者 「サードドア」の著者が教える「失敗を恐れぬ心」の作り方

自分の将来像がうまく描けず、悶々とした日々を過ごす18歳の大学生アレックス。彼はある日、悩みを解決するためのアイデアを思いつく。

「世界的な成功者たちに、キャリアの第一歩をどう踏み出したのか聞いてみよう」

目指すは、ビル・ゲイツ、スティーブン・スピルバーグ、レディー・ガガ、ウォーレン・バフェット……etc.

かくして始まった全く無名の若者による突撃インタビュープロジェクト。その成功と失敗の過程が生々しくつづられた『THE THIRD DOOR』(2018年6月米国で刊行)は18カ国で刊行される話題作に。この8月には日本語訳版『サードドア 精神的資産のふやし方』が出版され、国内でも反響を呼んでいます。

「水代百貨店」のナビゲーター・水代優さんも、本書にすっかりハマった一人。「今年イチオシのビジネス書。スリリングな物語を楽しみながら、仕事の壁を突破するために必要な心構えが学べる」と強くプッシュします。

そこで今回は、来日した著者のアレックス・バナヤンさんをお招きし、水代さんとの特別対談をお届けします! 

(トップ写真 左:アレックス・バナヤンさん 右:水代優さん)

世界的な成功者たちと人間関係を築いた無名の若者 「サードドア」の著者が教える「失敗を恐れぬ心」の作り方

*「サードドア」とは?
アレックス・バナヤン氏が、自身のインタビュープロジェクトの過程で見いだした概念。「自らのアイデアや努力などを結集してたぐり寄せる成功への入り口」といった意味合いがあり、本の中では次のように語られている。

 

“人生、ビジネス、成功。どれもナイトクラブみたいなものだ。常に3つのドアがある。ファーストドア。99%の人が並ぶ正面入り口。セカンドドア。選ばれた人だけが利用できる入り口。普通に生きていたら、この2つのドアしかないような気分になる。でも、裏道を駆け抜け、何百回もノックして窓を乗り越え、キッチンをこっそり通り抜けたその先に「サードドア」は必ずある“

短期的な利益を求めて失う価値

世界的な成功者たちと人間関係を築いた無名の若者 「サードドア」の著者が教える「失敗を恐れぬ心」の作り方

水代 僕はブックディレクターの仕事もしていて、日々多くの本に触れています。その中で、バナヤンさんの悪戦苦闘が描かれた『サードドア』は今年一番のビジネス書と思うほどに感銘を受けました。

バナヤン このプロジェクトを始めたのは大学生のときです。私は家族からの期待を受けて医者を志していましたが、もしその道から外れることがあったら、どうやって生きていけばいいんだろう、と悩んでいました。そこで、自分が尊敬する人たちがどうやってキャリアを踏み出していったのかをインタビューして回ろう、それはきっと私以外の悩める若者たちの役にも立つはずだと考えたのです。

世界的な成功者たちと人間関係を築いた無名の若者 「サードドア」の著者が教える「失敗を恐れぬ心」の作り方

アレックス・バナヤン/作家、スピーカー。19歳のとき、シリコンバレー史上最年少のベンチャー投資家として投資会社アルソップ・ルイ・パートナーズに参加。また、アメリカの大手出版社クラウン・パブリッシャーズの80年の歴史の中で、同社と契約した最年少の作家となる。2012年、『フォーブス』誌が世界で活躍する30歳以下の起業家やアーティストなどに贈る「30歳未満の30人」に、2015年、『ビジネス・インサイダー』誌が選ぶ「30歳未満の最高にパワフルな人物」の一人に選出

水代 本書は5つのパートに分かれ、各パートでバナヤンさんが様々な著名人にアタックしていく姿が描かれています。僕が好きなのは、ダントツで第4部。このパートでは、アメリカで一番有名な投資家ウォーレン・バフェットに会おうとして、四苦八苦しています。

読んでいて思ったのが、僕自身も短期的な利益を追い求め、下心を持って人に近づいたときに、必ず失敗している、ということでした。

たとえばアレックスさんにボールペンを貸したとして、「一週間後に返してほしい」と短期的な視点で考えてしまうと、そのやり取りから生まれる結果は非常に限られたものになります。長期的な視点を持てば、「アレックスさんにボールペンを貸したら、巡り巡って半年後に別の人が自転車を僕にくれた」という予期せぬ面白いことが起きるかもしれない。

