めぐり、めぐって純喫茶

受け継がれる味と美意識 純喫茶「珈琲 ショパン」のアンプレス

昭和の香りただよう純喫茶には、そのお店ならではのストーリーや、おいしいコーヒー、そして食事があります。ともに1996年生まれの俳優・見津賢と写真家・ヨシノハナが、東京のさまざまな純喫茶をたずねる本連載、第7回は神田の人気店「珈琲 ショパン」です。

昭和の雰囲気が漂う店で人気のトーストを

この連載を始めてから、読んでくれた方が実際にお店へ行ってみたという話も聞くようになり、とてもうれしいです。どのお店も本当にすてきなので、その魅力に触れてほしい!

純喫茶は、時代の変化にともなって、いろいろな軽食を出すお店が増えました。実は、軽食を出す純喫茶には必ずと言っていいほど、「トースト」がメニューにあります。

お店によって味や形はさまざま。ということは、「パンを焼く」共通項以外に何の決まりもない、無限の可能性を秘めている喫茶メニューでは!? 今回からは、絶品のトーストを味わえるお店をご紹介します。

受け継がれる味と美意識 純喫茶「珈琲 ショパン」のアンプレス

オフィスビルや老舗名店が立ち並ぶ神田須田町。観光客が行列をなす「かんだやぶそば」の向かいにある、「珈琲 ショパン」を訪れました。 圧倒される重厚さがある外観。建物の壁にある店名と高めに取り付けられた看板の字体からも、昭和の雰囲気が漂います。

受け継がれる味と美意識 純喫茶「珈琲 ショパン」のアンプレス

店内に入ると、ゆったりと落ち着いた空気にあわせてクラシックが流れています。ランプの明かりの中に感じる、なぜだか涼しげな雰囲気。 そして赤い布張りの椅子に、テーブルに置かれた動物がモチーフの木彫りの灰皿……。そうやって店内を見渡していると、お目当てのトーストとコーヒーが。

受け継がれる味と美意識 純喫茶「珈琲 ショパン」のアンプレス

このお店を訪れた目的は、名物の「アンプレス」。テレビ番組で「日本三大純喫茶のトースト」として紹介された、大人気のメニューです。それでは早速、いただきます!

外はサクッ、中身はもちっとした食感。つぶあんの甘みとパンにしみこんだバターの塩味、そして香りが口いっぱいに広がります。ああ、本当においしい。もともとあんバターに目がないぼくですが、このアンプレスはトップクラス。

ドリップコーヒーはびっくりするほど濃くて酸味があります。 この酸味が、アンプレスと非常にマッチするのです。 そして、たっぷりチーズがのせられたチーズトーストは驚きの分厚さでボリューミー。これは間違いない。

受け継がれる味と美意識 純喫茶「珈琲 ショパン」のアンプレス

コーヒーを飲みながら、学生時代から50年近くショパンで働くチーフにお話を聞きます。

「アンプレスおいしいでしょう。もともとはメニューになかったんだけど、毎日くるお客さんが飽きないようにってあんこを入れてみたら、これがおいしくて。3回に分けて表にバターを塗ってじっくり焼くから少し時間がかかるんだけどね」

アンプレスと相性抜群。コーヒーの秘密

受け継がれる味と美意識 純喫茶「珈琲 ショパン」のアンプレス

「コーヒーはね、すごいパンチが強いでしょう?(笑)。焙煎(ばいせん)は浅煎りで、3倍以上豆を使っているからね。私が働き始めたころにはもうこの味で、昔から変わらない。自宅でこの味を再現しようとするお客さんもいるみたいだけど、なかなか難しいよね。ここでは一度に何十杯分もの量をネルドリップで淹(い)れるから」

受け継がれる味と美意識 純喫茶「珈琲 ショパン」のアンプレス

浅煎りの豆をたっぷりと使っているからあの強い風味と酸味を表現できるんですね! 確かにこの味は家で淹れようと思っても難しそう。“その味はその場でたしなむべし” ですね。このコーヒーもショパンで飲むことに意味がある。

お店の雰囲気、流れる音楽、常連や、たまたま立ち寄ったお客さん。すべてが合わさって、一杯のコーヒーになるんです。

そういえば、メニュー以外にも気になっていたことが……。色鮮やかなステンドグラスや木彫りの置物について、今度はオーナーである岡本由紀子さんにお話を伺いました。

受け継がれる味と美意識 純喫茶「珈琲 ショパン」のアンプレス

「創業が昭和8年(1933年)。もともとは数軒先の、りそな銀行がある場所で、義母がお店をやっていたんです。装飾や音楽にこだわりがある人でした。木彫りの灰皿や置物は東京芸大に通っていた親戚が作ってくれたもの。ステンドグラスは古いので、今出回っているものとは違うんですね。色合いがいいんです。でもね、よく見ると店名が『SHOPIN』になっているものがあるの。『CHOPIN』なのに(笑)」

受け継がれる味と美意識 純喫茶「珈琲 ショパン」のアンプレス

創業から80年以上続くショパン。その長い年月の中でお店の場所や店主が変わっても、当時から受け継がれてきた味と装飾、そしてそれを残していきたいという思いを、しっかりと感じることができました。

(アンプレス 500円、チーズトースト400円、ブレンド珈琲550円 全て税込み価格)

珈琲 ショパン
東京都千代田区神田須田町1-19-9
TEL:03-3251-8033
営業時間:月〜金曜 8:00~21:00
       土曜 11:00~21:00
定休日:日曜・祝日

受け継がれる味と美意識 純喫茶「珈琲 ショパン」のアンプレス

(文・見津 賢 写真・ヨシノハナ)

 

トーストがおいしいお店 ラインアップ

①神田 珈琲 ショパン 12/13公開

②浅草橋 スメル  12/20公開予定

③神田 珈琲専科店エース ゲスト:枝 優花 12/27公開予定

④浅草 コーヒーショップ ペガサス 1/17公開予定

 

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PROFILE

  • 見津 賢

    1996年神奈川県出身、青山学院大学理工学部卒業。在学中に始めたモデル活動をきっかけに芸能界に入る。現在はCMやドラマ、映画などに出演している若手俳優。

  • ヨシノハナ

    1996年東京都出身。東京造形大学デザイン学科写真専攻を今年3月に卒業。 元フォトグラファーの父の影響で写真を始める。 雑誌やファッションブランドのルックを撮影するほか、個展など多方面で活動している新進気鋭の写真家。

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