高橋伸哉の写真教室

マニュアルモードで撮影できるようになろう コンデジで神楽坂の街角スナップに挑戦

スマ―トフォンとSNSの普及で、「写真を撮ること=日常」になったいま、記録から一歩進んで、作品として写真を撮ろうとする人も増えています。

そこで、『&M』で写真エッセイ『或る旅と写真』を連載中のフォトグラファー高橋伸哉さんを講師に、写真を上達したい生徒さんと1対1で技術を学ぶ企画をスタートします。

初回の生徒役は、モデルの花柳のぞみさん。就職後に本格的にモデル活動を始めると、フォトグラファーの間で人気となり、MVやスチール作品のモデルを務め、「ミスSNS」のファイナリストにも選ばれています。

最近、被写体としてだけではなく、自分で撮ることにも興味を持ち始めたという花柳さんは、フィルムカメラの「オリンパス ペン(OLYMPUS PEN)」を手に入れたばかり。「見た目がかわいいし、フィルムで撮った写真は質感があって好き」と言います。可愛い女の子が好きなので、自分がフォトグラファーとして撮れるようになるのが、とりあえずの目標です。ちなみに高橋さんとは、SNSを通じて旧知の間柄でした。

ロケ地は、東京都新宿区の神楽坂を選びました。黒い木塀や石畳の路地が独特の雰囲気を生み出している界隈(かいわい)です。

神楽坂

初回のテーマは、「マニュアル操作に慣れる」です。

この日、高橋さんが花柳さんに用意したのは、コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)の人気機種であるリコーの「GRIII」です。

バッテリーとSDメモリーカードを含めて約257グラムと軽く、背面モニターに映っている、いまレンズがとらえている範囲のうち、写したい対象をタッチするだけで、そこにピントを合わせることができます。

写真撮影に必要なカメラの基本操作には、「ピント」「シャッタースピード」「絞り」「感度」があります。もちろん、最近のカメラは、センサーでレンズから入ってくる光の状況を判断して、最適化してくれます。

しかし、やがて自分だけの作品を撮ろうと考えるなら、やはりすべてを自らの手で設定できるようになりたいものです。

花柳さんも、上に挙げた用語は知っていましたが、実際に自分で設定して撮影した経験はほとんどありません。

そこで高橋さんは、今日は「絞り」以外の設定は決めておき、絞りだけを花柳さんがあれこれ試しながら撮ることを提案します。「絞り」とはレンズから入る光の量を、穴の大きさを変えて調節すること。絞る(=穴を小さくする)ことで入る光は減って写真は暗くなりますが、光を絞るほどピントが合う範囲が広くなります。

「何よりも、まずはシャッターボタンを押すことと、絞りを操作するのに慣れることです。散歩しながら気になったものを自由に撮ってみましょう」という高橋さんの言葉で、神楽坂を散策しながらのスナップショット講座が始まりました。

花柳さんは、さっそく八百屋の店先に並んだ野菜や、甘味屋の看板など、気になったモノを自由に撮っていきます。撮りながら、自分の感覚と、実際に撮れた画像に違いがないかを確認します。物陰でちょっと暗いと感じた時は、絞りを開けると、明るく撮れます

神楽坂の八百屋の店先

神楽坂にて

どちらも花柳さん撮影

デジタルカメラで撮る場合、撮影後にAdobe Photoshopなどのソフトを使って「レタッチ」と呼ばれる処理を行い、より自分の理想の画(え)に近づけることが普通です。

高橋さんは「ちょっと暗めに撮影しておいたほうが、後から編集しやすいです。逆に明るすぎると、そもそもモノの姿をとらえていないので画像処理で暗くしようとしてもできません」とアドバイス。うなずいた花柳さんは、あれこれ絞りを調節しながら、少し暗めを意識して撮影していきました。

このあとも、高橋さんから花柳さんへの説明は続きます。

・まず初めてのマニュアル撮影は難しいので、今回は日中の散歩はシャッタースピードは固定にしておいて、例えば1/125か1/250秒あたりに設定しておけば手ブレをすることもないでしょう。

・シャッタースピードというのは、その名の通りシャッター幕が閉じるスピードのことを言います。「シャッタースピード」が速いと人は止まって見えますし、逆に遅いと人の残像が写るようになります

シャッタースピードと「絞り値」の関係はセットなので、例えばこの場所の適正露出が「シャッタースピード」1/125秒の「絞り値」がF8だとしましょう。そこで同じ場所で意図の違う写真が撮りたいと思った場合(例えば背景をボカしたい)、絞りをF2.8に設定した場合は「シャッタースピード」は1/1000秒に設定を変えなければなりません。

まずはそういう基本を知っていただいてから、もう少し暗く雰囲気ある写真が撮りたいという欲がでてきた時に、この「シャッタースピード」と絞り値の関係を思い出せれば、自分の意図したものが撮れるので覚えておきましょう。

あとはモニターを見ながらちょっと暗いなと思うことがあれば、「絞り値」の数値を低くすれば光を取り入れやすくなるので、自分で絞りを調節しながら明るさを見極めていきましょう。スナップの街撮りの場合は絞りはF8あたりで設定して、暗いと思えば8より低い数字に。明るいと思えば、8より高い数字に変えると適正露出になります。あとISO感度は200から400に設定しておけば大丈夫です。ISOは固定で問題ないので今回はあまり気にせずにいきましょう。

説明を聞きつつ、だんだん絞りの操作にも慣れてきた花柳さん、積極的に気になった被写体にレンズを向けていました。

神楽坂の電柱

花柳さん撮影。「すごくたくさん禁煙マークがありますね」

ガラス越しに、店の中の明かりが見えた店を撮ろうとした花柳さんですが、どうもうまくいかない様子です。

「中が暗くなってしまいました。どうしたら外から室内の様子も入れて撮れますか?」と高橋さんにたずねます。

店内の適正露出と店外の適正露出の間の数値で撮影すれば大丈夫ですよ。そうすれば照明のみの雰囲気ある店内と外のバランスが取れます」

高橋さんは、こう助言すると、いくつか異なる設定を提案していました。

教えてもらった花柳さんが撮影した写真がこちら。

神楽坂にて

花柳さん撮影

初めて絞りをマニュアル操作して撮影したとは思えない出来栄えですね。

最後に、こちらは高橋さんが撮影した1枚です。

神楽坂

次回は、街角スナップを撮る時のコツを実践しながら学びます。

(文・&M編集部)

インフォメーション

<花柳のぞみさん情報>

・twitter https://twitter.com/nozomi_fleuron
・Instagram https://www.instagram.com/nonchan_1207/

初めての舞台『PETRICHOR ペトリコール』が11月27日 (水) ~12月8日 (日)まで、東京・中野の劇場HOPEで上演。

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PROFILE

高橋伸哉

人物、風景、日常スナップなど、フィルムからデジタルまでマルチに撮影するフォトグラファー。国内外を旅して作品を発表している。企業案件や広告撮影、技術本の書籍(共同執筆)、ワークショップなども多数。インスタグラムの総フォロワー数は35万人を超える。(@t.1972@s.1972

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