キャンピングカーで行こう!

台風の時キャンピングカーをどう活用したか 所有者に聞いた体験談 

各地に大きな被害をもたらした台風15号、立て続けに襲ってきた19号。被害に遭われた方々に、心より御見舞申し上げます。
さて、こうした大きな災害に見舞われると、話題にのぼるのがキャンピングカーです。避難に便利、非常時のライフラインになるなど、そのメリットが広く知られてきたようです。今回の台風災害で、実際にキャンピングカーを活用したという人に話を聞きました。どんな状況で、どのように活用されたのでしょうか。

(TOP写真:十分に足を伸ばせるキャンピングカーの車内。神澤和敬撮影)

家が停電・断水しても、快適な数日間

例①千葉県にお住まいのMさん(44歳)

Mさんの愛車はバンテック社のコルドランディ。キッチンを備えたキャブコンです。
「昨年、関西で大停電が起きたとき、知人が『キャンピングカーがあって本当に助かった』と言っていたのですが、まさかこんなに早く自分も体験するとは思いませんでした」とMさん。

「19号は超大型台風と聞いていたので、直前までキャンピングカーは自宅のコンセントにつないでサブバッテリーを満タンにし、冷蔵庫のスイッチもONにして備えました。もちろん、飲料水や食料もキャンピングカーに移しました」

いよいよ台風が近づいてきたタイミングで、キャンピングカーに家族全員で避難。家の陰に駐車していたので、音はすごかったものの、さほど車が揺れることもなく一夜を過ごしたといいます。

「一夜明けてみると、案の定、住んでいた地域は停電していました。しかしキャンピングカーにはまったく影響なし。キャンピングカーから延長コードを伸ばして、家の冷蔵庫を動かしたので、家の食糧も無事でした。停電が終わるまでの2日間はキャンピングカーで暮らしましたよ」

真夏や真冬ではないので冷暖房も不要。家のそばを離れることなく、昼食は自宅で、夜はキャンピングカーで過ごしたといいます。停電時にはキャンピングカーをバッテリーとして活用できるという一例です。

和室のあるキャンピングカー

車内を和室にして居住性をより高めたキャンピングカーもある=瀬戸口翼撮影

例②茨城県にお住まいのOさん(53歳)

「いつもキャンピングカーを停(と)めている場所が低い土地だったので、嫌な予感がしたんですよ。雨がひどくなる前、少し高い場所に移動させました。案の定、大雨で元の駐車場は浸水。あのとき動かしていなかったら、キャンピングカーにたどり着くのも動かすのも大変だったでしょうね」

そう語るOさんの愛車は、大きなサイズのアメリカン・クラスAです。

「幸い自宅には全く被害がなかったのですが、翌日から周辺地域は断水になってしまいました。自分の車はアメリカ製キャンピングカーで水タンクの容量は200リットル以上ありますし、トイレのタンクも大きいので、困りませんでした。車内のキッチンも十分な装備なので、結局、断水していた3日間はキャンピングカーで生活していました」

キャンピングカーの置き場所の状況に合わせて、事前に手を打ったOさん。素晴らしい判断だったと思います。

今回お話をうかがったお二方とも、停電や断水といったインフラのトラブルに遭遇し、キャンピングカーに助けられたようです。

キャンピングカーの室内

キャンピングカーの車内の一例。車内は十分な広さがあり、ベッド状にすれば手足を十分に伸ばして寝られる。災害時にはそれだけでありがたい=高橋克典撮影

キャンピングカーはなぜ役に立つのか

「キャンピングカーが防災シェルターとして役に立つ」ということは、この連載でも繰り返しお伝えしてきました。改めて、どう役立つのか。いざという時に最大限に活用するためにはどう備えるべきか、まとめてみました。