アレックスさんのインタビューを仲介してくれた人たちは、自分の持っている人脈という資産を惜しみなくアレックスさんに与えることによって、全く別のところから想像もしない結果が得られることを経験的にわかっている人たちなんだと思いました。

バナヤン  英語では「What goes around, comes around」(「因果応報」「情けは人の為ならず」などの意)と言いますが、私たちにも自分の蒔いたものが巡り巡って自分に戻ってくるという感覚があります。私を助けてくれた人たちは、私ぐらいの年齢のときに、誰かから助けられた経験を持っている人たちでした。『ライオン・キング』の「サークル・オブ・ライフ」のようなものですよね。

世界的な成功者たちと人間関係を築いた無名の若者 「サードドア」の著者が教える「失敗を恐れぬ心」の作り方

「失敗を恐れる心」をなくす“唯一”の方法

水代 『サードドア』では、バナヤンさんの様々な失敗が赤裸々に描かれていますが、やはりここに書かれていない失敗もあったりするのですか?

バナヤン 本では、数ある失敗エピソードの中から、読者の気づきになるものを選んで入れています。実際には、もっとおバカでしょうもない失敗をたくさんしていて、今でも失敗し続けていますし、そのたびに傷つきます(笑)。

ただ、音楽プロデューサーのクインシー・ジョーンズにインタビューしたとき、彼は「失敗は最高のギフト(贈り物)なんだ」と言っていました。大切なのは、失敗がプロセスの一部であると認識すること。以前の私と今の私の違いは、失敗したらそこから何かを学ぶ力を持てるようになったことだと思います。

水代 僕は、「大半のことは失敗する」ということが、日本のビジネスパーソンに十分に理解されていないように思います。成功したときは称賛されるしメディアに取り上げられたりするけれど、成功しているように見える人たちも、その前にたくさん失敗している。成功する人は、行動を起こした数が圧倒的に多いんですよね。

世界的な成功者たちと人間関係を築いた無名の若者 「サードドア」の著者が教える「失敗を恐れぬ心」の作り方

バナヤン 日本では「アメリカは失敗を許容して何度でも挑戦できる国だけど、日本は失敗を恐れる人が多い」と言われていると聞きました。アメリカはたしかに「失敗してもいい、リスクを取れ」という価値観を理想として掲げていますが、現実には日本と同じように失敗を怖れる人は多くいます。恥をかくことへの躊躇(ちゅうちょ)があるのはアメリカでも同じです。

水代 だからみんな失敗を隠してしまう。でも僕は、失敗したときに信頼している人から「お前、できてないじゃん!」ってツッコんでもらえる環境を作っておいたほうがいいと思う。なぜなら、助けてもらえるからです。

信頼している人とは、「共通言語を持っている人」と言い換えてもいい。僕の本業はコミュニティーや遊び場をプロデュースすることで、“場づくり”の難しさは利用客の安全性を確保することにあると日々感じています。

だから僕は、音楽フェスで行列にならないように設計されたトイレを見たら感動するし、自分がプロデュースする海の家でも、有名なDJをブッキングしたことを褒められるより、「子供が転んでもケガしないようなオペレーションになっているのがすごい!」と褒められるほうが嬉しかったりします。

それは本質的な努力をしている部分を分かち合える喜びであり、仕事で大きな失敗をしたときに助けてくれるのも、そうした“共通言語”を持っている人であることが圧倒的に多い。だから、そういう人の前では、失敗を隠さず、むしろ共有したほうがいいと思います。

バナヤン パーフェクト! 素晴らしい考え方ですね。

世界的な成功者たちと人間関係を築いた無名の若者 「サードドア」の著者が教える「失敗を恐れぬ心」の作り方

水代 共通言語が通じる仲間を増やすには、とにかく失敗してもいいから「行動あるのみ」だと思いますけど……なかなかそう思っても動けない人が多いのかもしれません。

バナヤン 人が行動できないとき、その根本的な理由はやはり「怖れ」です。怖れにも二つあって、一つ目は、経済的な怖れですね。「会社を辞めて新しいことを始めてみたいけど、失敗したら食べていけなくなるんじゃないか」「家賃が払えなくなるんじゃないか」とか、そういったことです。

