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「いだてん」ファン必見! 熊本で見るべき“金栗四三の聖地”

NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」もいよいよ大詰めラストスパートを迎えている。残すところあと2回。視聴率こそ大河ドラマ史上最低を更新し続けているそうだが、私はハマった。「日本のマラソンの父」と呼ばれる金栗四三(かなくり・しそう)がドラマ前半の主人公だったからだ。この連載でも過去2回も、金栗四三のことを取り上げている。そしてついに私は“聖地”にまで足を延ばしてしまった!

<過去記事>
・もし金栗四三がいなかったら……? 「いだてん」主役が残した偉業
・100年前に、現代でも通用する練習法を編み出した“日本のマラソンの父”金栗四三

“聖地”というのは、金栗四三の生まれ故郷、熊本である。熊本県玉名郡和水町(なごみまち)に生家があり、隣の玉名市には養子となった池部家の家がある。隣接する二つの町に「ゆかりの地」が点在している。その一つひとつを訪ね歩いた。金栗ファンの私にとってはまさに至福の時だった。マラソンを走るランナーなら、ぜひ一度は訪れてほしいと思う。だが、いつでもOKというわけではない。大河ドラマの終了に合わせて、展示が終わってしまうものもある。ズバリ、行くなら来年1月13日(月・祝日)までに行った方がいい。以下、見どころを解説する。

提供:玉名市

玉名市の公式サイトにアクセスすると、この地図がダウンロードできる(提供:玉名市)

まずは、熊本市内から国道208号をひたすら進む。途中に西南戦争の激戦地、田原坂がある。歴史好きな人は立ち寄ってもいいが、“聖地”は本当に見どころがたくさんあるので時間配分に注意したい。玉名市もしくは和水町で一泊すると、余裕をもって“いだてん発祥の地”を堪能することができるだろう(ちなみに私は和水町で一泊した)。

菊池川にかかる高瀬大橋を渡ると、いきなり「金栗四三ワールド」になる。街のいたるところに「〈体力 気力 努力〉日本マラソンの父『金栗四三』ゆかりの地」と書かれたのぼりがはためいているのだ。「体力 気力 努力」というのは金栗四三の代名詞のような言葉である。子どものころ病弱だったこともあって、なにはなくともまず「体力」、次に必要なのは不動の精神力ともいえる「気力」、そして最後は目標達成まで頑張り通す「努力」が大事という意味だ。これはマラソン競技だけでなく、人生のすべてに通じると金栗さんは言っている。

いだてん大河ドラマ館(9:00~17:00/無休)1月13日まで

ほどなく道の左側に見えてくるのが、「いだてん大河ドラマ館」だ。玉名市や地元商工団体でつくる協議会が期間限定で設置したもので、その名の通り、NHKから借りたドラマの小道具などを展示している。11月には一部展示を入れ替えて、後半の主人公である田畑政治と金栗四三が一緒に写った秘蔵写真や劇中で水泳金メダルの前畑秀子役の上白石萌歌さんが着用した水着と水泳帽などが新たに加わった。

ミュージアムショップには金栗さんが履いていた金栗足袋のレプリカである「ランニング足袋 金栗」が売っていた。玉名市へのふるさと納税の返礼品にもなっている。見た瞬間、「欲しいッ!」と思ったが、1万円だ。グッと堪えた。

いだてんドラマ館

11月に展示内容を入れ替えた、いだてん大河ドラマ館

高瀬船着き場跡(ロケ地)

ドラマ館を出て菊池川沿いを進むと、「高瀬船着き場跡」に着く。ここは、ドラマで池部家の船着き場として撮影されたロケ地でもある。金栗さんの義母(池部幾江)役の大竹しのぶさんが使用人に指示を出している姿が思い出される。周辺には「歓迎 ようこそいだてんの里へ」といった看板も。ロケ地は他にも数カ所ある。

