オトナたちに捧げる、現代インターネットのススメ。

いい人がいいインターネットをつくる時代に、女性としてネット業界で働くということ

インターネットカルチャーに詳しいりょかちさんが、「今知っておくべきインターネット」に詳しい皆さんと対談する企画。今回のテーマは「女性のキャリアとインターネット」です。対談のお相手は「日本にベビーシッターの文化を根付かせる」を掲げる、キッズライン株式会社執行役員の山崎ひとみさん。

山崎さんは、新卒でサイバーエージェントに入社後、「アメーバピグ」「きいてよ!ミルチョ」「by.S」など、さまざまなヒットを手掛けるプロデューサーとして活躍されてきました。後半である今回は、ネット業界で働く女性のキャリアから、“いいインターネット文化とはなにか”まで、ネットの世界で働く女性二人ならではの視点で語ります。

前編は<こちら>

働き方は「パフォーマンス重視で省エネ志向」

りょ 私と山崎さんの共通点として、「ネット業界で働く女性」というのがあると思うんですけど、新しい業界だし、男性も多いし、“どうやってキャリアを組み立てていけばいいのかな”って思うことが、周りも含めて多くて。私はその点において「ひんさん(山崎さん)みたいになりたい!」というあこがれを勝手に抱いているのですが(笑)、どんな風にキャリアを組み立ててきたか知りたいです。働き方とか結構変わってますか?

山崎 むちゃくちゃ変わってますね。20代はほんとに、労働集約型(笑)。本当に仕事が楽しくて、ずっと仕事してた。

りょ 他の記事とか読んでると、「仕事のために北海道まで飛んでいったことがある」とか書いてありました。

山崎 そうですそうです(笑)! サービスをグロースするために足りないことは全部やるのがプロデューサーだと思っているので、当時は、人が足りなければ北海道に電話して直接出向く、とかやってました。

でも年齢を重ねるごとに体力的に無理がどんどん出てきて。特に妊娠したタイミングでいろんな制約条件も増えて。私の場合はそのタイミングで経沢さん(キッズライン社長)と理解ある環境に出会えたのが本当にラッキーでしたね。

ただずっと意識しているのは、「パフォーマンス重視で、とにかくカロリーを節約すること」。

りょ 省エネですね。

山崎 私、ウィンストン・チャーチルが好きなんですよ。彼の名言に「(どうすれば成功できますか?という問いに対して)精力の節約。座っていられるなら決して立たない。寝ていられるなら決して、座らない」というのがあって(笑)。「座ってできる仕事は座ってする、寝ててできる仕事は寝てする」というのがすごく重要だと思ってる。

仕事しているふりとかにみんなカロリー結構使ってるんじゃないかって思うんですよね。

りょ わかる(笑)、「とりあえず会議しよう」「7時まで会社にいなきゃ」とか。

山崎 「ひんさんって時間にすごいお金使ってますよね」ってこの間も言われたんですけど。わたし移動は20代からオールタクシーなんですよ。タクシーの中で体力を節約し、メールを返す、電話をする、みたいに時間を節約することにすごくお金を使ってます(笑)。

りょ ほおー! すごい!

山崎 若いときから「時間を先行して買って、いつか絶対返ってくる」って思ってたけど、だんだん返ってきてる気がする。

りょ いいですね。

りょかちさん

りょかちさん

りょ 私、ひんさんみたいになりたいってすごく思う。

山崎 私みたいにならない方が良いと思うよ。

りょ え、なんで?(笑)

山崎 大変だから(笑)。

一同 あははははは(笑)。

山崎 まあでも、自分の可能性を、どこか無意識のうちに狭めちゃってることってあると思う。私は若いときから「70歳まで働く」って考えていて。そこに向けて少しずつ逆算しているんですよ。みんな結構3年くらいのスパンで未来を設計して、繰り上げ型になっちゃうので。「70代まで働くんだったら」を考えると何を優先したらいいかは考えられるかもしれないですね。

りょ 70歳までインターネットを生き抜くにはどうしたらいいんだろう。

山崎 経沢さん(キッズライン社長)に言われて共感して30代前半に超こだわったのは、実績ですね。

りょ 実績!

