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クライミングバッグを都市用に改良 アークテリクスの新定番バックパック

この数年、アウトドアウェアを街中で着こなす男性が増えている。カジュアルでちょっとオシャレで着心地もいい。本コラムでは、ファッション性と機能性を兼ね備えたアウトドアブランドが展開する「これさえ持っていれば間違いない」というマストバイなウェア、グッズを紹介していく。

名作「アロー22」のDNAを受け継いだバックパック

2019年にリニューアルされた「アロー22」(左)と新たに登場した「アロー20 バケットバッグ」(右)

2019年にリニューアルされた「アロー22」(左)と新たに登場した「アロー20 バケットバッグ」(右)

登山用ハーネスのメーカーとして1989年に産声を上げたアークテリクスは、1998年に大ヒット商品となる都市向けバックパック「アロー22」を発売する。デザインを手がけたのは、現在もアークテリクスのデザインを務めるダン・ジャクソン氏だ。その完成度の高さゆえ、これまで大きな仕様変更が行われてこなかった「アロー22」だが、2019年に20周年を迎えたことを機に、大幅なリニューアルが行われた。クールなデザインはそのままに、堅牢かつ軽量な最新素材を採用した結果、現代のニーズに合わせた最新の機能系バックパックへと生まれ変わった。

クライミング用バックパックとオフィス用バッグの長所を兼ね備える

外側には一切ファスナーを使っていないシンプルなデザインは、障害物に引っ掛からないようにするための配慮から

外側には一切ファスナーを使っていないシンプルなデザインは、障害物に引っ掛からないようにするための配慮から

そんな「アロー22」のリニューアルプロジェクトと並行して、アークテリクスは都市向けのバッグをラインナップした「アロー」シリーズを立ち上げる。その中で、デザイナーであるダン・ジャクソン氏とケイティ・マー氏が「アロー22」に次ぐアイテムとして生み出したバックパックが、今回紹介するアロー20 バケットバッグ」だ。「全く新しい都市向けバックパック」を作ろうと考えた2人はあえて「アロー22」とは似ても似つかないバケツ型のクライミング用バックパックをデザインモチーフに選んだ。

アークテリクスのコマーシャルマネージャー・高木賢さんはこう語る。

「クライミング用のバックパックは、複雑な形状のギアを効率よく詰め込めるバケツ型のフォルムが一般的です。また岩壁を登っている時に両手が動かしやすいようにバッグの幅が狭めになっています。しかも内容物が出し入れしやすいように開口部はワンタッチで開閉できる。ですから両手が動かしやすく、気兼ねなく物を放り込んで運べるわけです」(高木さん)

クライミングの最中にもワンアクションで開閉を行うことができる「ワンタッチクロージャー」

クライミングの最中にもワンアクションで開閉を行うことができる「ワンタッチクロージャー」

もちろんクライミング用バックパックの機能は都市においても遺憾なく発揮される。書類やノートパソコンだけでなく、一眼レフカメラや電子機器、あるいはランチボックスや着替えなど、多岐にわたる持ち物をまとめて放り込めるので、内部が細かく仕切られたブリーフケース型のバッグより使い勝手が良いからだ。

箱形のメインコンパートメントは大容量。側面だけでなく底面にも厚い緩衝材を備えているため、カメラなどの運搬にも重宝しそうだ

箱形のメインコンパートメントは大容量。側面だけでなく底面にも厚い緩衝材を備えているため、カメラなどの運搬にも重宝しそうだ

そんなクライミング用バックパックを、さらに都市向けに改良したのが「アロー20 バケットバッグ。開口部を開くと基本的には従来のクライミング用バックパックと同じコンパートメント(=1室)構造だが、現代人の必須アイテムであるノートパソコンを収納するスリーブ、大容量のメイン・コンパートメントを挟んで反対側には、タブレットなどを収納できるスペースとオーガナイザーポケットを備えているのが特徴だ。

13インチまでのPCを収納してくれるコンピュータースリーブ

13インチまでのPCを収納してくれるコンピュータースリーブ

コンピュータースリーブの留め具は、パソコンのサイズに応じて4段階に対応している

コンピュータースリーブの留め具は、パソコンのサイズに応じて4段階に対応している

ジッパー付きのオーガナイザーポケット

ジッパー付きのオーガナイザーポケット

オーガナイザーポケット内部には視認性の高いキーホルダーを装備

オーガナイザーポケット内部には視認性の高いキーホルダーを装備

ワンタッチで操作出来るクロージャーにも一工夫が加えられている。一般的なクライミング用バックパックは開口部がむき出しになっている。これはバッグ上部にロープなどの荷物を装着し、雨よけにすることが前提となっているため。しかし都市においてはロープのような雨よけになるような道具を持ち運ぶ機会など滅多にない。むき出しの開口部は、そのまま“弱点”になり得るが、「アロー20 バケットバッグ」の開口部には、防水パネルが取り付けられており、しっかりとクロージャーを締めてパネルをかぶせれば、まず雨が入ってくることはない。

