キャンピングカーで行こう!

数は少なくても内容は充実、東京モーターショーに出展されたキャンピングカーたち

2年に1度開催される、東京モーターショー。今年はその開催年でした。去る10月24日、会場を取材してきました。

(TOP写真:いすゞ自動車が提案していた電気自動車・エルフEV。モーターが車内に出っ張らないのを利用しウォークスルーに。宅配便会社にも便利だが、キャンピングカーとしても魅力的だ)

現行車両の展示は少数

オリンピックを翌年に控え、今年はありとあらゆるビジネスショーがその影響を受けましたが、東京モーターショーとて例外ではありませんでした。

会期は10月24日から11月4日まで。東京・有明の東京ビッグサイトで開催されました(一般入場は25日から)。東京オリンピックの準備のために、これまで会場として使われてきた東京ビッグサイトの大部分は閉鎖中で、使えるのは一部のホールだけ。そこで、青海に新設された会場との二カ所に分かれての開催でした。

開催前から、フォルクスワーゲンやBMWなどの日本でも人気の海外メーカーはほとんど出展しないなど、ネガティブな話ばかりが聞こえてきました。が、実際に訪れてみると、その内容にビックリしました。

各自動車メーカーとも、現行車種の展示は最小限。商用車専門メーカー以外、商用車の展示はほとんどありません。商用車メーカーも含め、会場に並んでいるのはコンセプトモデルばかり。中でも電気自動車、それも自動運転車が目立っていました。

子供のころからモーターショーに通う車好きとしては、隔世の感。というか、一抹の寂しさを感じる展示内容でしたが、キャンピングカー・ジャーナリストの視点から、一般車も含めて、気になったトピックスを取り上げてみたいと思います。

前々回お伝えしたトヨタ・グランエースも。国産車としては異例のサイズだが、その分、内部は広々。キャンピングカーベースとして考えるならハイルーフ車が欲しいところ

前々回お伝えしたトヨタ・グランエースも。国産車としては異例のサイズだが、その分、内部は広々。キャンピングカーベースとして考えるならハイルーフ車が欲しいところ

排出ガスゼロ車はキャンピングカー向きか

いすゞ自動車と三菱ふそうトラック・バスが小型トラックのコンセプトモデルを展示していました。いすゞは電気自動車、三菱ふそうは水素燃料電池と方式は異なるものの、いわゆるZEV=排出ガスゼロの車両です。

配達など近距離で使われることを考えれば、ZEVが望ましいのは理解できます。朝、営業所を出発して、比較的近距離・短時間でまた営業所へ戻るパターンですから、充電先を探す必要もないというわけです。もちろん住宅地を走る車両が排出ガスゼロかつ低騒音というのも理想的です。

では、キャンピングカーのベース車両としてはどうでしょうか。

以前にも電気自動車のキャンピングカーとしての可能性をお話ししたことがあります。

電気自動車=バッテリーがふんだんにある=サブバッテリーとして有効――と思われがちですが、電気自動車のバッテリーとて、サブとして使えば航続距離が短くなります。

では、今回展示されていた、いすゞ自動車(電気自動車)と三菱ふそうトラック・バス(水素燃料電池)はどうでしょう。両社とも航続距離は300km程度とのこと。十分な距離にも思えますが、問題もあります。

「決められたルートを走行し、必ず基地に帰ってくる」という使い方なら、途中でよほどのイレギュラーが発生しない限り問題ないでしょう。

しかしキャンピングカーはそうはいきません。どこへでも自由に行動したいのがキャンピングカーですから、電力充電・水素充填の施設が現在のガソリンスタンド並みに整備されないと、キャンピングカーとして使うには不十分と言えそうです。

現実に役立つ機能車も

キャンピングカーに関連する大きな話題はなかったものの、小さなトピックスはいくつか目につきました。

●デジタルアウターミラー
あちこちのブースに展示されていたコンセプトモデルに搭載されていたのが、デジタルアウターミラーです。これはバックミラーの鏡の代わりに、カメラと液晶モニターで後方視界を得るというもの。従来の鏡と何が違うかと言うと、
・鏡に比べて視界が広い
・明るさ調整が可能で、雨天や夜間でもはっきり見える
などのメリットがあります。