ドラマで池部家の船着き場として撮影されたロケ地「高瀬船着き場跡」

ドラマで池辺家の船着き場として撮影された。この坂で米俵を転がしていた

歴史博物館こころピア「金栗四三展」(9:00~17:00*入館は16:30まで)1月13日まで

ドラマ館から北へ向かって数分走ると玉名市立の歴史博物館に着く。ドラマ館に比べるとやや地味な印象だが、金栗さんが家族に宛てた直筆の手紙や古い写真、アントワープ五輪(1920年)の時のユニホーム、足袋など、ドラマの小道具でない、実際に使われていた遺品の数々が展示されている。金栗さんは勉強もよくできたようで、玉名中学の特待生の任命証も飾られていた。

歴史博物館こころピアで開催中の「金栗四三展」

歴史博物館こころピアで開催中の「金栗四三展」(月曜休館)

市内に二つもある「金栗四三像」

金栗さんの母校である熊本県立玉名高等学校(旧県立玉名中学校)の中庭と九州新幹線新玉名駅前に銅像がある。玉名高の像(左)はランニング姿、駅前の像(右)は腕組みをしている。

 

玉名高(左)と玉名駅前(左)にある金栗四三の銅像

駅前の像は玉名高創立115周年記念事業として2018年11月に除幕式が行われた

金栗四三のお墓と住家(9:00~17:00/無料)しばらくやっている

金栗さんと妻のスヤさん、義母の池部幾江さんが暮らした築120年の家で、離れが改装され資料館として公開されている。金栗さんが冷水を浴びて「ひぇ~」と声を上げていた井戸もちゃんとある。近くの坂の上に墓があり、「体力 気力 努力」の文字が刻まれている。驚いたのは、駐車場にある飲料自動販売機に金栗役を演じた中村勘九郎さんのサインがしてあったことだ。必見である。

金栗四三が冷水を浴びていた井戸

金栗さんが冷水を浴びていた井戸。「ひぇ〜」という声が聞こえてきそうだ

金栗四三周遊バス

私はレンタカーを使って回ったが、こうした「ゆかりの地」を巡る無料の周遊バスも走っている。ドラマ館が終了する来年1月13日までの運行だ。

ゆかりの地を巡る金栗四三周遊バス。ちなみにナンバーは43(=四三)

ゆかりの地を巡る金栗四三周遊バス。ちなみにナンバーは43(=四三)

金栗四三ミュージアム(9:00~17:00*入館は16:30まで/無休)1月13日まで

玉名市のドラマ館とは別に、和水町には「金栗四三ミュージアム」がある。土日祝日限定でドラマ館からこのミュージアムもしくは生家記念館までの無料シャトルバスが運行されている。ここで感動したのは、金栗足袋を開発したハリマヤ製の歴代ランニングシューズが展示されていたことだ。30年間、大切に保存されていた貴重品だ。

金栗四三ミュージアムに展示されていたハリマヤ製のシューズ。保存状態がよく、非常に貴重だ

金栗四三ミュージアムに展示されていたハリマヤ製のシューズ。保存状態がよく、非常に貴重だ

金栗四三生家記念館(9:00~17:00/無休)2019年12月23日(月)まで

さて、真打ちは「日本のマラソンの父」が産まれた生家である。玄関の土間の横には家族が「学校部屋」と呼んだ金栗さん専用の2畳敷ほどの小さな勉強部屋がある。金栗さんはこの家から、玉名北高等小学校までの往復約12kmの山道を毎日走って通学した。そこで心身ともに鍛えられるとともに、あの「スッスッ、ハッハッ」という呼吸法を体得したとされている。生家まで行ったら、ぜひこの「金栗四三ロード」も体験してみるといいだろう。

金栗さんは地元で酒造業を営む名家の8人兄弟の7番目として生まれた

金栗さんは地元で酒造業を営む名家の8人兄弟の7番目として生まれた

“いだてん”を生み、育てた和名町、玉名市の力の入れようは、とにかく並々ならぬものがあった。だが、このフィーバーもあと1カ月で終了だ。急ぐべし!

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PROFILE

山口一臣

1961年東京生まれ。ゴルフダイジェスト社を経て89年に朝日新聞社入社。週刊誌歴3誌27年。2005年11月から11年3月まで『週刊朝日』編集長。この間、テレビやラジオのコメンテーターなども務める。16年11月30日に朝日新聞社を退社。株式会社POWER NEWSを設立し、代表取締役。2010年のJALホノルルマラソン以来、フルマラソン20回完走! 自己ベストは3時間41分19秒(ネット)。

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