長野を満喫“ドライブジェニック”旅 極上の癒やしとノスタルジーに浸る
文: 高橋伸哉

フォトグラファーの高橋伸哉さんが、「或る旅」の記憶をつづるフォトダイアリーです。
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さて、いつも海外の旅の話をしているけれど、今回は国内を旅した時の話をしようと思う。たまには国内の話もいいよね。だって日本は四季折々美しい国だから。ということで、選んだ場所は長野県。
長野に行ったことがない人はいるだろうか?
もちろん、まだ行ってない人もいるであろう。そんな人に向けて、はっきり言いましょう。
人生をちょっとだけ損しているかもしれない。
自分は8年ほど前に上高地へ撮影に行った時、その美しさに感動して、もう一度訪れたいと思っていた。
長野の冬は、しんしんと降り積もる牡丹(ぼたん)雪がとても情緒があって美しい。今回は、まだ雪が降る季節ではなかったけど、長野のドライブ旅を楽しんできたので、その様子を紹介していこう。
エンジン音とともに高鳴る鼓動。いざ、自然の宝庫・長野へ
アルプスをはじめとする3000メートル級の山々に囲まれている長野。上高地や軽井沢のような避暑地があって、空気はうまい、ご飯はうまい、自然は美しいと三拍子そろっている。日々仕事や雑多な都会の喧騒(けんそう)で疲れが溜(た)まっている人にぜひ行ってほしいところだ。
自分は普段の生活の拠点が関西なので、やはり自然が少ない。もちろん少し電車に乗れば自然豊かな場所に行けなくもないが、長野の雄大で美しい景色に比べたら、やはり見劣りするわけだ。
そして、長野が大好きな理由の一つに、自宅から車で4時間ほどで行ける点がある。
愛車のMINIにカメラバッグを乗せてエンジンをかける。この時点で、まだ自宅マンションの駐車場にいながら、すでに胸の鼓動は、愛車のエンジンと同じように高鳴り始めている。そういうの大事でしょ? そう思いませんか?
旅の楽しさは、自宅の扉を閉めた瞬間から始まっている。好きな音楽を聴き、好きな車に乗ってドライブ。途中で高速のサービスエリアに寄っては、何か買うか買わないか……ブラブラと見学する。目的地に向かって全然進んでいない、なんてのはよくあることだ(笑)。
上高地で癒やされて、奈良井宿で江戸時代にタイムスリップ
上高地が日本を代表する癒やしスポットだと思う理由は、雄大な穂高連峰の山があって、透き通る川がとんでもなく美しいからだ。自分は春と秋に行ったけど、毎回癒やされて帰ってきた。
大正池から河童橋までのハイキングコースをゆったり歩いて1時間ほど。これぐらいの距離だと、運動をあまり好きではない自分でも美しい景色を見ながら歩くのが気持ちよくて楽しい。
所々でお弁当を食べているご夫婦やカップルがいて、天気が良ければ最高のピクニック気分を味わえるだろう。まだ行ったことがない人はぜひ訪れていただきたい。
上高地に1泊して、次に目指したのが木曽にある奈良井宿。約1kmにわたって町並みを形成する日本最長の宿場だ。江戸の名残を残した雰囲気は、見るものの情緒を刺激する。江戸時代には、京都に行く途中の休憩場所として栄えたそうだ。
フォトグラファーとしては、当然、観光客が多い昼の時間帯に撮影はしない。夕暮れになり、観光客が帰り始めた時間帯にシャッターを切る。薄暗くなった奈良井宿の宿場を撮っていると、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような感覚になる。まあ、江戸時代のことは知らないけれど。
そこで昔からある宿場で1泊することにした。部屋にはトイレも風呂もない。10畳ほどの和室に布団と机があるだけだ。鏡すらない。まさに江戸時代の宿場はこういう感じだったのだなと思わせる。
晩御飯は川魚ニジマスの塩焼きやすき焼き、自分が大好きな野沢菜。どれもこれもおいしい。幸せ。この一言に尽きる。
行くたびに新発見! 車だから出合える景色がある
そんな感じで、江戸の名残を残す宿場・奈良井宿を堪能した。こういう場所は他に何カ所もあるので車で旅行に行くのがオススメである。車を持っていない人はレンタカーで行けばよい。少し車を走らせてやれば阿寺渓谷など美しい景色に出合える。
他にも、ビーナスラインの霧ケ峰や美ケ原など、ドライブが楽しめる最高の場所がある。実はこの旅行の翌週に霧ケ峰までMINIを走らせて写真を撮りに行った。まだまだ、たくさんの魅力にあふれている長野。またすぐに行きたいと思わせてくれる旅となった。
あ、そうそう。実はこの旅行、妻との結婚記念日に一緒に旅をしたのだ。もう24年目である。妻は着付けができるので、奈良井宿には着物が合うんじゃないかと思い、持ってきてもらった。
見事、よい写真が撮れました。感謝しております。
では、また。
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