なんでもない服の着心地を快適にしてくれる名脇役 パタゴニアが誇る高機能Tシャツ
文: 吉田大

この数年、アウトドアウェアを街中で着こなす男性が増えている。カジュアルでちょっとオシャレで着心地もいい。本コラムでは、ファッション性と機能性を兼ね備えたアウトドアブランドが展開する「これさえ持っていれば間違いない」というマストバイなウェア、グッズを紹介していく。
名作「キャプリーン」シリーズで最も汎用(はんよう)性が高いベースレイヤー

生地に使用されている吸湿速乾性に優れたポリエステルはリサイクル素材
暖房が利きすぎている電車内で汗をかき、体にベッタリとTシャツが張り付いて不快な思いをした経験はないだろうか。汗が乾く間もなくホームに降りれば、寒風で一気に汗が冷え、体温が奪われていく。冬の都市生活者は、寒さだけでなく暑さへの対策も考えなければならない。しかしパタゴニアのキャプリーン・ミッドウェイト・クルーを着ていれば、体はドライかつ快適に保たれ、冷えてしまうこともなさそうだ。

「スノーボードで試しましたが非常に快適です。冬に向けて、初めて機能的なベースレイヤーの購入を考えている方に自信を持ってオススメします」と語るパタゴニアの内野宗一郎さん
登山用ウェアは、防水シェルなどの「アウターレイヤー(=外側に着る服)」、フリースなど「ミッドレイヤー(中間着)」、Tシャツなどの「ベースレイヤー(下着)」の三種類に大別される。登山を楽しむ人々は、この三つを天候に合わせてロジカルに組み合わせることで、各アイテムのポテンシャルをしっかり引き出している。
このロジック、実は都市生活でも大変有効である。冬場は室内外の寒暖差が大きい。電車や建物の内と外を行き来する都市生活者は、真冬でも汗をかく機会がわりと多い。そんな時、インナーが果たす役割はとても重要だ。しっかりと汗を吸い取り、短時間で乾き、さらに汗の臭いも防ぐ――真冬を快適に過ごすには、高性能ベースレイヤーを数枚用意したいところだ。
そこで、キャプリーン・ミッドウェイト・クルーである。同社のスノーカテゴリーのマーケティングを担当する内野宗一郎さんはその魅力をこう語る。
「このベースレイヤーは、吸湿速乾性に優れ、保温性もあり、なおかつ動きやすい。薄過ぎず、厚過ぎないため、一年を通じて使えます。一枚で寒さをしのげるアイテムではありませんが、上手に他の衣料と組み合わせれば、幅広いシーンで使っていただけると思います。例えばご自宅にある、なんでもないフリースやシェル、ダウンも、これを下に着ておけば、着心地が良くなるはずです」(内野さん)

肩を上げた状態がニュートラルに設定されている立体裁断なので、手をあげた時に裾が引っ張られない。また肌が擦れにくい
吸湿発散性と保温性の秘密は裏地のパターンと糸の構造にあり

裏側をめくると「ダイアモンド・グリッド」と呼ばれる網目のような模様が現れる
吸湿発散性と保温性を生み出しているのが、2019年の秋冬シーズンから導入されたダイヤモンド型の凹凸だ。素肌に触れる面に設けられた格子状のパターンは、起毛させ、盛り上がっている部分で暖かさを確保し、へこんでいる部分は汗を逃がす構造となっている。またリサイクルポリエステル生地は、内部が空洞になっている糸で織られ、軽量かつ内側に暖かさを閉じ込める。

へこんでいる部分は光に当てると向こう側が透けるほどの薄さ。通気性も非常に高い
重ね着のための配慮が盛りだくさん

スリムフィットなのでシャツのインナーに着ても着ぶくれしない
パタゴニアのベースレイヤーは、どのアイテムも優れた機能性を誇る。が、秋から冬にかけてワイシャツの下に着るとなれば、一番のオススメはキャプリーン・ミッドウェイト・クルーになる。スリムシルエットかつ比較的薄手で、表面が滑らかだからだ。

重ね着をする時に便利なサムループ
とはいえ長袖シャツを2枚重ねると、インナーのシャツの袖がまくり上がってしまうこともある。しかしキャプリーン・ミッドウェイト・クルーはレイヤリングで機能を発揮するアイテムゆえ、スムーズに重ね着ができるよう様々な配慮がなされている。袖口についている「サム(=親指)ループ」もその一つだ。
「上に服を着たり、脱いだりする時に親指を通しておけば、袖のまくり上がりを防いでくれます。また手の甲や手首はとりわけ皮膚が薄く、冷えてしまうと体温が下がる原因になります。ループにしっかり指を通しておけば、手の甲の半分ぐらいまではきちんと隠してくれますから、ある程度は体温を保つこともできます」(内野さん)

しっかりと袖口の位置を固定してくれるサムループ
都市向け汎用ベースレイヤーの最適解の一つ

つるして乾かせるループ付き。内側に肌に当たる縫い代が出ないフラットシーム仕様
素肌の上に直接着るアイテムということもあり、肌触りへのこだわりも強い。生地の硬さはストレスにつながるため、しなやかでストレッチする素材を採用し、襟ぐりの縫い目には上から生地をかぶせ、襟裏のサイズタグはプリントに、さらにパタゴニアのタグは裾に移動することで、直接肌に当たらないようにしている。
また、バックパックを背負ったときにストラップによって肩の縫い目がダメージを受けないようにするのと同時に、縫い目が肩にあたって気にならないようにラグランスリーブを採用しているのも特徴だ。
価格は8030円(税込み)。長袖Tシャツとしては少々高額に思えるかもしれない。しかし綿の T シャツに比べると格段に耐久性が高いだけでなく、洗って干せば翌日にはほぼ確実に乾くため、長期にわたるヘビーローテーションでの使用が可能である。
決して主役級のアイテムではないかもしれない。しかし主役の実力を100%、いやそれ以上に輝かせてくれる名脇役なのだ。そう考えれば、この価格も決して高くはない。
Patagonia(パタゴニア)
メンズ・キャプリーン・ミッドウェイト・クルー
8,030円
https://www.patagonia.jp/product/mens-capilene-midweight-crew/44427.html
取材・文/吉田大
撮影/今井裕治
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