山崎 なんか結局、実績が助けてくれる。だから実績にこだわったほうが良い。 いいチームを作るとか、いろいろあるけど、「私の実績はこれです!」というものをつくる。C Channelに入社したときに「実績を出さないと」って思って努力しました。実際に入ったあと数値が伸びたことは、自分の自信になりましたね。

りょ 実績はどのようなものを言うんでしょうか。

山崎 それは自分で定義したほうが良いと思います。プレスリリース思考で、「自分をプレスリリースするんだったらなんていう?」、誰もが「それはすごい!」となるような結果は何?という感じで。

りょ サービスづくりでどうやったら実績残せるかなあ。

山崎 それはわかんないですよ(笑)。でも私は、感動させた人の数を大事にしてます。自分のお母さんが知らない間に使い始めてたとか、大衆化した、一般化した、というところを意識してますね。

いいひとがいいインターネットをつくる

りょ インターネット自体がどんどん当たり前のものになっていって、コミュニケーションとかコンテンツのようなエンタメ寄りのものから、インフラかつビジネス寄りなサービスが旬になっていっている感じがしています。

山崎 いまは、インフラとしてインターネットがあることが当たり前ですよね。常に触れているのが当たり前の状態。だからこそ、インターネットがよいものにならないと、人はよくなっていかないって思うんです。

バイラルメディアが台頭したときには、危機感がありました。フェイクニュースもあって、ずっとインターネットばかり見てると、いい影響ばかりではない。インターネット好きがインターネットを見ていると、どんどん自分が高められるようにしないと、日本は、世界はよくならないと思って。そういうところに関わりたいと思ったんですね。それこそ、”インターネットが好きな人たちができる仕事”だと思うから。

りょ なるほどですね。

山崎 インターネットがインフラ化して、ビジネスの力が強くなるほど、モラルとのバランスが必要になります。いいものになるには、いい人が作っていないといけない。最近は、“あり方”が求められている気がします。

りょ わかります。今は”どうあるべきか”をすごいみんな見てますよね。

山崎 いい人すぎてもいけないのですが、ちゃんと結果を残し、かつ堂々と胸を張っていられることが最終的に評価されるんじゃないかな。

インターネットはフェイクであふれたからこそ、若い人は本当のものを求めている。どんどん嘘に対して敏感になってると思うんですよ。だから嘘を見分けることも上手になっている。Google検索の上位に載っている広告をクリックせずインスタで検索するとか。動画が流行っているのは、加工しにくいからだと思ってます。真実を見分ける力が若い人ほど育っているんじゃないかと思うので、誰からも支持されるあり方は、何に対しても求められていくんじゃないのかなって。

りょ 確かに。InstagramのPR投稿とかも話題になりましたもんね。

山崎 資本主義はある程度ポーズにコストかけるべき、という仕組みだけど、ブランディングだけじゃだめ。中身がともなっていないと影響力をはっきするところまでいかないと思います。

りょ いい時代だ。

若い女の子が元気になれば社会は元気になる

山崎 あとは、C CHANNELでアジア展開をしているときに、現地の女の子に会うことがあったんですけど、アジアの女の子たちは、雰囲気がガツガツしていて、元気で、プレゼンがうまい。そういうのを見たときに、国にもよりますけど、経済成長している国の子は元気なのかもしれない、と思ったんですね。

日本も経済成長の勢いが鈍くなる中、少子化とともに共働きが当たり前になって、そうすると子供を産むことへの不安もあって、若い子に元気が無くなっているんじゃないかと思う。「恋愛して、結婚して、子供産んで。自分の選択で私はどんどん幸せになる!」というよりかは、「自分の中の幸せでがんばろう」というか。さらに言うと、「子供産んだら、大変な毎日なんじゃないか」って不安になったりするのは、良くない。

りょ つらい。私も「このままで大丈夫なのかな」って、常に思ってる。

山崎 やっぱり、若い女の子が元気な国って、経済も元気なんだと思うんですよ。だから、私の仕事のモチベーションはずっとそこにあります。今のキッズラインの事業をやっているのも、少子化問題を改善したら、若い女の子が元気になって、社会全体が元気になるんじゃないかと思うからです。

やっぱり「安心して子供を産みたい」って思える社会が、健康だと思うんですよね。子供を産んだ未来が見えていて、希望を持てているってことだから。生まれているかどうか、も大事だけど、「産みたい」と思っているかどうかっていうか。

りょ そうですね。じゃあ今のお仕事は、使命感のようなものを感じてらっしゃるんでしょうか。

山崎 うん、そうですね。私、仕事を選ぶ基準が使命感重視だったりするんですけど、これまでやってきた仕事も、結局この思いに繋がってきたんだなって。

りょ いい話。

山崎 マーケットの中心にはやっぱり若い子がいるから、若い女の子のマーケットが元気だと、それは広い世代に波及すると思うんです。アメーバもピグも「若い女の子が使えば全員使うでしょ」みたいな戦略なんですよ。

りょ それは色んなSNSを見ていても思いますね。若い女の子たちが新しい文化をつくる。

山崎 だから、若い女の子から新しい文化をつくるってすごい重要なんだなと感覚的に学んでいて。だから若い女の子を動かして、世界がちょっとだけ進化することをやりたいなという気持ちがあります。

