小川フミオのモーターカー

独伊合作の美しいスタイリング アウディ100クーペ

もっとも好きなアウディは? と聞かれたら、私なら「アウディ100クーペ」だ。1969年に発表されたモデルである。丸形4灯のフロントマスクと、ファストバックのボディーが印象的で、いまでも存在感が大きい。

(TOP画像:独伊合作のスタイリングはルーフラインが美しい)

ボディーをデザインしたのは、イタリア・トリノのカロッツェリア「フルア」。マセラティやBMWなどをクライアントに持っていて、しゃれたクーペボディーを得意としていた。

アウディ100クーペ

後部座席も使える機能性とエレガンスがバランスされている

私としては、抑制のきいたグッドデザインという点で、このアウディ100クーペがフルアの最高傑作ではないかと思う(もうひとつは1964年のマセラティ・ミストラル)。

おそらくアウディ社内のデザインチームの意見も入ったのだろう。ベースになった初代アウディ100(68年発表)の硬質な要素と、リアクオーターピラーに代表されるイタリア的ともいえる感覚的な造形が、うまく組み合わさっている。

当時のアウディは4灯式ヘッドランプを特徴としていた

当時のアウディは4灯式ヘッドランプを特徴としていた

とくにリアクオーターウィンドーを小さくしすぎていないので、いいバランスを生んでいるのだ。ウィンドーの上端がルーフラインに沿って、後ろにいくにしたがって湾曲しながら下がっていく点も、躍動感があって上手なデザインだと感心する。

1871ccの4気筒OHVエンジン縦置きの前輪駆動というレイアウトは、アウディ100セダンと同じ。前輪にしっかり駆動力をかけるため、前車軸より前に、重量物であるエンジンを傾けて搭載するなど、そのあと続くアウディの設計思想が採用されていた。

100クーペがもっとも美しく見える角度

100クーペがもっとも美しく見える角度

いまのアウディがクーペを作ったら、最高速度300キロなんて言いそうだが、当時は資金力にも技術力にも限界があった。セダンベースのクーペで出せる速度は、メーカー発表で185キロというのがギリギリ。それでも速い、という印象はあったけれど。

76年まで生産されたから、けっこう長寿だ。日本にはほとんど入ってこなかったので、当時、街で見かけると、かっこいいなあと見とれた記憶がある。そういうクルマって、少なくなった。

小ぶりのテールレンズもスポーティーな雰囲気

小ぶりのテールレンズもスポーティーな雰囲気

【スペックス】
車名 アウディ100クーペS
全長×全幅×全高 4400×1750×1330mm
1871cc直列4気筒 前輪駆動
最高出力 115ps@5500rpm
最大トルク 16.2kgm@4000rpm

(写真=Audi AG提供)

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PROFILE

小川フミオ

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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