その怖れの先に、「失敗したときに家族から変わらず受け入れてもらえるだろうか」「社会に居場所を持ち続けることはできるのか」という二つ目の怖れが現れて、最終的には「孤独なまま死んでしまうのではないか」と想像する。そういった思考のサイクルが多くの人の頭の中にあるのだと思います。

世界的な成功者たちと人間関係を築いた無名の若者 「サードドア」の著者が教える「失敗を恐れぬ心」の作り方

水代 その気持ちはわかります。

 

バナヤン 怖れは、見ないふりをし続けるほどに増大していきます。たとえば企業のCEOが怖れて何も行動しなければ、株主から不評を買い、それを怖れてさらに行動できなくなってしまいます。アマゾンCEOのジェフ・ベゾスは、いつも勇気を持ってリスクを取っていますが、それは彼が少しずつ、リスクを取るための“筋力”をつけてきたからです。

ベンチャーキャピタリストの間では、「勇気のある会社は一晩ではできない。毎日の小さな勇気ある行動によってのみ作られる」と言われています。読者に言いたいことは、怖れを克服するために、小さなことを毎日積み重ねて挑戦していこう、ということ。

これは仕事だけではなく、人生すべてにおいて共通すること。たとえば、健康的な生活を送ろうと思ったら食べ物に気をつける。もっと健康になりたいのならちょっとずつ走る……何であれ、「ちょっとずつやっていく」という点は共通しています。

水代 僕には『スモール・スタート』というタイトルの著書があって、まさにそういう内容のことを書いています。仕事やプロジェクトにティッピングポイント(小さく変化をしていた物事が、急激に変化を始める点)なんてないということをもっと、みんなに気づいてほしい。

世界的な成功者たちと人間関係を築いた無名の若者 「サードドア」の著者が教える「失敗を恐れぬ心」の作り方

行動指針となった本は『ザッポス伝説』

水代 『サードドア』みたいな内容の本を出したら、バナヤンさんのところにも「あなたみたいになりたい」っていう若者からいっぱい連絡が来るんじゃないですか?

バナヤン もう受信箱はいっぱいです(笑)。頼ってくださるのは大変光栄なことなので、できるかぎり答えてはいます。「おすすめの本はありますか」という質問であれば本当にすぐ答えていますよ。

水代 『サードドア』のなかには、バナヤンさんが読んできたたくさんの本が登場しますけれど、とりわけ記憶に残っているものは?

世界的な成功者たちと人間関係を築いた無名の若者 「サードドア」の著者が教える「失敗を恐れぬ心」の作り方

バナヤン ティモシー・フェリス『The 4-Hour Workweek(邦題:「週4時間」だけ働く。)』、キース・フェラッジ『Never Eat Alone(邦題:一生モノの人脈力)』、トニー・シェイ『Delivering Happiness(邦題:ザッポス伝説)』、スターバックスのCEOハワード・シュルツの『Pour Your Heart Into It(邦題:スターバックス成功物語)』、ジェリー・ワイントローブ『When I Stop Talking, You’ll Know I’m Dead(未邦訳)』、パウロ・コエーリョ『アルケミスト – 夢を旅した少年』……でも、一番のおすすめは『ハリー・ポッター』ですね(笑)。良いストーリーテラーになりたいと希望する人には全員におすすめしています。

私自身の行動の指針になったのは、ザッポスCEOのトニー・シェイの本でしょうか。移民の若い男性が医者になるべく両親の期待を背負って育てられ……という、私とまったく同じような境遇だったんですけど、彼はそれを振り切って自分の夢を追ったわけです。彼と私とでは成功度合いなんて比較にならないですが、彼が経験した葛藤は非常に理解できました。

世界的な成功者たちと人間関係を築いた無名の若者 「サードドア」の著者が教える「失敗を恐れぬ心」の作り方

水代 まあ経済的な規模でいえば僕も大して成功していないですし、成功というのは自分の中にあるもの、自分で決めることなんだ、というのをこの本で気づいてほしいですね。

バナヤン 自分自身の内面に向き合うことは、人生において非常に大切なことですね。『サードドア』は、外見上は「どうやってビジネスで成功するか」をテーマにしているように見えると思いますが、実は、怖れ、愛、裏切り、損失……それらに向き合うことを通じて、私自身の本来あるべき姿に到達していく過程を描いていますから。

