イタリアだて男の「エコ流儀」 ピッティ・イマージネ・ウオモ97 会場リポート & おしゃれな紳士たちを写真で

世界屈指の紳士モード見本市「第97回ピッティ・イマージネ・ウオモ」が2020年1月7日から10日まで、イタリア中部フィレンツェで開催された。

(TOP画像:第97回ピッティ・イマージネ・ウオモに集ったイタリア、南アフリカ、ナミビアのファッショニスタたち)

2020-21年秋冬モードをひと足先に占った今回のテーマは “Show your flags at Pitti” である。

“旗”を選択した理由について、大会総裁のアゴスティーノ・ポレット氏は「それは決して無言ではない。常に何かを語っている」という。そのうえで、衣服との共通性を「アイデンティティー、帰属、思考、感情のモバイルシンボルであること」に見いだしている。

今回のテーマ “Show your flags at Pitti” を象徴する会場中央のオブジェ

今回のテーマ “Show your flags at Pitti” を象徴する会場中央のオブジェ【もっと写真を見る】

1203ものブランドが参加した会場中央の広場には、旗をイメージさせる無数のラインが張られ、スピーカーからは、旗を掲げた行進を想起させるマーチ音楽が流された。

主要ブランドの展示やファッショニスタたちから読み取れる次なるトレンドは、懐かしいヘリンボーン柄の復活である。同時に、ダウンジャケットやスポーツウェアを、より都会風にアレンジする試みも目立った。これまでトラッドの一翼を担ってきたラルディーニと相澤陽介とのコラボレーションは、その代表といえる。

ラルディーニ×相澤陽介

ラルディーニ×相澤陽介【もっと写真を見る】

相澤陽介とのコラボレーションで新たなフィールドを提示したラルディーニの創業者兼クリエーティブ・ディレクター、ルイージ・ラルディーニ氏

相澤陽介とのコラボレーションで新たなフィールドを提示したラルディーニの創業者兼クリエーティブ・ディレクター、ルイージ・ラルディーニ氏【もっと写真を見る】

「エコロジー」のキーワードは、クラシコ・イタリア発祥の地も例外ではない。一例として「ゴミから新マテリアルへ」と題したトークショーが、冒険家アレックス・ベッリーニなどを交え、会期中10回も企画された。

東京のニットファッション製造業者による「TOKYO KNIT」はANREALAGE森永邦彦とのカプセルコレクションを展開する傍らで、技術コレクションのひとつとして生地原料が和紙100%という長袖Tシャツをディスプレーした。スタッフは800年前の和歌集が現存することを例に、湿度をはじめさまざまな状況下に強い和紙の耐久性をアピールした。

「TOKYO KNIT」は森永邦彦のカプセルコレクションを中心に展開。左奥では、加盟製造事業者24社によるパーカーや長袖Tシャツ22点が展示された

「TOKYO KNIT」は森永邦彦のカプセルコレクションを中心に展開。左奥では、加盟製造事業者24社によるパーカーや長袖Tシャツ22点が展示された【もっと写真を見る】

「TOKYO KNIT」が展開したANREALAGE森永邦彦のカプセルコレクション

「TOKYO KNIT」が展開したANREALAGE森永邦彦のカプセルコレクション【もっと写真を見る】

イタリアだて男たちからも、彼ら流のエコ意識を聞くことができた。

南部プーリアからやってきたニコラ氏は、良いものを長く着ることで、エコロジーを実践できると強調する。

実際、最新のスーツと合わせて羽織っていたのは、実は18年前に買ったナポリの「ミケランジェロ」製コートだ。「手に入れてから今日まで続くストーリーを着る楽しみさ」とニコラ氏は語る。

南部プーリアからやってきたファッショニスタ、ニコラ氏

南部プーリアからやってきたファッショニスタ、ニコラ氏【もっと写真を見る】

コートは次の秋冬に流行の兆しがあるヘリンボーンだが、実は18年前に手に入れたものという

コートは次の秋冬に流行の兆しがあるヘリンボーンだが、実は18年前に手に入れたものという【もっと写真を見る】

一方、イタリア人ファッション・インフルエンサーのジョルジョ・ジャンジューリオ氏は、「最近のエコという言葉は、それ自体がモード化したきらいがある。どのようなものが真に持続可能かをじっくり見極める必要がある」と話す。

イタリア人ファッション・インフルエンサー、ジョルジョ・ジャンジューリオ氏

イタリア人ファッション・インフルエンサー、ジョルジョ・ジャンジューリオ氏【もっと写真を見る】

イタリア人ファッション・インフルエンサー、ジョルジョ・ジャンジューリオ氏は、「何が真に持続可能かをじっくり見極める必要がある」と話す

イタリア人ファッション・インフルエンサー、ジョルジョ・ジャンジューリオ氏は、「何が真に持続可能かをじっくり見極める必要がある」と話す【もっと写真を見る】

彼が与えたヒントの答えを図らずも示してくれたのは、ブルネロ・クチネリの広報担当者だ。何年も前のコレクションと容易にコーディネートできることを強調。「以前持っていた服と自然に合わせられる。すべてをアップデートしなくてよいこともエコロジー」と胸を張った。

加えて、荒れ果てたイタリア中部ウンブリアの村を、自社の産業で生まれ変わらせたことを例に挙げ、「ものづくりに携わる職人たちが故郷を離れることなく正当なフィー(報酬)を得ることができる。それこそが本当のサステイナブルと考える」と語った。

イタリア式持続可能社会は、トレンドではない。より長い時をかけて実践されてきたのである。

環境保護が叫ばれる今日、来場にはレトロ風自転車がスタイリッシュ

環境保護が叫ばれる今日、来場にはレトロ風自転車がスタイリッシュ【もっと写真を見る】

>>おしゃれな紳士たちをフォトギャラリーで見る

(文=大矢アキオ Akio Lorenzo OYA / 写真=大矢アキオ Akio Lorenzo OYA、大矢麻里 Mari OYA)

あわせて読みたい

時計が語る「ストーリー」を紡ぐ 「ホディンキー」日本版編集長のビンテージ愛

スタッフは全員、野球好き。アメリカン・ベースボールをこよなく愛するブランド「Jackman」

“ビジネスカジュアルの究極形” 都会的なデザインと機能性を兼備する「UNIVERSAL PRODUCTS」

イーストウッド最新作『リチャード・ジュエル』に、河野義行さん「松本サリン事件と同じ構図」

TOPへ戻る

iri、25歳 葛藤の先に見える成長

RECOMMENDおすすめの記事