街角スナップを上手く撮るコツを聞きたい プロと一緒に撮りながら歩く神楽坂
文: 高橋伸哉

『&M』で写真エッセイ『或る旅と写真』を連載中のフォトグラファー高橋伸哉さんを講師に、写真を上達したい生徒さんが1対1で技術を学ぶ企画。モデルの花柳のぞみさんが生徒の2回目は、街角スナップの撮り方を東京・神楽坂を歩きながら勉強します。
歩く人をうまく入れることで物語性が生まれる
通りから路地に入ると、石畳と黒塗りの木塀が続き、静かで雰囲気のある神楽坂界隈。花柳さんは、リコーの「GRⅢ」を片手に、スナップ撮影を続けます。少し古い建物を見つけて撮り始めた花柳さんに、高橋さんがアドバイスします。
「こうしたちょっとレトロさを感じさせる場所があったら、だれかその前を歩いて通り過ぎるのを待つといいです。例えばスーツ姿の人が歩いていると、それだけで撮った1枚に物語を感じさせることができます」
記事の一番上の写真は、高橋さんが撮った1枚です。(撮影データ:絞りF14、SS 1/400)
散策しながら、気になるモノや建物を花柳さんが撮る合間に、高橋さんがカメラを構える花柳さんを撮影します。

花柳さん撮影。「斜めに差し込む光がきれいですね」と高橋さん
「一眼レフを使いこなせるようになったら、可愛い女の子を撮りたいです」という花柳さんに、「こうした路地を歩いていると、光が差し込む場所があります。そうした場所を歩いている姿を自然に撮ると、いい感じの作品になると思います」と高橋さんが説明します。

高橋さん撮影
「女の子同士で撮影し合いながら散歩するのも楽しそうですね」(花柳さん)
路地を歩くと、ちょっと壁の看板がおもしろいお店を見つけました。
高橋さんは、ここで「こうした路地の角にある建物や、十字路を撮る時は、2本の道路が画面に入る場所で、立って撮ってみてから、しゃがんだり、地面ぎりぎりにカメラを構えたりと高さを変えると、変化がある面白い写真になりますよ」とアドバイスしていました。

高橋さん撮影
画面の中にたくさんの色をいれることを意識する
2人は、細い路地を離れ、今度は住宅地がある方角へ歩きます。向かった方向は、たまたま道路の舗装工事中。道のわきには、派手目の飲食店の看板がありました。高橋さんは、工事のために置かれたカラーコーンを花柳さんに示します。
「街角スナップでは、一つの画の中に、色を見つけて入れることを意識すれば良いスナップになります。だから、こうした明るい赤のカラーコーンや、カラフルな看板が入るようなアングルで撮ってみると面白いですよ」(高橋さん)
ということで、早速花柳さんがカラーコーンにレンズを向けます。

花柳さん撮影 絞り F9 、SS 1/200

高橋さん撮影 絞りF5.6 SS 1/250
そのまま、神楽坂周辺を歩くと、住宅地を抜けた先、カーブになった下り坂の両側に、カラフルなビルがありました。さっきの高橋さんの話にあったように、たくさんの色が入る構図でした。
ここで2人が撮影した写真が次の2枚です。高橋さんは、家族連れが坂の向こう側を下っていくタイミングを待ってシャッターを押していました。

高橋さん撮影 絞り F6.4、SS 1/250

花柳さん撮影 絞りF9、SS 1/250
花柳さんは、植え込みからちょこんと顔を出していたうさぎの置物を見つけたり、店先のかわいい人形を見つけては、どんどん撮影します。絞りを操作しての撮影にも慣れてきた様子です。

花柳さん撮影 絞り F9、SS 1/200
「撮影しようと思って歩いていると、いろいろなものを見つけられて楽しいです。このカメラは歩きながら撮るのにちょうどよいし、ほしくなりました(笑)」(花柳さん)
さて、本来は夕方の光があたった路地裏を撮る予定だったのですが、あいにく急速に雲が流れてきて、太陽はすっかり隠れてしまいました。
次回は、街角スナップで大切になる、天気や時間に合わせた作品の撮り方をテーマにお届けします。
(文・&M編集部)
インフォメーション
<花柳のぞみさん情報>
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初めての舞台『PETRICHOR ペトリコール』が11月27日 (水) ~12月8日 (日)まで、東京・中野の劇場HOPEで上演。