吉田直樹さん特別コラム

人がオンラインゲームをプレイしない理由その2. 『他人に迷惑をかけるのが怖いから、プレイするのはためらわれる……』

最近になって耳にするようになったのが、こちらの理由である。5年前くらいまでは、あまり聞こえてこなかったので、むしろこれはオンラインゲームに接触する機会が増え、「そういう思いをするようになった」か、あるいは、「そういったシチュエーションを経験した人の話を聞いた」か、そのいずれか、もしくは双方だと思われる。

確かにオンラインゲームは、見ず知らずの人と一緒にプレイすることが多い。大部分は知人ではなく、赤の他人と一緒にプレイするだろう。自分にそんなつもりはなくても、オートマッチングが主流の今のオンラインゲームでは、「どうせ、今回一緒にプレイするだけだから」と横柄な態度を取るプレイヤーもいないでもない。そんなプレイヤーとマッチングした場合によくあるのが、「このヘタくそ!」などの“罵声を浴びせられる”というものである。しかしこれ、実は対策がある。以下にその事例を挙げてみよう。

まずそもそも、貴方が噂に聞いた、あるいは実体験した、「他のプレイヤーから暴言を吐かれる」というのは、プレイしたオンラインゲームにチャット機能が備わっており、それを使っていることが前提になっている。ボイスチャットか、テキストチャットのいずれかである。オンラインゲームの中には、このようなプレイヤーからの暴言を無くすために、そもそもチャット機能を搭載しないものも珍しくない。「もっと気楽に遊びましょう。チャットが無くても遊べるゲームを目指します!」というゲームも多数存在する。

その一方で、「どうやって相手に、ありがとう! とか、楽しかったです! などのポジティブな感情を伝えるの?」という疑問も湧くに違いない。こういったチャットのないゲームでは、キャラクターの言葉ではなく、しぐさや動作に、「お礼をする」「ニッコリ微笑む」などの“感情表現”を搭載していたり、LINEのようなスタンプ機能の他に、予め用意された”定型文章”を用いたりすることで、これを可能にしている。つまり、相手に対して、ポジティブな感情は伝えられるようにし、ネガティブな表現は実行できないなどの工夫をしているのだ。

しかし、オンラインゲームの楽しさは、第三者とのコミュニケーションによって、何倍にも増幅される。

世の中、悪い人ばかりではなく、ゲームの中だからこそ、素直になれるという人もたくさんいる。普段の生活では、相手に面と向かって、「ありがとう!」とか、「楽しかったです!」という言葉を、素直に出せないことも多い。恥ずかしい、と照れてしまう。

ところが、ゲームの中の自分は”キャラクター”として動いているため、不思議なことに、現実で感じる恥ずかしさを殆ど感じない。そういう素直な言葉が飛び交うことだって、たくさんあるのだ。

こうした、素のコミュニケーションによって、オンラインゲームの中でリアルの友達ができたり、現実世界で結婚する例だって少なくない。僕はファイナルファンタジーXIVというオンラインゲームを運営しているけれど、既に70組以上の方々に祝電を送っている。僕に報告してくださるプレイヤーの方たちだけでもこの数である。潜在的には、もっと多くの方が、オンラインゲームを通じて、現実世界での生活が豊かになる、という経験をしているはずだ。

「オンラインゲームの世界は、第三者との繋がりがあるので怖い」これはとてもよく理解できることだし、そして間違っていない。ただし、これはオンラインゲーム特有のことではない。現実でスポーツをしていたって、学校に通っていたって、同じことが起きる。でも、現実ではない分だけ、より「素直な自分になれる」場所でもある。だからこそ、「ちょっと怖いんだよなあ」と思っている貴方にこそ、思い切ってオンラインゲームを体験してみてほしい、と思うのだ。

そんな貴方に、『ファイナルファンタジーXIVフリートライアル』というものが存在する。フリートライアル、つまり無料である。パッケージ料金も必要なければ、プレイ料金も必要ない。チャットにも制限があるから、無理に会話する必要もない。さらにいえば、既に運営開始から6年以上が経過し、ベテラン『光の戦士』(ファイナルファンタジーXIVプレイヤーのこと)たちが多数存在する。彼らは新しくゲームを始めた、初心者のみなさんに対して、とにかくやさしい! 初心者には、キャラクターの頭の上に「若葉マーク」がつくから、ベテランに間違われることもない。

こんな至れり尽くせりの世界、現実にはなかなか存在しないと思うのだが……?

 

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PROFILE

吉田直樹

ファイナルファンタジーXIVプロデューサー兼ディレクター
(株式会社スクウェア・エニックス 取締役/執行役員/第三開発事業本部 本部長)

「ファイナルファンタジーXIV」のプロデューサーとディレクターを兼任する傍ら、2018年に株式会社スクウェア・エニックス 取締役に着任。
出身は北海道札幌市。専門学校卒業後、1993年に株式会社ハドソンに入社し天外魔境シリーズ、ボンバーマンシリーズなどの開発に携わった。
2005年に株式会社スクウェア・エニックスに入社。「ドラゴンクエスト モンスターバトルロード」や「ドラゴンクエストX」の制作を手がけたのち、2010年には「ファイナルファンタジーXIV」のプロデューサー兼ディレクターに就任した。批判が多かった当時のゲームシステムなどを改修するため綿密な開発プランを実行し、「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」として作品を立て直した。
以来、ファイナルファンタジーXIVの開発・運営を指揮している他、第三開発事業本部の本部長として部門運営にも従事している。
無類のゲーム好きを公言し、休日には一般のプレイヤーと共に「ファイナルファンタジーXIV」を楽しんでいるほか、他の新作ゲームも積極的にプレイしている。

人は、なぜオンラインゲーム(MMORPG)をプレイしないのか

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