いすゞ自動車・エルフEVのデジタルアウターミラーのカメラ部。鏡より小型なので、それ自体、死角の削減に効果がある

いすゞ自動車・エルフEVのデジタルアウターミラーのカメラ部。鏡より小型なので、それ自体、死角の削減に効果がある

サイド、アンダー、バック、すべてのミラーがモニターになったいすゞ自動車・エルフEVの運転席。とにかく隅々までよく見えるのが印象的

サイド、アンダー、バック、すべてのミラーがモニターになったいすゞ自動車・エルフEVの運転席。とにかく隅々までよく見えるのが印象的

●いよいよ本格的なけん引対応も
今回のモーターショーは青海と有明にエリアが分かれていました。その間はシャトルバスで結ばれているほか、徒歩で楽しむ「オープンエリア」として屋外展示がされており、ドレスアップ車や『痛車』などが並んでいましたが、特に目を引いたのがマツダのCX-8でした。数台のCX-8にトレーラーを連結して展示していたのです。具体的には、移動販売トレーラー、ボートトレーラー、そしてキャンピングトレーラーです。

展示されていたキャンピングトレーラーはHobby社の製品で、明らかに750kg超。これまでCX-8の純正オプションのヒッチメンバーのけん引重量は「750kgまで」だったはずです。

屋外展示にはCX-8とHobby社製キャンピングトレーラーの組み合わせが。1500Kg対応ヒッチメンバーの登場が待ち遠しい

屋外展示にはCX-8とHobby社製キャンピングトレーラーの組み合わせが。1500Kg対応ヒッチメンバーの登場が待ち遠しい

スタッフの方にその点をたずねると「要望が数多く寄せられており、1500kg程度まで対応したヒッチメンバーを出す予定があります」とのお返事。これは、トレーラーユーザーには朗報といえるでしょう。

これを機会に同社のCX-5などにも、純正ヒッチメンバーが用意されるといいですね。

モーターショー初のキャンピングカー展示

屋外展示でのもう一つのトピックと言えば、なんといっても、今回初めて「キャンピングカー」が展示された、そのこと自体でしょう。

日本カートラベル推進協会のブースに、前期・後期と入れ換えしながら、延べ11台のキャンピングカーが展示されました。キャンピングカー人気を受け、多くの来場者の関心を集めていました。

キャンピングカーショーとは層が異なる人たちが訪れましたから、より多くの人にキャンピングカーを目にしてもらう良い機会だったのではないかと思います。

日本カートラベル推進協会の展示エリア。わずか5台分のスペースだが、キャンピングカーが東京モーターショーに出展した意義は大きい

日本カートラベル推進協会の展示エリア。わずか5台分のスペースだが、キャンピングカーが東京モーターショーに出展した意義は大きい

ただ、「自動車の未来は電気や水素へ向かうのか、自動運転はどこまで進むのか」、そんなテーマが前面に感じられ、50代のおっさんとしては、「走る楽しさ」「メカ・マシーンとしての面白さ」が感じられなかったモーターショーでした。

クルマにそういう楽しみを求めること自体が、時代遅れなのかもしれません。その中にあって、唯一「楽しむための車」がキャンピングカーなのかもしれない。そんな思いを新たにしました。

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PROFILE

渡部竜生

キャンピングカージャーナリスト。サラリーマンからフリーライターに転身後、キャンピングカーに出会ってこの道へ。専門誌への執筆のほか、各地キャンピングカーショーでのセミナー講師、テレビ出演も多い。著書に『キャンピングカーって本当にいいもんだよ』(キクロス出版)がある。エンジンで輪っかが回るものなら2輪でも4輪でも大好き。飛行機マニアでもある。旅のお供は猫6匹とヨメさんひとり。

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