りょ かっこいいですね。すごい。

山崎 今はご縁があって、直接的に社会にインパクトがあることをやらせてもらっているのでやりがいもありますね。

山崎ひとみさん

山崎ひとみさん

りょ キッズラインはどんな方がユーザーなんですか。

山崎 子供が生まれて数年の一番忙しい方。就労するお母さんがどんどん増えているので、保育園に入れなかったりする方や、送迎の時間に都合が合わない方が保育園と併用してベビーシッターを使う、という方が増えています。

りょ 今までのサービスとの違いはありますか。

山崎 スマホで24時間、当日でもシッターさんが呼べること。自分でお金を払って、家族以外に子どもを預けるのは革命的な体験なんですよ。私は今シングルなんですけど、子供を家族に預けるときは、いくらお母さんに見てもらっていると言っても、「ごめんねごめんねごめんね」って言いながらできるだけ早く帰ってる。でもベビーシッターさんに自分でお金を払って頼むと、たとえば3時間ブロックしたりして、誰にも迷惑をかけずに時間が確保できる。

前に、ベビーシッターさんに子供を預けた日の会食が1時間くらい早く終わった時、子どもが産まれて初めて自由時間ができた。そのときに、少しだけお茶しに行って、「誰にも謝ってない」「お母さんにも迷惑かけてない」って思って、それだけで泣けたの(笑)!

りょ わー。想像して、私まで泣きそうな話だ(笑)。

山崎 一人暮らしのときはいくらでもそういう時間を持て余してたけど。誰にも迷惑かけないで、自分で働いたお金で自由な時間を確保できたのが、すごい画期的だったんですよね。働いてるか育児してるか寝てるかで24時間が終わってたので。

すべての時間をそうしろとは言わないけど、自分の力でそういう選択肢を選べる世界とそうじゃない世界はまるで違う。

りょ 自分が当事者だから、熱量高くお仕事できそう。

山崎 そうですね、本当に。一般的な会社だと、女性って30代前後くらいで、自然と自分にブレーキをかけないとだめだってタイミングが来ちゃうと思うんですよ。実力主義で働いていると、最初はコミュニケーション能力が高かったりして20代は優秀だったけど、どこかでブレーキがかかって男性に追い抜かれる、みたいな問題をよく聞きます。

りょ すごくわかる。それを事前に考えてキャリア設計しなきゃと思ったりします。

山崎 でも、今のキッズラインは、たくさん子供が生まれている会社なんです。妊娠中に私も執行役員になったし、仕事もミッションをしっかりもらえて、キャリア曲線を右肩上がりになるように考えてくれる会社。それって、今後の日本でこうなっていくのが良いという姿のひとつだと思うんです。だから、自分がモデルというか、ひとつのケースとして存在して、この先10年を変えていかなきゃいけないと思ってる。

今は、みんな産んでから働くの普通になっているけど、待機児童の問題もあって、保育園入れるかどうか、復職の1カ月前にならないとわからなかったりもするから。

りょ ……え?

山崎 そうなの。で、そうすると、企業も結局、そんな状態じゃ何を任せたら良いか決められない。みんな一回、妊娠と出産の後のキャリアを、上り曲線で考えられずに平行線か下降線で描かなきゃいけない社会になってる。それってすごくおかしいなと思っていて。結局数年のことだし、その後はみんな何十年も働く人だっているのに。だから、みんなきちんとキャリアを積み重ねられる社会になるといいんじゃないかな、と思ってる。

りょ ITサービスでありながら、保育士さんの数とかオフラインの変数も多い事業ですし、大変なことも多そうです。

山崎 難易度は高いですがそれだけ面白いですね。本当に重要な、未来をつくる仕事だという認識があってやりがいを感じます。

りょ なるほど。やっぱり私ひんさんみたいになりたい……すごくかっこいいです。ありがとうございました。

りょかちさんと山崎ひとみさん

(文・りょかち 写真・和田咲子)

山崎ひとみさんが役員をつとめるキッズラインでは、ベビーシッター・家事代行の初回利用で、3000円分ポイントバックのキャンペーンを12月末まで実施中です。
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PROFILE

りょかち

1992年生まれ。京都府出身。神戸大学卒。学生時代より、ライターとして各種ウェブメディアで執筆。「自撮ラー」を名乗り、話題になる。新卒で某IT企業に入社し、アプリやWEBサービスの企画開発に従事。現在では、若者やインターネット文化について幅広く執筆するほか、若年層に向けた企業のマーケティング支援も行う。著書に『インカメ越しのネット世界』(幻冬舎)。

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