小川フミオのモーターカー

ラリー選手権で暴れまくり 際立つ存在感の三菱ランサー

ふつうのセダンでも、ふつうで終わらせない。そこがかつての三菱自動車のおもしろいところだった。いい例が「ランサー」だ。

(TOP画像:75年の「1200GL」)

1973年発売の初代ランサーは、当初はおとなしめのセダンとして発表され、途中からパワーアップ。とりわけ73年にデビューした「1600GSR」が注目に値する。

三菱ランサー1600GSR

デビューから7カ月遅れて追加発売されたホットモデル「1600GSR」

車名にあるとおり、1600ccエンジンを2ドアボディーに搭載した高性能モデルだ。ラリーやダートトライアルにも積極的に参戦した。

日本ではトヨタの「スプリンター・トレノ」などと戦い、世界では、東アフリカ・サファリラリーに参戦。はたして、74年と76年に総合優勝を成し遂げた。豪州のサザンクロスラリーでも4連勝。めざましい活躍ぶりを見せてくれたのだ。

三菱ランサー1600GSL

74年登場の「1600GSL」

1600GSRに乗っていた友人の兄(中古で購入)などは、ランサーがいかにいいクルマか吹聴していた。76年には排ガス規制対策の新しいエンジンを搭載し、同時に大型バンパーを備えたことで、“ちょっと違う”クルマになってしまっただけに、当時の自動車ファンは前期モデルを好んだのだ。

ランサー1200GLのダッシュボード

76年の「1200GL」のダッシュボード

全長3960ミリの車体はコンパクトだが、スタイリング的には、低めのノーズと、L字型のリアコンビネーションランプなど、印象的な要素を備えていた。しかし、どちらかというと、地味なスタイリングである。

70年代は東京の街で多く見かけたモデルである(ラリーでの活躍はよく知れ渡っていたはず)。見かけるたびに私は、おとなしめの見かけのこのクルマがラリー選手権で暴れまくっているというギャップが納得できないなあと思ったものだ(つまり、しょっちゅうそう考えていた)。

三菱ランサー1400GL

74年型(テールランプがL字になるのは74年10月から)

「トヨタ・カローラ」や「日産サニー」といった競合車のほうが、スタイリングも、クーペなどのバリエーションを展開する商品戦略も、比べてみればずっと派手だった。

三菱は、いっぽうで、剛性感の高いボディーに、しっかりした足回り、そして気持ちいいフィールのエンジンを持つランサーを、79年まで作り続けた。

クーペ版として「ランサー・セレステ」もあったが、モータースポーツを通して走りのイメージと結びついていたのは、あくまでもランサーである。

三菱ランサー1400SL

73年の「1400SL」

70年代おわりごろ、そんな三菱が、大きく方向転換をする。76年に「ギャランΣ(シグマ)」と「ギャランΛ(ラムダ)」、78年に「ミラージュ」、79年に「2代目ランサー」と、立て続けに、グッドルッキングなモデルを発表。どれも大きなヒットを記録したのだ。

初代ランサーは、華やかさに欠けるきらいはあったものの、技術で進んだメーカーという三菱のイメージを定着させた。存在感では、歴代三菱車のなかで、いまでも際立っている。

【スペックス】
車名 ランサー2ドア1600GSR
全長×全幅×全高 3965×1525×1360mm
エンジン形式 1597cc 直列4気筒 後輪駆動
最高出力 110ps@6700rpm
最大トルク 14.2kgm/4800rpm

(写真=三菱自動車提供)

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PROFILE

小川フミオ

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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