水代 ちなみに僕のところにも「何かやりたい」という若者がたくさん相談に来ます。そういうときには理系のノンフィクションを推しています。たとえば宇宙の起源を知ると、個人の失敗なんてどうでもよくなるし、科学の仮説と実証をしつこく繰り返して正解に近づくドラマだとか、数学の証明の美しさにも気付けますから。

さて、最後に聞いてみたいのは、アレックスさんの次の目標ですね。もう至るところで聞かれていると思いますが(笑)。

世界的な成功者たちと人間関係を築いた無名の若者 「サードドア」の著者が教える「失敗を恐れぬ心」の作り方

バナヤン 今年の目標は、世界中でこの本が出版されることですね。18カ国で刊行されていて、僕自身も中国、韓国、イタリア、ブルガリア、スペイン、と渡って、いま日本に来ています。執筆活動は孤独にやるものですが、今はたくさんの人を巻き込めていて、大変光栄に思いますしとてもワクワクしています。

今後、何をやっていくかで言うと、作家および基調講演者ですね。すでにアップル、ナイキ、IBM、ディズニー、スナップチャット……などアメリカの各企業で100以上の講演をしています。共通して言っているのは「リスクをうまく取って、諦めずに粘り強く挑戦してください」ということ。より多くの人が、自分の「サードドア」を見つけられるように促していければと思っています。

(構成/中野慧 撮影/野呂美帆)

世界的な成功者たちと人間関係を築いた無名の若者 「サードドア」の著者が教える「失敗を恐れぬ心」の作り方

書籍情報

『サードドア 精神的資産のふやし方』

アレックス・バナヤン著/大田黒 奉之 訳/東洋経済新報社/1800円+税

ビル・ゲイツ、レディー・ガガ、スピルバーグらは、どのようにして成功の第一歩を踏み出したのか――。18歳の大学生が米国各界の著名人に突撃インタビューを敢行!

 

イベント情報

\水代百貨店 初のイベントをやります!/

みんなで語ろうサードドア

世界的な成功者たちと人間関係を築いた無名の若者 「サードドア」の著者が教える「失敗を恐れぬ心」の作り方

 

発売以来、日本でも大きな反響を呼んでいる『サードドア』。
10月23日(水)に東京・日本橋浜町のコミュニティースペース「Hama House」で本書の読書会を実施します。

読者のみなさんで、お酒を飲みつつ、ゆるく感想を語り合いながら交流しませんか?

ゲストに、同書日本語版の編集を担当した東洋経済新報社 出版局 編集第一部 編集長の佐藤朋保さんと、同書プロモーション担当の笠間勝久さんをお招きし、本書の制作秘話やアレックスさんとの裏話を披露していただきます!

さらに、日本中が湧くラグビーワールドカップの話題も。準決勝(10月26日)を前に、今大会で日本代表がこじ開けたと思われるサードドアについて、ラグビー通の水代優さんがお話しします!

■開催事項
10月23日(水)18時より受付開始
会場:Hama House(東京都中央区日本橋浜町3-10-6)
アクセスはこちら

<第1部>
読書会+佐藤朋保さん、笠間勝久さん(共に東洋経済新報社)による制作秘話
ワンドリンク付き1,000円
18時30分~19時30分

<第2部> 
交流会
2,000円(第2部のみの参加は不可)
ワンドリンク食事付き(そのあとはキャッシュオン)
19時30分~21時30分

★お申し込みはこちらの応募フォームからお願いいたします

PROFILE

水代 優

1978年生まれ。愛媛県出身。2002年より株式会社イデーにてカフェやライフスタイルショップの新規出店を数多く手掛ける。2012年にgood mornings株式会社を設立。東京・丸の内や神田、日本橋浜町を始め、全国各地で「場づくり」を行い、地域の課題解決や付加価値を高めるプロジェクトを数多く仕掛ける。

ビール目当てで来場するファンも多い! 横浜DeNAベイスターズのクラフトビールがすごい!

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