役立ちポイント①基本的な生活インフラがそろっている

日ごろからキャンピングカーは「持ち歩く我が家」だとお話ししていますが、生活インフラも家並みです。もちろん車両によって装備に差はありますが、車内に寝泊まりする前提でつくられていますから、照明や水回りなど基本インフラは整っていると言えるでしょう。停電や断水が起こった時、町中が真っ暗になっても、少しでも明るい空間が確保されるだけで安心できるものです。

◎いざという時に活用するために
防災シェルターとしての機能を期待したいのなら、欲しいインフラを整え、使えるように備えておく必要があります。
いざという時に必要なものは何でしょう? 「水」「電気」「照明」。ほかにも「ガス」や「冷暖房」も考えられますね。これからキャンピングカーを購入するならば、いざという時に欲しい要件がそろった車両を買うこと。すでに持っている人は、遊んだ後は水を補充し、サブバッテリーの充電や照明などの装備も万全にしておきましょう。

役立ちポイント②生活空間として快適である

どんな場合でも我が家が一番。それは当たり前です。しかし、自宅が被災して居られなくなったら、どこかに避難する必要があります。そのために公的な避難所があるわけですが、必ずしも快適な空間とは言えないのが現状です。

キャンピングカーは居室空間を備えています。断熱処理がしっかりしてある車両であれば、暑さ・寒さへの耐性も強く安心です。テントより雨風にも強いです。
キャンピングカーの中は「プライベートな空間」であり「手足を伸ばして過ごせる広さがある」ことも大切なポイントです。

避難所でも手足は伸ばせるかもしれませんが、やはり人の目は気になります。乗用車の車中泊では十分に身体を伸ばすことができず、長時間にわたるとエコノミークラス症候群の心配もあります。自分だけの快適な空間が確保できることは、非常時にとても助かることなのです。

◎いざという時に活用するために
空間を確保するという意味ではキャンピングカーがあるだけで十分ですが、普段乗らないからといって不要な荷物で占拠していては、いざという時に活用できません。日ごろから室内を片付けておけば、いざという時ひろびろと使えるのはもちろん、本当に必要なものを積むスペースも確保できます。

役立ちポイント③いつでも移動できる

当たり前のことですが、車ですからいつでも好きな場所に移動することができます。鉄道などの公共交通機関が運休していても、自在に動けます。離れた土地まで避難する際も、より多くの物を持って移動できるのはメリットです。

親戚の家に身を寄せる場合でも、家の中に一部屋もらうより、庭先に停めさせてもらってキャンピングカーで寝泊まりしたほうが、お互いストレスが少なくて済みます。避難生活が長期にわたる場合もありますから、なるべくストレスのかからない生活を送ることが大切です。

◎いざという時に活用するために
いつでも安全に走行できる体制を整えておく。それにつきるでしょう。遊んで帰ってきたら、ガソリンは満タンに。バッテリーの充電やタイヤの減り具合にも気を配りましょう。
また、災害時の移動にあたっては大切な注意点があります。安全に移動できる状況かどうかを、判断したうえで行動することです。

◎移動する際は道路の冠水に注意を
大風や津波、土砂崩れ……命を脅かすレベルの災害の場合、できるだけ事前に避難することが大切です。すでに災害が起きてから避難するのは危険な場合もあります。道路は走行可能か、封鎖や冠水、橋の崩落について情報を集めて、少しでも危険がある場合は、移動は避けるべきでしょう。

いざという時にも便利なキャンピングカー。そのメリットを最大限に生かすためにも、それなりの備えは必ず必要です。ガソリンは満タンに。飲料水や食料の補充もお忘れなく!
特に、アレルギーがあったり持病で投薬が必要だったりする人は十二分に用意をしましょう。ペット連れにも有効ですが、ペットのための食糧・トイレ・薬なども備えておきたいものです。

      ◇

体験談とメリットのまとめはいかがでしたか?

災害時、大切なのはいち早い避難と正確な情報です。いざという時、キャンピングカーをどう生かすか、シミュレーションしておくといいでしょう。

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PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。

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