高橋伸哉の写真教室

使える光がないか目をこらそう 原宿を歩いて見つけたスナップ撮影スポット

『&M』で写真エッセイ『或る旅と写真』を連載中のフォトグラファー高橋伸哉さんを講師に、写真を上達したい生徒さんが1対1で技術を学ぶ企画。前回に続き、モデルの花柳(はなやぎ)のぞみさんが、東京・原宿を歩きながら、街角スナップの撮り方を教わります。

今回のテーマは、「よいスナップが撮れる光の見つけ方」です。

花柳のぞみ

高橋伸哉さん撮影(絞りF2.8、ss 1/250、iso400)

講師の高橋さんと生徒の花柳さんが、原宿駅から路地に入ってしばらく歩くと、ちょうど逆光になった下り坂を見つけました。ロケをしたのは、本格的な冬を前によく晴れた日。2人の影が長く伸びています。

「今日はほんとに天気がよくて、光がよい角度で差し込んでいるので、こうした自分たちの影を撮るのも面白いです」(高橋さん)

原宿の路地

高橋さん撮影(絞りF5.6、SS 1/250、iso400)

上の写真で花柳さんが立っているのが坂が始まるところです。少し下って振り返ると、

原宿の坂道

高橋さん撮影(F8、SS 1/500、iso400)

このように、ちょうど真正面に午後遅くの太陽が位置するようになります。通行人の影が長く、真っすぐ伸びて、印象的な場面です。日差しが強いと通行人がシルエットにしかならないので、露出の設定には注意しましょう。

原宿の路地

花柳さん撮影(F8、SS 1/500、iso400)

花柳さんは、高橋さんよりも太陽の光がたくさん入る構図を選びました。強い光で白くなる部分と、人間のシルエット、そして、地面に伸びる影がバランスよくなる構図を決めてかまえると、通行人が歩いてくるのを待ってシャッターを押します。カラー撮影なのですが、白黒写真のようにも見えますね。

逆光でのスナップは、中級者以上の人に必要になるテクニックかもしれません。こうした場面で絞りやシャッタースピードを素早く、的確に設定できるようになることが将来の目標ですが、この日は高橋さんが花柳さんにちょうどよい設定をアドバイスしながら撮影を進めました。

奥行きが感じられる光を探す

そのまま、2人は竹下通りに向かって歩きながら被写体を探します。通りの途中で高橋さんが撮った1枚が次の写真です。

竹下通り

高橋さん撮影(F2.8、SS 1/125、iso400)

「手前が暗くなっても、建物の2階や看板に光が当たっていると、奥行きが出てカッコ良く写すことができます。やってみてください」と高橋さん。さっそく花柳さんも、光が当たっている看板を探してレンズを向けました。

使える光がないか目をこらそう 原宿を歩いて見つけたスナップ撮影スポット

花柳さん撮影(F5.6、SS 1/125、iso400)

竹下通りを歩いて、交差点にさしかかったところで、高橋さんは青信号で横断歩道を渡るひとを撮影しようと提案します。斜めに光が入ってくる、秋から冬にかけての午後遅い時間では、あえて足元を狙って撮影すると面白いスナップになるそうです。

使える光がないか目をこらそう 原宿を歩いて見つけたスナップ撮影スポット

高橋さん撮影(F2.8、SS 1/250、iso400)

神宮前交差点に着いた2人は、信号待ちをしている人たちのシルエットを何枚か撮影します。さきほど坂道で撮影した写真でもそうでしたが、光がどれぐらいの割合で画面を占めるのか、個性がよく出ています。

まず高橋さんが撮ったものがこちらで、

神宮前

高橋さん撮影(F8、SS 1/500、iso400)

ほぼ同じ場所で花柳さんが撮影した1枚はこちら。

使える光がないか目をこらそう 原宿を歩いて見つけたスナップ撮影スポット

花柳さん撮影(F8、SS 1/250、iso400)

反射光をレフ板代わりに使う

神宮前には、万華鏡をイメージしたエスカレーターで知られる東急プラザ表参道原宿があります。ここで撮った写真をインスタグラムに投稿している人も多いのではないでしょうか。せっかくなので、2人もカメラを構えながらエスカレーターでのぼります。左右や上の鏡が自分や周辺の景色をいくつも映しだして、とても不思議な空間です。

使える光がないか目をこらそう 原宿を歩いて見つけたスナップ撮影スポット

高橋さん撮影(F1.4、SS 1/250、iso400)

この万華鏡は、内部がフォトスポットであるだけではありません。実は、この記事のTOPの花柳さんの写真は、この万華鏡のおかげで撮れた1枚。さまざまな角度で取り付けられた鏡が、この日は、ちょうど神宮前の交差点前に夕日の光を反射していました。

それが花柳さんの顔に当たったところを高橋さんが見逃さずに撮ったものです。花柳さんは「レフ板を使って撮ったみたいですね!」と感心していました。

反射光を使うと、次のように逆光でも顔に光が当たった写真を撮ることができます。

使える光がないか目をこらそう 原宿を歩いて見つけたスナップ撮影スポット

最後に、高橋さんからアドバイスをいただきました。

「スナップでは、こうして偶然生まれた光を見つけられるかどうかが肝心です。歩きながら、絶えずよい光、また光がつくる影がないかを探す癖をつけると、写真が上達すると思います。木漏れ日や、乱反射、路地裏などのビルの隙間に当たるスポットライトは、時間帯によって光の強さや弱さ、あとは色温度などが様々に変化していきます。刻一刻と変化していく街を歩いてスナップ写真を撮影するのは楽しいので、ぜひ光と影を見つけて楽しんでくださいね」

神楽坂、原宿と街角スナップのコツを学んだ花柳さん。次回は、もう1人生徒役のモデルに参加していただき、お互いに人物をいれたスナップ写真を撮る練習をします!

使える光がないか目をこらそう 原宿を歩いて見つけたスナップ撮影スポット

今回、2人が使った機材はソニーα7R IIIと富士フイルムのX100Fでした。

(文・&M編集部)

<花柳のぞみさん情報>

・twitter https://twitter.com/nozomi_fleuron
・Instagram https://www.instagram.com/nozomihanayagi_/

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PROFILE

高橋伸哉

人物、風景、日常スナップなど、フィルムからデジタルまでマルチに撮影するフォトグラファー。国内外を旅して作品を発表している。企業案件や広告撮影、技術本の書籍(共同執筆)、ワークショップなども多数。インスタグラムの総フォロワー数は35万人を超える。(@t.1972@s.1972

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