六角形のパネルが雨をブロックしてくれる

六角形のパネルが雨をブロックしてくれる

ストレッチする薄型ストラップと体温で体にフィットするパネルが荷重を分散

横から見ると非常に薄いことがわかるストラップ。アークテリクスの登山用ハーネスがデザインのモチーフとなっているという

横から見ると非常に薄いことがわかるストラップ。アークテリクスの登山用ハーネスがデザインのモチーフとなっているという

ストラップは通常のバックパックに比べて非常に薄いため、一見頼りなさそうにさえ見えるが、重い荷物を入れても、背負い心地が非常に良い。ストレッチ素材を採用しているため、背負った時に体のラインにフィットしてくれるのだ。

「ストレッチするストラップは曲線を描いているので、非常にしっかりと加重が分散されるため長い時間背負っても重さを感じさせません」(高木さん)

「ストレッチするストラップは曲線を描いているので、非常にしっかりと加重が分散されるため長い時間背負っても重さを感じさせません」(高木さん)

そして背面のパネルには、ブランドの象徴である「アーケオプテリクス(始祖鳥)」の化石をモチーフにしたロゴが。

弾力性と柔軟性に富んだ熱成形フォームを使ったバックパネル

弾力性と柔軟性に富んだ熱成形フォームを使ったバックパネル

このパネルは、熱成形フォームの3次元加工技術を採用した「サーモフォームドバックパネル」と呼ばれるもの。体温に反応して背中の凹凸にフィットするため、ストラップと同じく荷重の分散を助けてくれる。

美しき「マチ」に宿るアロー22のDNA

下部に美しいマチが入ったフロントパネルには、アロー22と同一素材を使用。耐摩耗性と防水性に優れ、軽量でもある

下部に美しいマチが入ったフロントパネルには、アロー22と同一素材を使用。耐摩耗性と防水性に優れ、軽量でもある

ダンとケイティは「アロー20バケットバッグ」を設計する時に「全く新しいバックパックを作ろう」と考える一方で「アローの名を冠するからには、そのDNAを引き継ごう」とも考え、徹底的に超定番アイテム「アロー22」のコンセプトを検証したという。

前出・高木さんは「それを象徴するのがバッグの外側に設けられたマチ」だと話す。

「『アロー22』をデザインする時に、ダン・ジャクソンは曲線を用いて、バッグの容量を大きくしようとしました。しかし使いたかった防水素材は熱成形が難しく、かといって針と糸を使えば生地に穴が開いて止水性能が失われてしまう。そこで日本の折り紙をヒントに生地を折って、見た目にも美しいマチをつけることにしました。このデザインが『アロー20バケットバッグ』にも継承されています」(高木さん)

随所に曲線が用いられているのは、使い勝手はもちろん、荷物を入れた時の美しさなどを考慮して

随所に曲線が用いられているのは、使い勝手はもちろん、荷物を入れた時の美しさなどを考慮して

ブランドを象徴する「アロー22」をシリーズ化するにあたって開発されたため、数多くの試作品が作られ、厳しい使用テストをくぐり抜けて出来上がった「アロー20バケットバッグ」だが、デザイナーであるケイティとダンはともにサイクリストであるため、自転車での使用も想定しているとのこと。自転車通勤・通学の人にとって、非常に気になる“開発裏話”といえるだろう。

シンプルながら使い勝手が良く、美しい。「アロー20バケットバッグ」は、アークテリクスの新定番となりそうだ。

アロー 20 バケットバッグ
19,800 円(税込み)
https://arcteryx.com/jp/jp/shop/arro-20-bucket-bag

(撮影/今井裕治)

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PROFILE

吉田大

ライター・編集者。大学卒業後、児童書出版社勤務を経て、フリーランスに。ファッション、アート、音楽、ストリートカルチャーから、政治経済、社会問題、テクノロジー、グルメに至るまで、多岐にわたるジャンルにおいて、長年にわたり執筆活動を続けている。趣味は自転車と立ち食いそば店めぐり。お酒や煙草を嗜まないストレート・エッジな生活を送っている。

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