小川フミオのモーターカー

いまも愛される“弁当箱” アルファロメオ・ジュリア

セダンは今は人気凋落(ちょうらく)傾向かもしれないけれど、かつてはさまざまなバリエーションがあって楽しかった。スポーティーセダンの代表格といえば「アルファロメオ・ジュリア」である。

1962年に発表されて、いくつかのマイナーチェンジを経て78年まで生産されたロングセラーだ。特徴は、カッコいいんだか悪いんだか、即座に判断のつかないスタイリングと、楽しい走りにあった。

(TOP写真:こんなブサかわいいスタイルだが走りがよかった)

日本ではファンに“弁当箱”と呼ばれるだけあって、フロント部分、キャビン、それに長く見えるトランク部分と、きれいに分かれたスタイリングは、イタリア車というと決まり文句のようについてくる官能美という言葉がもっとも似合わない。

いまの言葉でいうと、ブサかわいいセダンで速くなさそうなのに、実際は、欧州のツーリングカーレースなどで活躍していた。その不釣り合いなところもまた、ジュリアの魅力だと私は思う。

アルファロメオ・ジュリア

写真の1600TIはスポーティーモデル(63年型)

1955年デビューのジュリエッタ・セダンの後を継ぐモデルだったので、アルファロメオの開発者は気合が入っていたのだろう。この時期のアルファロメオは、売れるクルマを作って量産体制を拡大し、イタリアで雇用を生み出すという使命も負っていた。

結果は大成功で、ものの本によると、それまでは年産1万数千台のメーカーだったのに、ジュリアの成功で60年代終わりには年産10万台を達成とある。企業としての成長に大きく貢献したのがジュリアだったのだ。

当初はスポーティーな1.6リッターでデビュー、すぐにより一般的な1.3リッターも加わった。当初はもっとも高性能なのは1600TIで、加えて1300と、スポーティー仕様の1300TIがラインアップされていた。

68年には1600TIに代わって1600Sと1600スーパーが登場し、70年にはより性能の高いエンジン搭載の1300スーパーが追加されている。72年には1300スーパーと1600スーパーの2本立てと整理された。

アルファロメオ・ジュリア

ぶ厚いシートといい内装は上質感がある

ジュリアというと、ヘッドランプが4灯式と2灯式があるが、72年4月にすべてのモデルが4灯式になるまでは、1300(スーパー)は2灯式である。

このとき名称は、スーパー1.3と、スーパー1.6へと変更。アルファロメオはジュリアの位置づけを、だんだんとスポーティーセダンに絞っていったのである。74年にはフェースリフトを受けて、ジュリア・ヌオーバ・スーパー(1.3と1.6)になった。

ジュリア・ヌオーバ・スーパーのフロントマスクは、合成樹脂パーツの使い方などデザインに中途半端感があり、カッコ悪いと思ったものだ。でもいま見ると、ヘッドランプがやたらデカいこのモデルの顔つきも、これはこれでアリかなという気がする。時間の経過が、細かいことを洗い流してくれたせいだろう。

私は個人的にも欲しいクルマで、一時期は手付けを打つ寸前まで行った。なんで買ってしまわなかったのだろう。1600TIが欲しかったが、変速用のギアシャフトがステアリングコラムから出ていたコラムシフトなのが、いまひとつスポーティーに思えなかったからだろうか。時は私の記憶まで洗い流してしまった(たんに物忘れがひどくなっただけとも)。

【スペックス】
車名 アルファロメオ・ジュリア1600TI
全長×全幅×全高 4140×1560×1430mm
エンジン形式 1570cc 直列4気筒
最高出力 92ps@6000rpm
最大トルク 12.1mkg@4000rpm

(写真=FCA提供)

PROFILE

小川フミオ

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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